生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ「北の国から」放送40周年記念。黒板五郎が過ごした20年の日々を、追体験する1冊となる、『『北の国から』黒板五郎の言葉』より、あの、名言の数々をご紹介します。
北の国から 第1回
黒板五郎(田中邦衛)は、息子の純(吉岡秀隆)と娘の蛍(中嶋朋子)を連れて、故 郷の北海道・富良野へと戻って来た。東京にいる妻・令子(いしだあゆみ)とは距離 を置き、子どもたちと富良野で暮らすためだ。しかし、住もうとする家には電気も水 道もガスもないことを知って、純は愕然とする。
純「電気がないッ」
トイレの板壁をはり直している五郎に、純、もう然とくい下がる。
純「電気がなかったら暮らせませんよッ」
五郎「そんなことないですよ(作業しつつ)」
純「夜になったらどうするの!」
五郎「夜になったら眠るンです」
純「眠るったって。だって、ごはんとか勉強とか」
五郎「ランプがありますよ。いいもンですよ」
純「い──。ごはんやなんかはどうやってつくるのッ」
五郎「薪で炊くンです」
* * *
北の国から 第2回
純は、富良野での生活にまだ馴染めない。それどころか、何とかして母に連絡をとり、 東京へ戻れないかと考えている。
五郎「──そうだ、君たちお金を持ってますか?」
蛍「持ってる」
純「持ってません、先月からお小遣いもとどこおっており」
五郎「すこしはあるでしょう」
純「───」
五郎「すこしくらいは」
純「ほんのすこしですよ」
五郎「それ出しなさい」
純「どうしてですか」
五郎「いいから出しなさい。蛍君も出しなさい」
蛍「ハイ」
蛍、金を出す。
純も──しぶしぶ金を出す。
五郎「これは父さんがあずかります」
純「ア! イヤ、シカシ」
五郎「ここの生活に金はいりません。欲しいもんがあったら──もしもどうしても 欲しいもンがあったら──自分で工夫してつくっていくンです」
純「(ふん然)だ、だけどそんなこといったって!」