都心のスーパーでも見事に並んだ青梅を、ちょっと漬けてみようかと手にとった人は今年は案外多かったかもしれません。趣味とまで堂々言えずとも、季節を感じる手仕事はそれだけで心が癒され、楽しいもの。自然の暮らしを愛するベテランで、軽井沢にお住まいの絵本作家accototoさんのお宅でも、毎年、青梅が並びだす季節には、この”梅仕事”をするそうです。フォトエッセイ『絵本作家の森のいえ便り』から、おいしく作るコツまでたっぷりお届けします。
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梅仕事
6月に入ってスーパーに青梅が並び出したら、梅仕事の始まりです。気候的にも保存食作りに向いている土地だからか、ホームセンターに梅干しや味噌を作るための壺(つぼ)や樽(たる)、道具が売られていることに気づき、ここに暮らすようになってから、梅仕事をするようになりました。
梅干し作りは乾燥させることが肝なので、天気を気にしながら行う作業。天気予報を見つつ、晴れの日を確かめて一気に作っています。ヘタを取る仕事は子どもたちが担当。コツを摑むと竹串で気持ちよく取れるので、面白がって進めてくれます。我が家の梅干しはシンプルに塩だけで作るもの。ここに引っ越してすぐぐらいから始めたので、だいぶ塩梅(あんばい)もわかってきて、味が定まってきたような気がします。梅酒は、基本のホワイトリカーの他に、ウイスキーを使ったりしながら、アレンジして。寝かす年数による味の違いを飲み比べるのも、楽しいですね。
最近始めたのは、梅ジュース作り。氷砂糖を使った簡単なものですが、2年くらい前から梅干し作りで出た梅酢を入れてみるなど、工夫するように。まだ「これ」という味になってはいませんが、子どもたちにとっては夏のドリンクの定番に。水割りやソーダ割りで飲むので、1シーズンでなくなります。
寝かせることで深みが増し、だんだんと好みの味になっていくのも梅仕事の面白さ。梅仕事が終わったら梅雨、そして夏が始まる。その季節への慣らし運転としても、大事な習慣になっています。
下準備
まずは梅をていねいに水で洗い、しっかりと水気を拭きます。そのあと竹串などで、ヘタを取り除きます。青梅は梅ジュースや梅酒を、黄色く熟したものは、梅干しを作るのに使います。熟しすぎて傷みのある梅は不向き。傷みを確かめながらより分けるのも、おいしい梅干し作りのポイントです。
梅ジュース
熱湯消毒した保存瓶に、梅、氷砂糖を交互に入れます。氷砂糖が溶けたら飲み頃。水や炭酸水で割って飲みます。
梅酒
熱湯消毒した保存瓶に、梅、氷砂糖を交互に入れて、ホワイトリカーを注ぎます。半年くらいで飲めるようになりますが、1年以上寝かせると深い味わいになります。
梅干し
熱湯消毒した容器に、塩、梅を交互に入れます。最後に塩を振って重石をし、出てきた梅酢に全体が漬かったら、梅を取り出して、ザルに並べて干します。乾いたらひっくり返し、3日くらい干したら、熱湯消毒した保存瓶に入れ、冷暗所で保存します。
新しい趣味
毎日を充実させてくれるさまざまな趣味。以前から好きなもの…とはまた違う、このコロナ禍で新しく出会った、再認識した、喜びの世界。