人気占い師、真木あかりさんの新刊 『2022年上半期 12星座別あなたの運勢』より、
全体運
「いつもの毎日」が、深くなる。
占いの文章というものはだいたい「仕事運はこうです」「モテ期が来ます」などという流れで書かれます。わかりやすさはとても大事なのですが、本稿を書いていてはたと困ってしまいました。2022年上半期のかに座の運勢は、頭のなかでの営みが3分の2を占め、なおかつイメージがどこまでもとめどなく広がっていく星回りでもあります。心のありようは多岐にわたるので、端的に表現するのはなかなかに困難です。おそらく読み進めていただくうちに、かに座のみなさんは「3行くらいでまとめてほしい」という気分になってくるでしょう。私もそれはやぶさかではない、むしろ進んでやりたいくらいなのですが、さすがに編集者さんに八つ裂きにされたうえに出禁を食らってしまいそうです。しかし敢えて申し上げましょう、かに座の2022年上半期を3行でまとめますと
・深い学びと洞察の季節です
・答えのない問いを、たくさん抱くようになります
・5月以降、仕事運に注目です
といった感じです。最初のふたつは1月から5月上旬くらいまでのお話で、頭のなかにスポットライトが当たります。といっても4ヵ月間ずっと頭を光らせているだけというわけではなく、行動にも移すでしょう。おのおのやるべきことを行い、食事をしてお風呂に入り、よく寝て、たまに恋をしたり泣いたり笑ったりして人生をやっていきます。その毎日に、いつもとちょっと異なる思考フローが加わります。精神的には非常に豊かでエキサイティングなのですが、毎日は「いつもの」なのですね。
内容は以上なのですが、よろしければ下記も併せてご活用いただけたらと思います。
行き先を決めない旅に出る。
かに座の人は2022年、年明けから4ヵ月ほどちょっと現実を離れて、また現実に戻ってきます。もちろん頭のなかでのお話なのですが、年明けから5月上旬まで、心が行き先を決めない旅に出ることになっているのです。そして、さまざまな疑問を持ちながら心のなかをどこまでも探求していきます。抱く疑問は人それぞれ。たとえば「幸せってなんだろう」「人生の意味とはどこにあるのだろう」といった答えのない問いは多く浮かぶでしょう。
探求の方法が、学びというかたちで表されることも多いだろうと思います。学びというと、机に向かって教科書を開いて……という光景が連想されがちです。たとえばこれまでは「受験に必要だから、この科目を徹底的にやろう」「仕事で必要だから、TOEICで高得点を取ろう」といった学び方をしてきた人がいるとします。それが、2022年上半期は「何の役に立つかはわからないけれど、ただやりたいから」という純粋な好奇心から何かを学び始めたりする。先ほど「行き先を決めない旅」と申し上げた通り、さまようことを楽しむのです。何かにすぐに役立てるために学ぶ姿勢とは、一線を画しています。
「それをやって、何の役に立つの?」――何かに一生懸命取り組んでいる人に向かってこうした言葉を放つのは、とても失礼で無粋なことだと私は思うのですが――その対象の価値が理解できないとき、純粋な興味から「どう役に立つのか」を知りたくなる人は少なくないでしょう。私たちは「役に立つ」ことが好きなのです。役に立てば人から称賛されますし、お金も儲かるでしょう。役に立つなら自分もやってみたい、あわよくば一山当てたいという人もいるでしょう。役に立つことは、成功法則のひとつなのです。
一方、「何の役に立つの?」と疑問を持たれがちな分野のひとつ、科学の基礎研究の場合はどうでしょうか。基礎研究の多くは、経済的価値がまるで未知数な段階からスタートします。謎を解明したい、仕組みを知りたいという、純粋な知への欲求がそこにはあるのです。役に立つかどうかは、価値がある・ないということとイコールではありません。
この時期、かに座の人は目的や「役に立つかどうか」という尺度からは切り離され、とことん自由でいられます。そんなものがなくたって深い好奇心を持てる分野を見つけることができますし、気づいたらどんどん行動を起こしているでしょう。それはとてもエキサイティングな心の旅であろうと思います。
何かの役に立つ。それはとても大事なことです。ただ、目的意識から物事を追い求めると、どうしても限界が出てきますね。「○○のために」と思いすぎると、その枠に合わせて物事を考えるようになるからです。一方、世の中のことはほとんどに「ために」があります。進学のために、就職のために、出世のために、モテるために。あらゆる「ために」が私たちのモチベーションを高め、目標としてそこに至るまでのルートや手段を明確にしてくれます。近代までであれば、すべてを「ために」に使わないと生きていけなかったのでしょう。目的のないことを楽しめるのは現代の豊かさであり、「ために」は既存の枠のなかに自分をはめに行くような行動――などと言ってしまっては、いささか意地悪に過ぎるでしょうか。
