ある時期から小説を読まなくなったのは、作られた話に乗れなくなったからで、ノンフィクション、特に動物行動学の本ばかりを好んで読んでいました。
久しぶりに小説を手に取ったのは、映画を見たかったからです。原作のある映画を見るときは、先に原作を読んでおきたい派です。映像を見てしまうとイメージが限定されるので、まず何もないまっさらな状態で読みたいのです。
恩田陸さん原作の『蜜蜂と遠雷』をなぜ見たいと思ったのかはよく覚えていません。配信開始のCMが魅力的だったのかもしれません。見たいと思って、まずは原作を読まなければと本を手に取って、その分厚さに一瞬怯んだけれど、読み出したら止まらなくて一気に読みました。
紙の上に並んでいるのはただの黒い文字なのに、音楽と色彩と匂いさえ感じられる豊かな世界がそこにはありました。子どもの頃に読んだファンタジーで、タンスの向こうに見知らぬ世界が広がっていたように、紙の向こうに新しい空間が広がっていました。語彙の豊かさ、言葉で音楽を表現する巧みさ、壮大で緻密な物語。作家ってすごい。すごすぎる。作家の頭の中ってどうなっているんだろう、どこまで広がっているんだろう、ルーツはどこにあるんだろうとご本人に興味が湧いて、今度はエッセイを手に取りました。
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大人バレエの世界
いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。
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