7月7日に発売になった『読んでほしい』は、放送作家おぎすシグレ氏のデビュー小説。
『大家さんと僕』の矢部太郎さんが、原稿を読んで共感してくださり、推薦文とともに、カバーイラストまで描いてくださった!という、注目すべき作品だ。
本書を読んだブックジャーナリストの内田剛さんから感想が届きました!
内田さんは、元カリスマ書店員さんであり、”本読みのプロ”中のプロ。
さて、その絶賛のコメントとは……!?
* * *
おすぎシグレさんの『読んでほしい』、とても良かった!
このゾワゾワする焦ったさは、
ラブストーリーのようであり、
落語ネタのようでもある、
実に実に、味わい深い物語ですね。
読ませる、というだけなのに、まさか、こんなにもドラマがあるとは。
しかも(ネタバレになるので書けないが)オチも素晴らしい……
主人公の小市民的というか人間臭さが存分に伝わってきて、
愛すべき可笑しみが、ジワジワとこみ上げてきました。
日常生活に支障が出るほど、読後のニヤニヤが止まりません……!
ラストの思わぬ感動と、
このちっぽけな世界観、最高です!
ソーシャルディスタンスで、人間関係について考えることが多い昨今だからか、余計に染みますね。
矢部太郎さんによるジャケットもインパクトが最高ですし、本気で「読んでほしい」物語。
しかしこれがデビュー作とは! 率直、驚きました。
得がたい才能とセンスに、今後も大いに期待しております。
―ー内田剛(ブックジャーナリスト)
読んでほしい
放送作家の緒方は、長年の夢、SF長編小説をついに書き上げた。
渾身の出来だが、彼が小説を書いていることは、誰も知らない。
誰かに、読んでほしい。
誰でもいいから、読んでほしい。
読んでほしい。読んでほしい。読んでほしいだけなのに!!
――眠る妻の枕元に、原稿を置いた。気づいてもらえない。
――放送作家から芸術家に転向した後輩の男を呼び出した。逆に彼の作品の感想を求められ、タイミングを逃す。
――番組のディレクターに、的を絞った。テレビの話に的を絞られて、悩みを相談される。
次のターゲット、さらに次のターゲット……と、狙いを決めるが、どうしても自分の話を切り出せない。小説を読んでほしいだけなのに、気づくと、相手の話を聞いてばかり……。
はたして、この小説は、誰かに読んでもらえる日が来るのだろうか!?
笑いと切なさがクセになる、そして最後にジーンとくる。“ちょっとだけ成長”の物語。
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