お気に入りの和菓子屋さんがあって、前を通るときは外からショーケースをチェックする。人気店なので夕方に行くと品が少なくなっており、チェックせずに入ると食べたいものがない場合がある。一旦入ると、なんも買わずに帰ることができない雰囲気の店だから入店前のチェックは重要であった。
店先の観葉植物の陰からショーケースをじーっと見る。
おはぎが見えた。
おはぎが食べたい。
しかし、わたしはこしあんではなく、つぶあん派。
さらにじーっと見る。そんなわたしをお店の人がじーっと見ていた。
あった、つぶあん。いそいそと店に入って買って帰った。
甘党である。甘いものが好きなのだ。とはいえ好みも一応ある。
わたしは甘い中に、甘くない味があるのが結構好きで(なぞなぞか?)、たとえばおはぎはごはんの部分は甘くない。好きだ。
みたらし団子。団子の部分が甘くない。好きだ。
たいやき。皮の部分はそれほど甘くない。好きだ。
福岡の太宰府天満宮に行ったときに参道で食べた「梅が枝餅」。香ばしく焼いた甘くない餅の中にあんこが入っていた。
「100点でた!」
このバランスこそわたしが求めていたものであった。近所のスーパーで冷凍の「梅が枝餅」を発見したときは小躍りしたものだった。
もしもわたしが和菓子屋を持つとしたら、甘い&甘くないがセットになったものが中心になるのだろう。美しいねりきりも最中の皮で包まれて売られてしまうのかもしれなかった。
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前進する日もしない日も
仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。
編集部からのお知らせ
「前進する日もしない日も」は2022年4月にリニューアルしてスタートします。どうぞご期待ください!