初めて明かす生い立ちのこと、仕事の場である東京を離れハワイ移住を決意した理由とはーー。
ありのままの姿を綴った吉川ひなのさんの最新エッセイ『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』は、現在4刷り55000部と大きな話題を呼んでいます。
食事やヨガ、自宅出産や独自の子育て論など、さまざまな角度からオーガニックなライフスタイルを紹介している本書から、一部を抜粋してお届けします。
* * *
自己肯定感という名の幸せホルモン
今でこそ自己肯定感というワードが世の中に広まり、自信を持ったり自分を大切にしたりするにはどうしたらいいのか考えやすくなったけれど、その言葉を知る前は、どうしたら自信が持てるのかわからずいつも途方に暮れていました。
逆に夫はどんなときでもポジティブで、同じことを言われてもわたしとはまったく違う観点から物事を受け止めるタイプ。
いつでも冷静で自分に自信があって、人のことも許せる分自分が人に受け入れられることも知っていて、わたしはそんな彼が羨ましかった。
自分に自信が持てないわたしは人間関係にも一苦労で、上手な言い方ができなかったけれど相手は嫌な気分になっていないだろうか、わたしは誤解されていないだろうかと、いつも彼に相談していました。
その度彼は、「大丈夫だよ。誰もそんなふうには思わないよ、それでいいんだよ」と言い続けてくれて、大人になってから自己肯定感を築くためには、彼が懲りずに何度も同じ言葉をかけてくれたことや、ものごとをいつもシンプルに捉えるように気づかせてくれることが必要不可欠でした。
わたしがこんなにも自分に自信が持てなくなってしまったり、自己肯定できなかったのには数々の理由があるはずだけど、考え方の癖が作られていくのは幼少期だから、自分が育った環境や親との関係を改めてほどいていき、その経験から子どもたちにどう接するのがいいのかを意識するようになりました。
子どもたちに対して一番のギフトだと思うのは、育った環境や親との関わりから当たり前に自己肯定ができる人間にいつの間にかなれていること。
そのためだけじゃないけれど、わたしは子どもとの関係においてこんなことを意識しています。
・子どもを子ども扱いしない
子どもに一人の人間として対等に接していると、子どもは自分の言動に責任を持つようになる。
わたしが子どものころ、子どもは黙ってなさいとか、子どもにはわからないとよく言われていたけど、子どもは大人よりずっと感覚が研ぎ澄まされているから、子どものほうがよっぽど色んなことがわかっていたりする。
それに、たとえ子どもにはわからないことだとしても、同じ空間にいて気になっているなら知る権利があると思うから、わかりやすく説明をしたり、どうしても言えないことならそれを正直に伝える。親子でも、お互い踏み込まない領域を持っていたっていいとわたしは思うから。
・子どもに「気をつけて」は言わない
娘は2歳のころから大荷物で出かけるような子で、それは今も変わらないけど、わたしは一度も娘の荷物をチェックしたことがない。
それは、親としての責任を放棄しているわけではなくて、娘を心の底から信頼しているからで、もしなにか問題になるようなものを持って出かけて誰かに叱られたとしても、それも大切な学びだと思ってる。
わたしは一度も宿題をやりなさいと言ったことがない。やらなきゃいけない宿題があるのは娘が一番わかっていることで、もしそれをやらなかったとしてもその結果を背負うのは娘。もしやりたくないのであればそのことを娘が先生と話し合えばいいと思うし、「親に言われたから」ではなく、なにごとにも自分で向き合う癖をつけるのは大事なこと。ただし、手伝ってと言われたら全力で手伝います。
信頼には色んな意味があるけれど、わたしは子どもたちの将来も健康も幸せもなにもかもを心から信頼してる。子どもたちが出かけるとき「気をつけてね」と言わないのも彼らを信頼しているから。あなたならどこへ行ってもなにがあっても大丈夫だと思っているよという気持ちで、「気をつけてね」の代わりに「楽しんできてね」と伝えるようにしています。
・子どもを支配しない
大人の権力を使って子どもをルールで縛るのはとっても簡単。
でもそうしてしまったら、子どもたちには本質的な意味がわからないままになってしまうし、自分で考えたり責任を負ったりする学びのチャンスを奪ってしまう。
だからもしルールを作るときは子どもと対等に話し合い、お互い納得した上で一緒に決めていきます。
意見や考えが食い違ったときは、子どもの意見を真剣に聞くし、自分の意見も卒直に伝えます。
また子どもを早く寝かせたかったり、取り急ぎ言うことを聞いてほしかったりするときも、おばけがくるよ、などと怖がらせるようなことはしません。
実態のない恐怖を植え付けたくないし、事柄によってどうしても仕方のないときはあるけれど、基本的には言うことを聞いてほしいと思うこと自体が支配的だと意識するようにしています。
それと、当たり前だけど自分が悪かったと思ったときは、子どもにきちんと謝るようにしています。
・うざいほどに愛を伝える
少しだけ手が離れてプリスクールに通い出したりお友達ができるようになったりしたら、子どもの人生は子どもに任せて、干渉しません。
知りたいと思ったことは素直に聞くけど、子どもが言いたがらなかったらそれ以上は無理に聞かない。
親子だからといってそれぞれの人生なわけだから、お互いに全てを把握してる必要はないと思っています。
だけど子どもが頼りたいときや、親が必要なときはいつでも側にいる安心感と甘えやすい関係を維持して、子どもの話をちゃんと聞くようにしています。
そして、毎日子どもたちのことがどれだけ好きかと、素晴らしいと思ったことや、すごいなと思ったこと、手も足も耳もお尻も全部かわいくて大好きでたまらないことを、毎日それぞれにうざいほど伝えています。
自己肯定できるって、幸せを感じることと直結していると思うから。