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フィンランドで暮らしてみた

2021.11.12 公開 ポスト

スペインでモルディブを夢見る芹澤桂(小説家)

スペインで2週間の休暇を取っていたときのことである。

1か所のアパートメントホテルに泊まり地元のスーパーで買ってきた食材を調理し、暮らすように旅する、というのは結婚以来ずっと夢に見ていたことだった。

なぜならうちの夫、普段はのんびりしているくせに旅行となると予定を詰め詰めにして滞在都市を数日おきに変えたり、ついでに隣の国もと結局大移動したりとせわしないのである。とにかく1か所にとどまっていられない性格なのでフィンランド名物のサマーコテージ(通常ひと夏を過ごす)も所有していない。 しかしこの旅だけは特別だった。子供が生まれて、赤子を連れてはそんなに移動ばかりもしていられないよね、と初めてスローダウンしてくれたのだ。休みも1か月取っていたけれど旅行期間は2週間強。夫もやればできるんだ! とひそかに感動していた、南スペインでの夜だった。

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芹澤桂 小説家

1983年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2008年「ファディダディ・ストーカーズ」にて第2回パピルス新人賞特別賞を受賞しデビュー。ヘルシンキ在住。

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