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『北の国から』黒板五郎の言葉

2021.11.10 公開 ポスト

「北の国から」放送40周年記念。今、噛みしめる黒板五郎の言葉。

「人には上下の格なンてない。職業にも格なンてない。そういう考えは父さん許さん」幻冬舎編集部

生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ「北の国から」放送40周年記念。黒板五郎が過ごした20年の日々を、追体験する1冊となる、『『北の国から』黒板五郎の言葉』より、あの、名言の数々をご紹介します。

北の国から 第22回

五郎「純」
純「──ハイ」
五郎「父さんの誕生日をやってくれるそうだな」
純「あああ! せっかく秘密にしといたのに」
五郎「こごみさんには、もう断わったか」
純。
蛍。 外からはいって来て立ちどまった雪子。
五郎「来ないでほしいと断わりに行ったか」
純「──イヤ。アノ」
五郎「純」
純「──ハイ」
五郎「来てほしくなければ断わればいい。父さん行って断わって来てやる。ただし」
純「───」
五郎「こごみさんが飲屋につとめてる人だからいやだという考えは父さん許さん」
純「───」

五郎「人にはそれぞれいろんな生き方がある。それぞれがそれぞれ一生けん命、生きるために必死に仕事をしている。人には上下の格なンてない。職業にも格なンてない。そういう考えは父さん許さん」

*  *  *

五郎はこごみの店を訪れ、誕生日の集まりがなくなったことを伝えた。こごみは自分も都合が悪くて断わるつもりだったと言う。


こごみ「人の噂って──五郎さん信じる人?」
五郎「いや」
間。 こごみ「じゃあ過去は?」
五郎「──―」
こごみ「過去にはこだわる?」
五郎「──―」
こごみ「許せないタチ?」 
間。
ちょっと笑う。
五郎「いや、もうそういうのは卒業したな」
こごみ「───」
五郎「いや、してないかな」
こごみ「───」
五郎「どうかな。自分じゃ──。よくわかンないな」
こごみ「───」 演歌。
五郎「むかし──女房のあやまちを見ちゃって」
こごみ「───」
五郎「何度も何度も手をついてあやまるのを、どうしてもオレ許すことできなくて」 
五郎「子どもたちまでまきぞえにして」
こごみ「───」
五郎「だけど最近ずっと思ってた」
こごみ「───」

五郎「人を許せないなンて傲慢だよな」

こごみ「───」 間。
五郎「おれらにそんな──権利なンてないよな」
五郎「女房──男といっしょになったって──妹ンとこに今日手紙来たンだ」
こごみ。 ──ゆっくり五郎を見る。 五郎、ちょっと笑う。
五郎「ホッとしてンだ」
こごみ「───」
五郎「卑怯かなオレ」

関連書籍

倉本聰/碓井広義『『北の国から』黒板五郎の言葉』

金なんか望むな。倖せだけを見ろ。 そして謙虚に、つつましく生きろ。 我々が生きるべき“座標軸"を示した奇跡のドラマ『北の国から』放送40周年記念。 田中邦衛氏演じる黒板五郎が過ごした20年の日々を、名場面と名セリフで追体験する1冊。 「夜になったら眠るンです」 「人には上下の格なンてない。職業にも格なンてない」 「人を許せないなンて傲慢だよな」 「男が弱音をな――はくもンじゃないがな」 「疲れたらいつでも帰ってこい 息がつまったらいつでも帰ってこい」 「男にはだれだって、何といわれたって、戦わなきゃならん時がある」 「お前の汚れは石鹸で落ちる。けど石鹸で落ちない汚れってもンもある」 黒板五郎は決して饒舌ではない。むしろ無口な男だ。しかし、五郎が発する言葉だけでなく、度々の沈黙の奥にも、語り尽くせない喜び、悲しみ、悔しさ、そして愛情が溢れている。そこに込められた、家族と周囲の人たちに対する熱い気持ちは普遍的なものであり、古びることはない。(「おわりに」より) 1981年10月にスタートして82年3月末に全24話で放送を終えた『北の国から』と、83年〜2002年に放送された8本のスペシャル全話からピックアップした、現代人に響く黒板五郎の名セリフ。

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