2021年下半期 おとめ座の運勢真木あかり

人気占い師、真木あかりさんの新刊 『2021年下半期 12星座別あなたの運勢』より、12星座別・ご縁の傾向と対策をお伝えいたします。

＜全体運＞

想像のその先へ

わかると安心で、わからないから不安になるのです。

いきなりどうした、当然じゃないかと思われたかもしれませんが、私は占いを書く時にいつもこのことを考えています。どうしても頑張りたいことがあって、とにかく必死で、何としてでも叶えたい。未来は自分で作るもの、行動しなければ変わらない。そんなことは誰でもわかっていて、ただ、わからないから不安でつい過剰になってしまったり、暴走してしまったりするのです。それでも占いで「こういう感じ」と多少なりともわかっていれば、対策が立てられます。「じゃあ、こうしよう」という方針が立てられるのです。占いは当たる・当たらないといったことよりも「使う」ことが大事なんですね。

 

おとめ座の人々はこの下半期、納得したり安心したりします。というのも、上半期はかなり「手探り状態」だっただろうと思うのです。大切な人のために、目の前の誰かのために時間を割いていた人は多かっただろうと思います。「今、相手はこういったことを求めているんじゃないか」とか「こういうふうにしたら、嬉しいのではないか」とか、細やかに気を配って行動を起こします。こうした行動は常に「おせっかい」「重たい」という心無い言葉と隣り合わせであり、やりすぎかな、大丈夫かなという不安はいつも同居していたのではないでしょうか――相手のためを思えば思うほど。頑張っていらっしゃいましたね。

もちろんあなたも「あなたのためを思って」という言葉で押し付けられる“親切らしきもの”に辟易したご経験はあるだろうと思います。もう大丈夫なんで。あなたはあなたの人生を生きてくださいよ。そんなふうに言いたくなったこともあるでしょう。働きかける人の思いと受け取る人の思いは往々にしてズレがちで、そこにはいつも砂漠のような空虚さが伴います。

ただ、6月下旬あたりから7月いっぱいまでのあいだに、おとめ座の人は働きかけてきた相手とのことを、ごく現実的に、客観的に見つめる「目」を得ます。相手としっかり話し合えたり、ニーズを聞かせてもらえたりします。相手のことが、少なからずわかってくるのです。今まではただ手探りで、一生懸命相手の気持ちを推し量ることしかできなかったところを、「じゃあ、こうしよう」と方針を立てるところまでが可能になる。想像だけではない、その先へ一歩踏み出すことができるのです。不安に押しつぶされそうになりながらも頑張ってきた人ほど、ホッとするのではないでしょうか。

 

ここに至るまで、あなたが我慢することで成り立ってきたような関係であるならば、この夏はごく現実的な改善をはかっていけそうな雰囲気もあります。私たちはときどき、愛や友情や、親心といったもののために心を押しつぶして、相手のずるさや美しくない部分からそっと目をそらして、ひたすら尽くすことで改善を待つ、といったことをしがちです。「どうにもできない」「これ以外に道はない」と自ら退路を断ってしまうこともあります。もしも今、そうした状況に陥っているのだとしたら、7月は改善のチャンスであろうと思います。

 

文筆家の松浦弥太郎さんは、「やさしさでごまかさない強さを。」と題して、こんな文章を綴っておられます。

 

「相手をよろこばせるために、真実から目を背けてうわべだけやさしくしたら、関係性の根っこは枯れてしまいます。枯れた根っこにいくらやさしさをそそいでも、花は咲かないでしょう。何かをやりとげるには、やさしさでごまかさない強い心も必要です」

 

おとめ座の人が、真実から目を背けているとは申しません。優しさで何かをごまかしているとも、私は思いません。あなたはあなたの、真実をちゃんと見つめているはずです。強い心をお持ちなのです。ただ、それが相手の真実と少しずれていたのなら結果的に「うわべだけやさしく」になってしまうことも、あるかもしれません。この夏は真実が見えやすいですから、ぜひそのつもりでいらしてください。こうしよう、という意志に裏打ちされた優しさほど、強いものはありませんから。

ままならなさを、調整していける

8月から10月にかけては「調整」の色合いが濃くなってきます。他人のために力を尽くすことだけでなく、あなたが背負ってきた「義務感」「責任感」、そういった言葉がいささか堅苦しすぎるようであれば「純然たる使命感」という表現も当てはまりそうですが、それらのいきすぎたところを小ざっぱりと、ちょうどよくしていけるのがこの夏から秋にかけての季節です。

おとめ座の人々は、自分に与えられた使命を完璧に果たしたい、期待されている役割を100％の自分でやり抜きたい、と思う人々です。ときに「完璧主義」という言葉がヌルく聞こえるほどにその精神は透徹したもので、仮に使命や役割といったものが不明瞭だと、途端にどうしていいかわからなくなってしまいます。

