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時をかける老女

2021.09.28 公開 ポスト

#13

信仰は認知症には勝てなかったようだ中川右介

2020年秋、中川右介は91歳の母を引き取り、介護生活をスタートさせた。いまの彼女の関心事は「今日が何曜日か」だけだ。「何月」で「何日」か、はどうでもいいらしい。クリスマスが近づいていた。それなりに熱心なキリスト者だった母はいま、それを話題にもしない。

(写真:iStock.com/losiks)

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時をかける老女

91歳の母親と、33年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった。この日記は、介護殺人予防のために書き始めたものである。

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中川右介

一九六〇年東京都生まれ。編集者・作家。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、音楽家や文学者の評伝や写真集を編集・出版(二〇一四年まで)。クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガ、政治、経済の分野で、主に人物の評伝を執筆。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、データと物語を融合させるスタイルで人気を博している。『プロ野球「経営」全史』(日本実業出版社)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『国家と音楽家』(集英社文庫)、『悪の出世学』(幻冬舎新書)など著書多数。

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