役に立つこと、何かのために動くことから少し解放されることで、かに座の人はいくらでも可能性を広げていくことができます。この上半期、これまでに経験がないほど深く考え、イメージを広げ、自分の可能性を開拓していける人は多いことでしょう。自分が真に理想とするものを「どうせつかめないのだ」と諦め半分で眺めるものではなく、「高いとわかっていて、でもつかんでみたい」と熱く追いかけていけるものとして抱く人も多いはずです。きっとそれが、今のあなたにとって必要ないとなみなのだろうと思います。
行き先を決めない旅の次に、目指すもの。
5月中旬以降、心がパッとモードチェンジします。旅から帰ってトランクを片付けたら日常! というように、行き先を決めない旅から現実への切り替わりが起こるのでしょう。ここから秋までは、キャリアにおける飛躍の時期。おそらくですが、あなたはここまで考えたことをただの妄想ではなく、社会のなかで活かしていきたいアイデアとして練り始めるのだろうと思います。あなた自身がそうしたことを考えるのはもちろんのこと、急に「そうそれ! そういう話!」と言いたくなるようなオファーが来たり、転職話を持ち込まれたり、といったことが起こる人もいそうです。目指すことをただ「やりたい」と思うだけでなく、社会のなかで活かしていくきっかけを得られるのがこの時期。キャリアにおいて大きな発展が得られるときであり、その詳細は「仕事運」のところで書かせていただきます。
おそらくですが、この時期のあなたがキャリアについて考えるとき、5月までに旅のなかで自由に思考し、追い求めたことが確かな軸となるのでしょう。あなたは「役に立つかどうか」から切り離されたとき、何に関心を持ったでしょうか。振り返ってみると、それが確かな礎となるだろうと思います
申し上げるまでもないことですが、キャリアは人によってそれぞれ、目指すものが違います。年収や、将来性といったものは多くの人が関心を示すテーマですね。たとえば、「この年齢で経営陣に入っておくと転職がしやすい」「この会社にいても、天井は見えているので」といった基準で転職を選ばれる方の話は、よく聞かれます。子育てや介護を視野に入れた働き方を考えたとき、制度が整っている会社を選ぶ人もいます。勤務先が家から近いから、経験がある職種だからといったことも、立派な理由です。
そこにこの時期、それらとは別軸で加わるテーマが、あなたが1月から5月上旬にかけて考えたこと、学んだことです。人生について、愛について、仕事のやりがいについて、あなたはたくさん考えることになります。役に立つかどうかわからないけれど、もっと深く知りたいと純粋な好奇心を持てるテーマに出会います。「役に立つかどうか」から切り離されたところで考えた、追い求めたことが、ここで「役に立つ」ことになります。
以前、内閣官房長官や厚生労働大臣を歴任したあと、政界を引退した塩崎恭久氏のニュースがメディアに取り上げられていました。塩崎氏が引退後、里親に登録したという話です。塩崎氏は記事のなかで、政治家になるのは社会貢献のためであり、政治家でなくなってもそれは可能だとおっしゃっていました。「サルは木から落ちてもサルだが、代議士は選挙で落ちればただの人」という言葉があることを受けてのご発言です。
塩崎氏の場合はライフステージの変化ですが、キャリア形成においても「自分はこのために生きるのだ」というブレない軸を持っておくと、選択に迷うことが少ないのだろうと思います。だから1月から5月は、たくさん考えてみませんか。こんなことをやって何の役に立つんだろうと思うことを、全力で追い求めてみませんか。今すぐには、どんなメリットがあるのか、果たしてあるのかどうかすら、まるで想像もつかないのかもしれません。それでも、人生の折々でつまずいて立ち止まるようなとき、ここで考えたことは確かな軸となって、選択する力を生み出してくれるのだろうと思います。
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電子書籍『2022年上半期 あなたの運勢』では、ここまでにご紹介した全体運に加えて「仕事運」「恋愛運」も掲載、月ごとの具体的なアドバイスもお読みいただけます。
また、電子書籍購入者のみの特典として、2022年上半期の重要日をお知らせいたします。
※完全版(12星座分)のみの特典となります。星座別の分冊版からはご覧いただけません。恐れ入りますが、ご了承ください。