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どうしても生きてる

2021.12.09 公開 ポスト

文庫発売記念・解説一部試し読み

「実」の世界を、底へ、さらに底へ朝井リョウ

朝井リョウさん『どうしても生きてる』の文庫が発売となりました!

単行本から装い新たに、文庫カバーは生まれたばかりの蝶が目印です。

文庫本『もういちど生まれる』も手がけてくださった印南貴行さんの装丁です

解説をご執筆くださったのは、万城目学さん!

特別に一部をご紹介いたします。

 

ともに目にしている「今」の世界は同じでも、小説へのアプローチは、私と朝井氏とではまったくと言っていいほど違う。

私は徹頭徹尾、「虚」の作家だ。

先に紹介した、山田風太郎『八犬伝』のなかでの馬琴のセリフ、

「ツジツマの合わん浮世だからこそ、ツジツマの合う世界を見せてやるのだ」

は私の主張をおよそ網羅している。

一方、朝井氏はときに「虚」の物語も織りこみつつ、「実」の世界を、底へ、さらに底へとひとり掘り続けている。穴のへりからのぞきこんだとき、もはやその頭がわずかに確認できるか否かくらいまで暗闇に浸りながら、さらに沈降せんと決意しているように映る。

朝井さんが描く「実」の世界とはいかなるものか――。

底へ掘り続けた先で、朝井さんが見つけたものは――。

最後に見つかる光を、ぜひ書店でお手にとって確かめてみてください!

関連書籍

朝井リョウ『どうしても生きてる』

死んでしまいたいと思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(「健やかな論理」)尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が写されているような気がした。(「そんなの痛いに決まってる」)生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(「籤」)等鬱屈を抱え生きぬく人々の姿を活写した、心が疼く全六編。

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朝井リョウ

1989年、岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年『何者』で第148回直木賞受賞。14年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞受賞。21年『正欲』で第34回柴田錬三郎賞を受賞。他の著書に『もういちど生まれる』(幻冬舎文庫)などがある。(撮影:三好宣弘)

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