1月、まるっきり覚えていないけれど、私のいた大学で講師をしているという男から急に連絡がきて、「どうしても相談したいんだ」的な思いつめた内容だったので、年に数回だけ湧く善意が湧いてきて、かといって私もそこそこ忙しいので、というかそもそもものすごく面倒くさがりなので、「歩いて行けておいしいものが食べられるところなら出かけて行ってもいいかもしれない」と、上からマリコな返事をして、六本木の駅から徒歩5分くらいの場所にあるオサレイタリアン「トラットリア・イルフィーゴ・インゴルド」(嫌味に長い名前だ)に呼び出し(勿論奢られる想定。当たり前じゃ!)、話を聞いた。彼の話をものすごく噛み砕いて若干のまあまあ好意的な解釈を加え、さらに酢漬けにして1週間くらい放置すると、要はこういうことだった(だって2時間も話し続けていたんだもの)。
今の彼女とは付き合って1年。半年くらいたったころから、なんとなく彼女が口ごもるような、言いにくそうなことがあるような、どうしたの?と聞かれたそうな顔をするようになった。彼女がしゃべりやすい雰囲気を心がけ、緊張感をほぐして、ん?どうした的な気軽な発言を頻発させ、前歯に青のりついていようとカレーの匂いが漂っていようと俺は君が好きだぜベイベー的な振る舞いを心がけていたところ、ある日セックス後のベッドで彼女が口を開いた。その内容とは、「私、ずっとOLだって言ってたけど、今は会社の派遣もやってるんだけど、実は昔ちょっとだけキャバみたいなとこで働いていてね」というなんとも面白みのない、あるあるな話ではあったのだけど、その「キャバみたいなところ」というのがミソで、言ってしまえばソフトな風俗経験者だったという。
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お乳は生きるための筋肉です~夜のおねえさんの超恋愛論~
私はお嬢様で東大院卒でFカップで、その他もろもろの経験も豊富で収入もまあまああるのに、全然幸せじゃありません。恋で得たものと、恋で失ったものをひとつずつあげていけば、確実に後者が前者を凌駕する人生を歩んできました。まわりの夜のおねえさん方や昼のおねえさん方を見渡せば、不思議とそんな方々ばかり。恋愛でほんとうに幸せになれるのか。オカネで買えない幸せなんかあるのか。この連載で究めてみたいと思います。