テレワークの普及で悩まされる方が増えてきたのが腰痛。「8割は原因不明」といわれますが、スタッフと共に100万人以上もの患者さんを診てきた酒井慎太郎さんは「問診をして情報を事細かく聞き出していけば、必ず『痛みの原因』にたどり着きます」と断言します。
酒井さんが従来の腰痛治療の常識を超えた「新しいルール」を開陳する『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』より、腰痛に関する基礎知識や対処方法の一部をご紹介します。
* * *
腰痛の症状は、冷えると悪くなり、温まるとよくなってくることが多いもの。みなさんの中にも、「体が冷えるとてきめんに腰の調子が悪くなるけれど、体が温まっているときはそんなに不調を感じない」という人が多いのではないでしょうか。
このように、「体を温める習慣」は腰痛を防いでいくための基本のキ。そして、そのために毎日大切にしてほしい習慣が入浴です。
では、効率よく体を温めるには、どんな入浴の仕方をすればいいのか。私は、39度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かる全身浴をおすすめしています。首まで湯船に浸かってじっくり温まってください。体が温まってくると、全身の血行がよくなって、自律神経がリラックスモードの副交感神経優位に傾きます。こうした作用により、いつもは感じる痛みも感じにくくなるのです。体が冷えているときや腰の症状がひどいときは、1日に2度入浴して体を温めるのもいいでしょう。
なお、半身浴が好みの方もいると思いますが、腰痛が少しでも気になっているなら、なるべく控えるべき。なぜなら、半身浴だとどうしても首や肩、背中が冷えてしまうから。これらの冷えは背中の筋肉を伝って腰にも影響を及ぼします。つまり、半身浴だとせっかくの入浴機会だというのに、十分な温め効果を得られなくなってしまうわけです。
みなさんの中には「半身浴=健康にいい」というイメージを持っていらっしゃる人も多いと思いますが、こと腰痛に関しては当てはまらないと思ってください。腰の健康のためには、あくまで首から腰までの背骨全体を湯船につけて温めていくほうがいいのです。
ただ、全身浴はのぼせやすいので、高血圧や心臓病などの持病をお持ちの方は十分に気をつけてください。
それと、入浴後の湯冷めにも要注意。とくに髪の長い人の場合、濡れた髪をそのまま自然乾燥させていると首や肩が冷えてしまいやすいので、お風呂から出たらドライヤーでよく乾かすことを心がけましょう。
* * *
編集部注:腰痛には重篤な病気が隠れている場合や重症化する場合があります。気になる症状があれば医療機関を受診してください。
より詳しい腰痛のメカニズムや腰痛を治すためのストレッチや体操については書籍『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』をご覧ください。