生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ「北の国から」放送40周年記念。黒板五郎が過ごした20年の日々を、追体験する1冊となる、『『北の国から』黒板五郎の言葉』より、あの、名言の数々をご紹介します。
北の国から 第17回
東京へ帰る令子。駅のホームで見送る五郎と純。そこに蛍はいない。走り出す列車。 ふと窓外に目をやった令子が、川の土手を走る蛍に気づく。必死で手をふる令子。けん命に走り続ける蛍。その目には涙があふれていた。
五郎「お前まだあいつのことおこってるのか」
純。──乱暴に火をくべる。
五郎「けどな」
純「───」
五郎「人はそれぞれ悲しいときに──、悲しさを表す表し方がちがう」
純「───」
五郎「人前で平気で泣けるものもいれば──、涙を見せたくない、そうい うものもいる」
純「───」
五郎「蛍にとって母さんと別れるのが、つらくないことだとお前思うか」
純「───」
五郎「何もいわないでも、もしかしたら蛍はお前や父さんよりもっとつらくて──。だから送りに行かなかったのかも知れんぞ」
* * *
北の国から 第18回
分校の廃校式も終わり、夏休みに入った。凉子先生は自分が富良野ではなく道内のど こかへ転任することになると覚悟している。五郎と和夫も凉子先生をめぐって……。
和夫「きいたか」
五郎「何を」
和夫「凉子先生のこと」
五郎「どうしたの」
和夫「イヤ本校への転属問題だ」
五郎「子どもたちといっしょに移るンでないのか」
和夫「いやそれが今いろいろ問題になってるらしい」
五郎「どうして」
和夫「よく知らんが先生のやり方に、いろいろ批判があるらしい」
五郎「やり方って」
和夫「たとえばホレ試験のときあの先生だら、みんなに一律百点やるだろう」
五郎「ああ」
和夫「あのことも問題になっとるらしいし、それに、休みの日に子どもたち誘って、山菜とり行ったり川へ行ったり、──そういうこともなンやかやあるらしい」
五郎「何やかやって何よ」
和夫「つまりよ、今は学校の先生が、学校に出ている時間以外に、必要以上に生徒とい るのはかんばしくないっちゅう考えがあるンだと」
五郎「どういうことだそりゃ」
和夫「おれにもよくわからん。したけどそういう方針があるンだと」
五郎「バカバカしい! 先生が生徒と親しくしていったい何がわるいのよ」
和夫「わからん」
五郎「したけど中ちゃん、あの先生はオラ好きだど」
和夫「───」