テレワークの普及で悩まされる方が増えてきたのが腰痛。「8割は原因不明」といわれますが、スタッフと共に100万人以上もの患者さんを診てきた酒井慎太郎さんは「問診をして情報を事細かく聞き出していけば、必ず『痛みの原因』にたどり着きます」と断言します。
酒井さんが従来の腰痛治療の常識を超えた「新しいルール」を開陳する『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』より、腰痛に関する基礎知識や対処方法の一部をご紹介します。
歩くときも「後ろ重心」の正しいフォームで
ウォーキングの習慣は腰やひざの関節の機能を維持・向上させることにつながります。腰をいつまでも長持ちさせていくためにも、ぜひ普段からよく歩く習慣を身につけてください。
でも、ただ漫然と歩いているだけではダメ。私はウォーキングでいちばん重視すべきは姿勢だと考えています。
では、どんなフォームで歩けばいいのか。ベースとなるのは、1時間目で述べた「後ろ重心の姿勢」です(記事「パソコン作業は腰への負担が1.85倍。腰痛には『後ろ』姿勢を」参照)。すなわち、「あごをしっかり引く」「両肩を引いて胸を張る」「腰を反らせる」「ひざをまっすぐ伸ばす」「体重の7割方を体の後ろ側にかける」といった約束事を守りつつ歩くのです。次のイラストのように、腕はL字に構えて力強く振り、足はけり出す際にグッとひざを伸ばすように心がけましょう。
そして、この正しい姿勢で1日10分でもいいから歩くようにしてください。正しい歩き方をしていると、頭からつま先までの各関節の歯車が正しく動きます。そうやって「短い時間でも、日々関節を正しく動かし続けていくこと」が大事なのです。ぜひみなさん、毎日の習慣にして、足腰の関節を長持ちさせていきましょう。
腰痛持ちは腰をひねって歩くといい
ここで、短い時間歩くだけで腰の健康回復に大きな効果を発揮するウォーキング法をご紹介しておきましょう。
名づけて「腰ひねりウォーク」。足を踏み出すたびに上体を後ろへ大きくひねって腰を回旋させる歩き方です。
簡単に説明しておくと、左足を踏み出す際はL字に構えた左腕を後ろへグッと引き、同時に上体を左後ろへひねります。右足を踏み出す際はL字に構えた右腕を後ろへグッと引き、同時に上体を右後ろへひねってください。
これを繰り返すと、腰の椎間板が回旋して適度にほぐされることになり、椎間板ヘルニアなどの腰痛症状を回復させていくのにおすすめなのです。次のイラストのように、腰の左側が痛い人はとくに左後ろへ大きくひねり、腰の右側が痛い人はとくに右後ろへ大きくひねるようにするといいでしょう。
なお、この腰ひねりウォークは、2~3分も行なえば十分です。たとえば、1日10~20分のウォーキングをするのなら、最後の2~3分を腰ひねりウォークにあてるのもいいでしょう。ぜひみなさん、日々のウォーキングにうまく組み込んで行なうようにしてみてください。
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編集部注:腰痛には重篤な病気が隠れている場合や重症化する場合があります。気になる症状があれば医療機関を受診してください。
本連載は今回で最終回。そのほかの腰痛を治すためのストレッチや体操も書籍『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』で多数紹介しています。