今年はいつもと違う夏ですが、旅行も外出もしづらい夏休み。お父さんお母さんは、お子さんたちとどのようにお過ごしですか。
「そろそろお受験の準備したほうがいいかしら」「この子の将来はどうしたらいいのだろう」「お友だちと仲良くしてるのかな」「習い事を増やそうか」「リモートとはいえ仕事ばっかりで子どもとの時間がなかなかない」「最近生意気になってきた」「子どもの考えていることがわからない」「こんな時代に、どんな未来を生きていくのだろう」……。
夏休みで目の前に子どもがいたりすると、普段は考えないような真面目な子育ての悩みにぶち当たったりして、ただでさえも暑い毎日なのに、頭がショートしそうなぐらい悶々としていらっしゃるのではないでしょうか。
そんな中、
「私には子育てをしてきた自覚も一区切りついた達成感も何もない。本当になるようになっただけとしか思っていないし、これからもそうだ。」
と言い切ったのは、漫画家のヤマザキマリさん。8月に発売されたばかりの『ムスコ物語』の抜粋です。
子育て、教育、となると「手遅れなのではないか」「私は何もしていないのではないか」「ちゃんとしないといけないのではないか」「間違っているのではないか」ととにかく親たちは自分を責めがち。しかし、ヤマザキさんは、「そもそも子育てってなんだろう」と私たちに問いかけます。
これは、「子育ての自覚がない」というヤマザキさんと息子、デルスさんの物語です。帯にデルスさんは、
「母のおかげで国境のない生き方を身につけられた私は、おかげさまでこれから先も、たったひとりきりになったとしても、世界の何処であろうと生きていけるだろう」
とコメントを寄せていらっしゃいます。ヤマザキさんがしてきたのが子育てではなかったとして、大人のデルスくんがこのように言い切っていることを考えると、ヤマザキさんとデルスさんの間には、もっと大切な濃厚な二人にしか築けない時間や関係があったのではと思わずにはいられません。
正解も完璧もない。親子の数だけ物語がある。
養老孟司さんが「人生を真剣に生きたい人に薦めたい本」、ブレイディみかこさんが「ハハもムスコもほんとうに強くてやさしいヒューマン・ビーイングだ」と大絶賛の、『ムスコ物語』。次回から特別に試し読みを公開します。ぜひお楽しみください。
『ムスコ物語』刊行記念
国籍?いじめ?血の繋がり?受験?将来?なんだそりゃ。
「生きる自由を謳歌せよ! 」
『ヴィオラ母さん』で規格外の母親の一代記を書いた著者が、母になり、海外を渡り歩きながら息子と暮らした日々を描くヤマザキマリ流子育て放浪記。
「どうってことない」「大したことない」。スパッとさらっと、前を向いて「親こそ」楽しんでいこう!