努力して頑張れる子になってほしい
妻:学年によって、やる気の引き出し方が変わってくると思うんです。学年によって何か気をつけていることってありますか?
ぬまっち:一年生は、多分ほっといてもやる。何でも楽しいって言いますし。だから学年が上に行けば行くほどやる気の着火は遅くなります。
妻:一年生はやる気を出しやすいんですね。
ぬまっち:ただ、年々思うんだけど、子どもたちが「2~3回練習したらすぐできる成功体験」を積みすぎていて、ちょっと難しいことに直面するとすぐ諦めてしまう。
妻:めちゃくちゃわかる!
ぬまっち:もちろん子どもの夢を潰しちゃいけないとは思いつつ、土日しかサッカースクールに行ってないのにプロサッカー選手を目指してるって言ってる奴は現実が見えていないのでは?と思う。一生懸命に練習することが大事とかではなく、そんな簡単にはできないって実感するような経験をしていないんだろうなって思ってしまう。
妻:うちの長女は6歳で、私の姉の子どもたちが11歳ぐらい。たった5年しか違わないのに、道具がめちゃくちゃ増えているんです。たとえば自転車の練習一つでも、うちの子はキックボードの後にストライダーに乗ってその後自転車の小っちゃい版に乗って……と、道具がアシストしてくれることがすごく多い。何でもできるっていう自信はいいんですけど、逆にすごく折れやすいなと感じていて。
ぬまっち:道具が増えて、簡単に気が付いたらできるようになっていることが増えてる。道具の進化はありがたいんですけど、できなかったときに、もうちょっと頑張ろうかなって思える子になってほしい。小学校に入るまでは体の成長とともにできるようになることが多いから、寝てたらできるようになることがほとんどじゃないですか。そうじゃなくて寝てるだけじゃできないことを学んでほしいなあと、一年生を持ちながら思ってます。
妻:ちょっと高い棚に手が届くようになったとかなんて、本当に寝てたらできるようになることですもんね。
小学校一年生の娘と接するときに気を付けているのは、気の入れ方を覚えてほしいということです。たとえば文字を書くにしても、大人でもきちんとしたお手紙を書く時にしっかりと気を入れないとなんか変な字になっちゃうことがあると思うんです。我が家にはちゃぶ台みたいなテーブルがあるんですけど、娘が甘えてそこで書こうとするのを、自分の机で書くように促したり。地べたに座ると、どう考えても机の高さと身長が合ってないのでおかしな感じになるけど、机に座れば自分の身長の高さと机の高さが合っているので、綺麗に書けるんですよね。姿勢がいいところでやった方が気は入るんじゃないのかなと思って。
ぬまっち:教師として思うのは、字が上手な子ほど恵まれた環境で良い姿勢で書いてますし、下手な子ほど教科書で散らかった机の、斜めになったところで書いています。片付けて書けばいいのにと思うけど。
気を入れっぱなしだと疲れちゃうんで、出し入れができる子になってほしいですよね。
妻:褒める時も、私たちはどうやってやる気を伸ばすか、好奇心を殺さないかを考えて、うちは驚くことにしています。とにかく「ええっ!!」って言ってみる。そうすると私たちを驚かせたいっていう思いが増すからか、より自分を超えてやるっていう気持ちになって、面白がってくれるんですよね。
妻「子供の作品を見る時は、吉本新喜劇の舞台に上がったと思って。イスから転げ落ちる、のけぞって“えー!”と驚く。褒めなくていい、驚けばいいの。言葉って高度なのよ。もっと原始的に五感に響くようコミュニケーションとればええの。大人も初対面で、出身地聞いて驚くだけで親近感もってもらえんで」
— 妻のパンチライン@書籍発売中 (@wifeisking) August 12, 2020
ぬまっち:その驚きは褒めだと思う。僕も著書の『one and only』に書いていますが、喜ぶのもいいですよ。「テスト満点なんてすごいじゃない」もいいんだけど、その後に「お母さん超嬉しい」って。それ意外に子どもにとっては大きいと思います。驚くも多分同じ理論ですね
妻:ええ、そうですね。喜び驚いているって感じですよね。
役割を作りすぎないほうが自主性が伸びる
妻:私たちの親世代は専業主婦が多くて、お父さんが働きに出て、という構図が多かったと思うんですけど、今ってそうでもない。妊娠出産時期だけ休んで仕事復帰しながら子育てもして、って言う人が増えています。だから夫婦の役割も性別を元に決めちゃうと辛くなるなと思うんです。小学校ではいつ頃から子どもたちがジェンダーの差を感じ始めるんですか?
