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『北の国から』黒板五郎の言葉

2021.10.08 公開 ポスト

「北の国から」放送40周年記念。今、噛みしめる黒板五郎の言葉。

「夜になったら眠るンです」幻冬舎編集部

生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ「北の国から」放送40周年記念。黒板五郎が過ごした20年の日々を、追体験する1冊となる、『『北の国から』黒板五郎の言葉』より、あの、名言の数々をご紹介します。

北の国から 第1回

黒板五郎(田中邦衛)は、息子の純(吉岡秀隆)と娘の蛍(中嶋朋子)を連れて、故 郷の北海道・富良野へと戻って来た。東京にいる妻・令子(いしだあゆみ)とは距離 を置き、子どもたちと富良野で暮らすためだ。しかし、住もうとする家には電気も水 道もガスもないことを知って、純は愕然とする。

純「電気がないッ」
 トイレの板壁をはり直している五郎に、純、もう然とくい下がる。
純「電気がなかったら暮らせませんよッ」
五郎「そんなことないですよ(作業しつつ)」
純「夜になったらどうするの!」

五郎「夜になったら眠るンです」

純「眠るったって。だって、ごはんとか勉強とか」
五郎「ランプがありますよ。いいもンですよ」
純「い──。ごはんやなんかはどうやってつくるのッ」
五郎「薪で炊くンです」

*   *   *

北の国から 第2回

純は、富良野での生活にまだ馴染めない。それどころか、何とかして母に連絡をとり、 東京へ戻れないかと考えている。

五郎「──そうだ、君たちお金を持ってますか?」
蛍「持ってる」
純「持ってません、先月からお小遣いもとどこおっており」
五郎「すこしはあるでしょう」
純「───」
五郎「すこしくらいは」
純「ほんのすこしですよ」
五郎「それ出しなさい」
純「どうしてですか」
五郎「いいから出しなさい。蛍君も出しなさい」
蛍「ハイ」
蛍、金を出す。
純も──しぶしぶ金を出す。
五郎「これは父さんがあずかります」
純「ア! イヤ、シカシ」

五郎「ここの生活に金はいりません。欲しいもんがあったら──もしもどうしても 欲しいもンがあったら──自分で工夫してつくっていくンです」

純「(ふん然)だ、だけどそんなこといったって!」

五郎「つくるのがどうしても面倒くさかったら、それはたいして欲しくな いってことです」

関連書籍

倉本聰/碓井広義『『北の国から』黒板五郎の言葉』

金なんか望むな。倖せだけを見ろ。 そして謙虚に、つつましく生きろ。 我々が生きるべき“座標軸"を示した奇跡のドラマ『北の国から』放送40周年記念。 田中邦衛氏演じる黒板五郎が過ごした20年の日々を、名場面と名セリフで追体験する1冊。 「夜になったら眠るンです」 「人には上下の格なンてない。職業にも格なンてない」 「人を許せないなンて傲慢だよな」 「男が弱音をな――はくもンじゃないがな」 「疲れたらいつでも帰ってこい 息がつまったらいつでも帰ってこい」 「男にはだれだって、何といわれたって、戦わなきゃならん時がある」 「お前の汚れは石鹸で落ちる。けど石鹸で落ちない汚れってもンもある」 黒板五郎は決して饒舌ではない。むしろ無口な男だ。しかし、五郎が発する言葉だけでなく、度々の沈黙の奥にも、語り尽くせない喜び、悲しみ、悔しさ、そして愛情が溢れている。そこに込められた、家族と周囲の人たちに対する熱い気持ちは普遍的なものであり、古びることはない。(「おわりに」より) 1981年10月にスタートして82年3月末に全24話で放送を終えた『北の国から』と、83年〜2002年に放送された8本のスペシャル全話からピックアップした、現代人に響く黒板五郎の名セリフ。

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