魂をぶつけ合う欲さえなければ最高～『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみたヤバい結果日記』鈴木涼美

千葉県市川市の祖母の家はトイレが異様に広くて、一つの部屋の中に大便器と手洗い場と小便器がある作りだったのだけど、その、男しか使わないであろう小便器の前に立つと目の前に「青春」というタイトルが付けられ、筆で長々と記されたポエムなのか家訓なのかよくわからない文章が掲げられていた。トイレがリフォームされて、大便器の後ろに並べられていた祖母のマイセン人形コレクションが片付けられても、そのB4くらいのラミネート加工された結構大きいポエムの紙は結局ずっと掲げられ続けていたので、誰かがよほど気に入っていたらしい。