初めて明かす生い立ちのこと、仕事の場である東京を離れハワイ移住を決意した理由とは――。
ありのままの姿を綴った吉川ひなのさんの最新エッセイ『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』は、現在4刷り55000部と大きな話題を呼んでいます。
食事やヨガ、自宅出産や独自の子育て論など、さまざまな角度からオーガニックなライフスタイルを紹介している本書から、一部を抜粋してお届けしています。
今回は吉川ひなのさんがたどり着いた「夫婦円満の秘訣」。家族と過ごす時間が増えるお休み中の参考になれば幸いです。
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夫とけんかをしても、彼の愚痴は誰にも言いたくない。
わたしたちふたりの問題はどんなに説明しても結局のところ誰にもわからないし、その場の感情だけで普段の思いを全部無視して今起きてることだけ取り上げて愚痴ってしまったら、わたしたちが仲直りしたあとも愚痴を聞いてもらった人に彼はずっとその印象を持たれてしまうし、なによりどんなに彼のことがムカついてるときだって、誰かに彼をジャッジされたり悪口を言われたりなんてされたくもない。
女同士で彼や夫の愚痴大会、なんてよく居合わせていたし、わたしも誰と付き合っても長続きしなかったその昔、愚痴大会に参加してしまっていたときもあったけど、そこで学んだのはそんなことをしてもひとつもいいことはなかった、ということ。
誰かに愚痴を聞いてもらったところでなんの解決にもならないし、一緒になって誰かが彼の悪口を言うと、やっぱり自分のほうが正しいんだ! とか、やっぱりあの人って最低! とか、どんどん悪いほうへヒートアップしていって、あんなにsweetな時間を共に過ごしてきたことも、二人だけのあり方も、なんにも知らない誰かの無責任な発言にふたりの大切な絆はどんどん壊されていく。
誰かに散々愚痴って絆が壊れかけたころ、彼からのたったひとことのメールで全て解決、だったら言わなきゃよかったよ、なんてことも度々あったし。
この世の終わりみたいな顔して愚痴る友達を気遣って、その後どうなったの? 大丈夫だといいんだけどと連絡したら「なんのことだっけ? 今彼と温泉に向かってるところ♡」と返事がきたり、え、なに? 愚痴る、そのこと自体が目的の会だったのかと、その時間と労力をとてつもなく無駄に思い、自分含めカップルや夫婦のことはそのふたりにしかわからないのだから愚痴程度のことならほかの誰かが踏み込む領域ではないと毎回痛感。
だったら意味ないおしゃべりでももっとポジティブな空間に時間と労力を使っていたかったと、なんとも言えない気持ちになるオチが毎回待っていた。
彼の愚痴を彼のいないどこかで言ってても、そういうバイブスはなんとなく本人にも伝わるし、自分自身にもどこか後ろめたさが生まれてくる。
そう、だからわたしはもう潔く、付き合ってる人や結婚相手のことを愚痴りたい問題が起きているとき、解決策はふたつしかないとはっきり断言する。
もう一緒にいないほうがいいと別れるか、問題だと感じていることについて今すぐ解決する努力を始めるか。
その究極の二択こそが時間も労力も無駄にしない、自分の限られた人生を一日でも多く幸せに過ごせる前向きな取り組みなのである。
そう思ってからわたしは、本気の悩みなのであればもちろん真剣に聞くけれど、愚痴りたいモードの友達には「ごめん、わたしは解決に向かうであろうことしか提案できない。ただ愚痴りたいならひとりで日記帳にでも書いてくれ」と、なんとも友達がいがないと思われるであろうことを真っ直ぐ告げる。
でもね、それこそがわたしにとっての真の友情。
友達とは負のエネルギーで繋がっていたくないし、友達にとって(たとえいつか別れる相手だったとしても)大切な人の愚痴をその場だけの気休めでうかつに言ったりしたくない。
わたしにとって大切なのは、限りある人生を一日でも多くポジティブでハッピーな時間にすることと、夫婦円満、家族仲良くいることだから。