ぬまっち:見えてる子は一年生から男女の差が見えてますよね。遅い子でも、体の成長が大人に近づいてきたあたりだと思います。僕、今妻さんが言ったのは本当にその通りだと思ってて。我が家は「係」を作ってないんですよ。できる人がやれ。まあ、そうすると両方やらない場合もあるわけですよね。
妻:うちはまさにそうでした。
ぬまっち:でもどうするも何も、文句もない。だって担当が決まっているわけじゃないから。僕は決めちゃうと義務になって、やる気が出ないんです。でも最近はなんとなく、お互いにやることが分かれてはきましたけど。男女だからっていう分け方はしていないかな。赤ちゃんにおっぱいあげるとかは男女で分けないといけないですけど。
妻:まあ物理的に出ないですからね。
ぬまっち:それって教室の中でも同じで、男だから女だからって言うより、これはクラスみんなでやってね、ってことを、やる子はやるし、やらない子はやらない。やってない奴ら、ずるいいじゃんって思うかもしれないけど、やったやつは経験値が獲得できるからいいじゃん、そしてやってることを先生は見てるよって話をしています。
一年生はそうやって話をした次の休みの時間、黒板消しの取り合いになったりします。
妻:じゃあ俺やる!みたいな。可愛いな~。
その苦手、本当にチャレンジしましたか?
妻:たとえばプリントをファイルにしまってお家の方に見せましょうってときに、くちゃくちゃになる子はたぶんいつも同じ子だと思うし、ちゃんと見せる子もまた同じ子だと思うんです。だから小さい頃から性格的な傾向はあると思う。そういう子が成長したとき、小さい頃から培われた得意意識・苦手意識をどうやって克服したらいいんでしょうか。
ぬまっち:苦手については丁寧に話す必要があります。そもそも、苦手って言っていいのは、ちゃんとチャレンジした人ですよね。やらないでできないのは苦手ではない。でも、やりもしないでできないことを苦手と言ってる人が結構います。
妻:ほんとそれです。本の中にも書きましたけど、「ポンコツな夫はいない。ただ、未熟なだけ」と同じことですね。
妻「ポンコツな夫vs大変な妻、なんで多いと思う?私の仮説な。35歳ならお互い立派な大人だと思うやん。でも家事歴は15年、子育て歴は1-2年だったりするの。とすると経験してきた妻でも中学生レベル、夫は下手したら全て赤ちゃんよ。この前提で夫婦ははじまる。ポンコツなんていない、お互い未熟やの」
— 妻のパンチライン@書籍発売中 (@wifeisking) August 31, 2020
ぬまっち:未熟なことをポンコツって言ってる人って多いと思うんです。何度も何度も挑戦してやりきって、結果思うことだったら仕方がない。そういうポンコツは愛すべきポンコツなんです。一生懸命やる姿を見て、頑張ってるけど出来ないんだったら、そこは仕方がない。
妻:でも、どんなポンコツでも何かを練習したり、極めようとしたらある程度のところまではいきますよね。
ぬまっち:そう。だから、人間苦手なことってそんなに沢山ないはずなんです。
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結婚、夫婦、子育て、女性のライフプランなどなどについてお話したSpaceの様子、今後もまだまだお届けしますのでお楽しみに。
妻のパンチライン
「毎日の家事・子育てのなかで、妻が息するように吐き出すパンチラインをつぶやきます。」
そんな自己紹介を掲げて始まったTwitterアカウント「妻のパンチライン」。
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