「それ私の言いたかったこと!!」と全国の妻が共感しまくるTwitterアカウント、「妻のパンチライン(@wifeisking)」。夫が呟いたツイートを振り返る形の書籍『妻のパンチライン』が発売中です。
今年一年を振り返って、来年はどんな一年にしたいか、夫婦で一緒に考えてみてはいかがでしょうか。参考になる部分の試し読みをお届けします。
* * *
「いい夫って、家事子育てを一生懸命こなす人じゃないで。大事だけど本質じゃない。家事も子供の面倒も、いざとなればアウトソージングできるからね。でも妻のケアは夫にしかできひん。だから家庭における夫の最もかけがえのない仕事は、妻に寄り添い、妻の話を聴くこと。その役割から逃げたらアカン」
— 妻のパンチライン@書籍発売中 (@wifeisking) July 16, 2020
〈妻談〉
Twitter で私は、言語化するのがうまいと言っていただくことがありますが、実はそんなことは全然なくて。このパンチラインも、二人目の子どもが生まれて半年後くらいに、何とか伝えたいと、洗濯物を投げつけ泣きながら夫に伝えた言葉なんです。
ある夜、子どもが寝静まって、洗濯物をサッサッと畳む微かな音でさえも響く広い部屋で、ソファにポツンと座る、空っぽな自分に気がつきました。
夫は家族として家事も子育ても頑張っている、手際も良くなり子どもたちのご機嫌取りも器用にこなしているし文句があるわけじゃない。良い夫だ、感謝しなきゃいけない。
頭では分かっています。でも、涙が頬をつたう。どこか心が満たされず置き去りになっているような虚しさが、夜な夜な疲れとともにやってきました。
Twitter は140文字で夫がうまくまとめていますが、きっとこんなに簡潔には伝えられていなかったはずです。
子育て中心で、子どもと接する時間しかなかった私は、私を私として映す心の鏡がどこにもなかったんです。だから、「私はここにいる」という話を、ただ、したかったんだと思います。
褒めてほしいとか、頑張りを認めてほしいとは少し違って、私を知ってる人、愛してる人に私の存在の話を聴いてもらうことで、自分の存在の輪郭を見たかったんです。
恋人時代のような何の役割も関係もない私の話を、ごく普通に聴いてもらいたかったんです。
それを伝えても「何が足りないっていうの?」と返されてしまう、やや分かり合えない状況の中、必死に「なぜ夫が必要なんだ? 夫って私にとって何なんだ?」と葛藤しながら言葉を繋げた結果が、この言葉でした。
妻「カップルでも夫婦でもやったらあかん争いは、勝ち負けやの。稼いだほうが勝ち?家事したほうが勝ち?こんなの右手と左手でジャンケンして、勝敗決めるようなもの。チームなのよ。相手の動きが悪くてもダメなとこあっても、その裏側の才能を見ないと。自分もロクでもない世界に住むことになるやろ」
— 妻のパンチライン@書籍発売中 (@wifeisking) August 7, 2020
〈妻談〉
私の場合、いろんなことが重なって自分の限界がきた時、絶対に生産的な話にならないと分かっていても売りたくなる喧嘩があります。それは「私のほうがやってる合戦」です。
あなたは稼いでるけど、育児に休日はないし、何もしなくてもみんなお腹は減るし、部屋は散らかる一方。
仕事から家庭へシーンが一つ変わるだけで実質タスク0になるってうらやましいなと、感謝も忘れて恨めしく思うことがあります。
このままエスカレートして爆発することもありますが、「あれ? 私なんでこの人のこと好きなんだっけ?」と出会ったばかりの初期の記憶にできる限り巻き戻すようにしています。ちょっと怖い言い方をすると、現状と過去を天秤にかけているんです。
文句は忘れにくいんですが、良いところって日常にかき消されやすいので、素敵なところを思い出す筋トレをしています。
夫は、結婚当初アマゾンの僻地に住んでいたのかと思うぐらい家事を知らない原始人でしたが、そこそこ家事ができるビジネスパーソンならぬホームパーソンになりました。新卒で入った会社をすぐ辞めた割には、素直に妻式家事を受け入れてくれています。
そんな夫を見て、「家事の知識が広がることで女性へのリスペクトが仕事にも現れはじめているかも、ムフフ」と、自分に都合よく転換してモチベーションを調整しています。
「この男の妻は(怒)」と心をかき乱される女性を一人でも出さない世の中に、私も一役買っている、そうだ、まだまだ育て合うぞ、と私のなかの天使と悪魔の喧嘩をいなしています。
ですが、高確率でエスカレートすることは、今はナイショに。
妻のパンチライン
「毎日の家事・子育てのなかで、妻が息するように吐き出すパンチラインをつぶやきます。」
そんな自己紹介を掲げて始まったTwitterアカウント「妻のパンチライン」。
書籍の試し読みや、発売記念Spaceの記事を公開します。