ただ、草木が茂り枝葉が密になると生長が阻害され、病害虫がはびこるように、いきすぎた義務感や責任感は自縄自縛の状態を生んでしまうことがあります。こうでなければいけない、こうあるべきだといった思いは次第に、呪いのように自分を縛り付けてしまうのですね。あなたがそうであるとは申しませんが、「自分はこんなに我慢しているのに、あの人はずるい」という妬みや、「あの人は間違っている」といった極端な善悪の判断を持つに至る人も、一般的によくいます。そうしたルサンチマンになってしまうと、せっかくの真摯なお気持ちも前向きなかたちでは活かしにくくなってしまうでしょう。

 

もちろん、義務感や責任感を強めに持つことが悪いことだとは申しません。「ちゃんとしなくちゃ」「もっと努力しなくちゃ」と自分に厳しく頑張ったからこそ、手にすることができたものもあるはずです。自分でそう決めたからこそ、ブレずに頑張れた日もあったでしょう。そもそも、人は最初から自分に必要なものを、必要な分量だけ持つなんてことはできません。いけると思ってたくさん持って持ちきれなくなったり、「これじゃないわ」と気づいて取り替えたりしながら、自分に合ったものと分量を見極めていくのですよね。

 

8月から10月にかけて、おとめ座の人は茂りすぎた枝葉を程よく整え、詰め込みすぎた心を程よく戻していけます。頑張りすぎて思考停止状態になったところから、ハッと気づいて引き返して来られます。具体的には、「こうあるべき」「こうあらねば」という考えが浮かんだときに「それって本当？」と自分に問いかけるというステップを踏んでみるといいのですが、あまり意識しすぎなくてもいいかもしれません。なぜなら、自分への制限がふんわり和らぐ時期だからです。「ねえ、もうちょっとゆるくてもいいんじゃない」「まったりいっていいんじゃない」といった声が、どこかから聞こえてくるのかもしれません。ふと手に取った本が、雷鳴が轟くようにインパクト大のヒントを与えてくれるのかもしれません。そんなふうにして、自然にいい状態にしていけます。

 

やわらかな呼び声にせよ、つんざくような雷鳴にせよ、こうした発見は秋から冬にかけてのあなたを、力強く応援し支えてくれます。10月半ば頃、あなたは「時間をかけて鍛え上げていきたい使命」を、改めて認識することになっていくからです。具体的に、仕事や役割といったかたちで「さあ、やろう」と前を向けるのかもしれません。おそらくは、上半期よりも――いえ、それよりずっと前からかもしれませんが――ずっとずっと、足取りは軽やかであるはずです。

もし気が向いたなら、「今、こうしたい！」と思えることを、できるだけ選び取るようにしてみませんか。そうすることで、今まで感じていたいわゆる「生きづらさ」のようなものを、減らしていけるだろうと思います。「今までこうしてきたから」とか「やるべきだから」といった、無意識下で行われる自動運転のようなことは、少しずつ減らしていけたら素敵です。それらが悪いとは申しませんが、それをしていると結局また、伸びすぎた枝葉状態になってしまうんですね。せっかく占いをご覧になったのですから、そうしたスキルにつなげていくのもアリだと思います。きっと、一生使えるスキルになります。

 

ここでの頑張りは、実は2022年のあなたへのギフトのような役割も果たすことになるでしょう。というのも、12月29日以降、あなたは対人関係において、ふわりと明るいスポットライトが当たるような日々を送ることになっているからです。それは決して、突然訪れる幸運、といったものではありません。あなたが責任をもって目の前のことに取り組み続けた、どんなときも「もう知らんわ」と投げ出したりはしなかった日々を、見てくれている人がいるからです。ここまでの努力が信頼となって、あなたに降りかかるあたたかいまなざしと、対等な対話につながっていきます。冒頭で書いたように、誰かのために力を尽くしてきた人は、愛やパートナーシップというかたちで今後が見えてくるでしょう。「縁の下の力持ち」だった人も、縁の下から出て力強く力を合わせていく「相棒」になるのかもしれません。

全部が、つながっているんですね。

 

最後にひとつだけ。夏から秋にかけては、健康にご注意ください。感染症対策は言うまでもありませんし、すでにしっかりなさっているとは思いますが、10月上旬頃までは調子が出にくかったり、体調管理が甘くなったりしがちな時期です。人のために頑張るにも、自分が果たすべき役割でベストを尽くすためにも、心身はできるだけ丈夫であるほうがいいのです。10月以降の体調は万全のはずですから、あまり心配しすぎる必要はないかと思いますが、「健康に気をつけなければ！」「痩せねば！」といった強迫観念のようなものがストレスにつながりやすいので、ゆるっと考えるレッスンなどもしていけるといいのかもしれませんね。

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