4度の自殺未遂、その後は精神科病院に入院したり、デイケアに通ったり、生活保護を受けたりと、紆余曲折の人生を送ってきた小林エリコさん。
強い希死念慮に苛まれながらも、ここまで生き延びてこられたのはなぜか。出会ってきた人たちとのやりとりを振り返り、「生きること」の意味を考え直したエッセイ『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』の刊行を記念して、トークイベントを行います。
本書に収録されている「芸は身を助く」に登場したミニコミ誌「車掌」の編集長、塔島ひろみさんをお招きしてお話しします。
小林さんがミニコミに出会ったのは今から約20年前の短大生の時でした。新宿の「模索舎」や中野の「タコシェ」には実に個性的な本が並んでいました。「野宿野郎」「奇人研究」「フリースタイルなお別れ雑誌『葬』」など、タイトルだけで不安感を誘発するものが多かったそうです。短大にも馴染めず、バイト先のコンビニでは泣きながらレジを打つなどしていた小林さんは、それらのミニコミに少なからず親近感を覚えていました。
短大卒業後、編集プロダクションに勤めたものの、自殺未遂をして精神病院に入院し、実家で引きこもりをしていた小林さん。
その経験を活かして、「
ミニコミの知り合いが増え、そこで出会ったのがミニコミ誌の「車掌」でした。「車掌」というタイトルがついているものの、電車や車掌さんとは一切関係なく、テーマも「画鋲」や「げっぷ」など、正直意味のわからないものばかりだそうです。
人気企画の「尾行」については、今では完全にアウトな内容で、ストーカーという言葉が出る前だったから許されていた企画でした。1987年に創刊し、いまだにミニコミを作り続けている偉人の塔島さんをお呼びしてトークイベントを開催します。ちなみに塔島さんは「不自由特集」を作っているときに難病になり、不自由になった経験を持っているので、病気についても語っていただく予定です。
■イベント詳細
「普通の枠からはみ出した私たちの居場所〜ミニコミ(同人誌)を何十年も作り続ける理由〜」
【日程】2021年12月18日(土)19:00〜20:30
【会場】本屋lighthouse幕張支店
【定員】店内:10名 配信:無制限(ツイキャス利用)
■チケットのお求めはこちらから
私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに
「孤独だったんですね」
その言葉を耳にして、私は喉の奥に何かが詰まり、次の言葉をつなげなくなった。自分が孤独だということは薄々感じていたけれど、それを認めたくなかったのだ――
いじめに遭っていた子供の頃、ペットのインコが友達だった。初めてできた恋人には、酷い扱いを受けた。たくさんの傷を負い、何度も死のうとしたけれど、死ねなかった。そんな私をここまで生かし続けたものは何だったのか。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。そう思えた時、一歩ずつ歩き出すことができた。
どん底を味わった著者が、人生で出会った人たちとの交流を見つめなおし、再生していく過程を描いた渾身のエッセイ。
「人生はクソだ。それでも生きてさえいれば、いつか必ず美しいものに巡り合う。そういうふうに、できている」――はるな檸檬氏 絶賛!