生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ「北の国から」放送40周年記念。黒板五郎が過ごした20年の日々を、追体験する1冊となる、『『北の国から』黒板五郎の言葉』より、あの、名言の数々をご紹介します。
北の国から 第19回
凉子先生と一緒にUFOを見に行った蛍が夜になっても戻らず、騒動になった。2人 無事発見されたが、純が事の顚末を新聞記者に洩らしてしまい、蛍は取材を受けることになる。
雪子「新聞にのってるの? あの晩のこと」
五郎「さァ」
雪子「義兄さん、純ひどく気にしちゃってるわ」
五郎「──―」
雪子「もうこれ以上おこらないでやって」
五郎「そのことでくさってるわけじゃないンだ」
雪子「?」
五郎「──―」
五郎、ポケットから一通の封書を出し、雪子に渡す。
五郎「(ちょっと笑い)見てみろよ雪ちゃん。それ一枚で全部終わりだ」
雪子、封筒の裏を見、中から紙を出す。 離婚届の受理通知書がはいっている。
五郎「簡単なもンだな」
雪子「───」
五郎「これで雪ちゃんとも、──他人になっちゃったよ(ちょっと笑う)」
五郎「ちょっとオレ町まで飲みに行ってくるわ」
* * *
北の国から 第20回
蛍がUFO騒動の取材を受けたテレビ番組が放送される。だがスタジオのコメンテー ターたちは蛍の目撃証言に否定的だった。嘘つきのように扱われた蛍は傷つく。
五郎「(食べながら)蛍。──くさるな。もう忘れろ」
蛍「───」
五郎「君は自分がその目で見たことを見たとおりしゃべった。当り前の話だ」
蛍──食べている。
五郎「(食べつつ)人が信じようと信じまいと君が見たものは信じればいい。父さんも信じる。雪子おばさんも信じる──純も信じるな?」
純 (大きくうなずく)
五郎「うン。それから中畑のおじさんやおばさんやすみえちゃんや中川の兄ちゃんやクマさんや、今日いたものはみんな信じてる。そういう人間が君にはいっぱいいる。 だからそれでいい」
蛍「───」
五郎「忘れろ、今日のことは。きれいに忘れろ」
蛍「──(ちょっとうなずく)」