2022年がスタートしました。一年の大切な始まりの日に「初詣」に出かける方は、昨年よりは増えているかもしれません。様々な感謝や願いを込めてお参りをし、おみくじを引いてこの一年を占う……。おみくじは気軽に楽しめるものですが、そこに秘められた繊細なメッセージを、しっかり受けとめられているでしょうか。神社仏閣やスピリチュアルに造詣の深い桜井識子さんの『神様が教えてくれた金運のはなし』から、知っておきたい読み解き方をご紹介します。
* * *
「大吉」は歓迎や応援のしるし
おみくじは神仏からのアドバイスだったり、その時の自分の状態を知る手がかりになったりします。
書いてある内容の受け取り方、考え方は、人それぞれですし、そこは自由なので、私がどうこう解説するものではないのですが……何かの参考になるかも? と思って、ちょっと突っ込んで書いてみることにしました。
まず、吉凶(大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶)に関してですが、これは単純に“引いた時の”運気を表している場合があります。神様のアドバイスは入っていなくて、ただ単に、運の位置を示すというそれだけです。
いま、あなたの体重は50㎏ですよ、と表示される体重計、あなたの血圧は上が110で下が70ですよ、と教えてくれる血圧計みたいなものです。
おみくじには文字がたくさん書かれていますが、そこに意味はなく、いま、自分の運気がどういう状態なのか、それを知る手がかりとなるものです。
運は一定ではありません。波があることはどなたも知っておられると思います。この波は、たまにどうしようもなく低迷している時期があります。
何をやってもツイてないわぁ、という期間の真っ最中にいる時は、「凶」を引きます(本人には、低迷している自覚がない場合があります)。
「末吉」「小吉」などの凶よりは良いけれど、でもそこまで良いわけではない、というおみくじは、「低迷期から脱出し始めている」というサインです。「いまから低迷期に入る」という時は「凶」を引きます。
逆に「大吉」は、“現在”の運が絶好調である、という意味です。神様からのアドバイスではなく、このように“運気”を知らせてくれるおみくじもあります。
そこに神様からのアドバイスやメッセージが入ってくると、吉凶はどうなるかと言いますと……。
まずは良いほう、「大吉」です。大吉を引かせることで神様が一番伝えたいのは、“歓迎”だそうです。これは私も最近知った事実で驚きました。大吉を引いたら本人が喜ぶことを神様は知っています。
「わーい、大吉だ~、ひゃっほー」と、無邪気に大喜びしている姿は、見ている神様からすると、とても愛おしいものらしいです。そのような人だからこそ、歓迎の印として大吉をプレゼントしたいそうです。その人が来たことを喜んでいる神様が、ニコニコと優しく目を細めて見守っている、そんな感じです。
応援している、という神様の意思表示の時もあります。「神様、つらいんです」というお話や相談、願掛けをしても、神様が手出しをしてはいけない、というパターンがあります。そのような時に、「頑張れよ」「負けるなよ」という応援、励ましの意味で「大吉」を引かせます。「神はお前を応援しているぞ」と、わかってもらうためです。
おみくじは“現在の”運気を示すものなのですが、まれ~~~~~~~~~~~~に(どんだけまれにやねん、と思われるでしょうが、それほど少ないです)、お前は“将来、大成功する”“数年後に夢を叶える”という予言的なものもあります。
「凶」は「気をつけなさい」という神様の愛情
「凶」などの良くないものを引いた場合は、「気をつけなさい」と、注意をうながしています。運が低迷していると、ちょっとした失敗をしたり、予期しないアクシデントが起こったりします。
仕事だったら、いつも以上に書類をチェックしなさい、とか、人づきあいであれば、いつも以上に言葉に気をつけなさい、とか、そういうことです。
生理中、または喪中に堂々と神社に行っておみくじを引く人は多くないと思いますが、そこで「凶」を引いた場合は、「あかんで~、自分、それルール違反やからな~。もうせんといてな~」と、眷属(けんぞく。神仏の子分や家来といった存在です。忠誠心が厚いのが特徴です)に言われています。
いずれにしても「凶」だから、嫌われたのね、と思うのは早計です。
「ありゃ? 運が低迷して危ないのに、当の本人、全然気づいてないな? こりゃいかん、気をつけなさいと教えてやらねば」という神様の親切、愛情で「凶」を引かせてもらったのに、「あ~あ、嫌われているのね」「いいわ、もうこの神社には来ないから」と勘違いをするのはもったいないです。
福岡の太宰府天満宮では、私は菅原道真公(すがわらのみちざねこう)神様、ご本人からお話を伺いました。ですから、アドバイスをもらうためにおみくじを引いたのではなく、ここでは記念品として引きました。20年ぶりの参拝でしたし、次は何年後に参拝できるのか、わからなかったからです。
すると、道真公神様は一番良い内容ではないかと思える大吉を下さいました。何年も持つことになる記念品ですから、この先いつ読み返してもウキウキする内容のものを……と、プレゼントしてくれたのです。このようなプレゼント的なパターンもあります。
和歌と解釈文はわかりやすいメッセージ
半数以上のおみくじは、神様の言葉として和歌とその解釈が書かれています。このおみくじだったら、非常にわかりやすいかと思います。書かれている大意がアドバイス、という場合が多いからです。さらっと読んだ雰囲気がそのままアドバイスということです。
そうではなく和歌の解釈の“ワンフレーズ”がアドバイスということもあります。
私が東京にある深大寺(じんだいじ)元三大師堂に行った時のお話です。
この時は元夫(元夫なのにどうして? と、初めて私の本を読まれる方は疑問に思うかもしれません。2回目の結婚をした夫で、現在は婚姻を解消していますが、人生のパートナーとして仲良くしています。私の著書やブログにも時々、登場しています)と一緒に参拝をしたので、元三大師とお話ができませんでした。
そこで、おみくじを引きました。参拝の1ヶ月くらい前から、なんだかツイていない、という状態が続いていたからです。やることなすこと裏目に出る、という運の低迷期に入っていました。大きな不幸があるわけではないのですが、小さなところで失敗をしたり、やたらハズレを引いたりしていました。
たとえば、スーパーで果物を買って帰って、よく見たら腐っていたとか、チャージしたばかりのプリペイドカードを落とすとか、どよよ~んと落ち込むようなツキのなさ、だったのです。この低迷期がいつまで続くのか、そこを知りたくて元三大師堂でおみくじを引いたのでした。
引いたおみくじは「大吉」でした。やったぁ! 大吉ィー! とバンザイして叫びたいところですが、ちょっと違うのです。
私は「低迷期がいつまで続くのでしょうか」と、手を合わせた時に元三大師にハッキリと質問をしました。その答えをくれているわけで……良い運だの、天に昇るように出世するだのと書かれていましたが、アドバイスはそこではなく、「辛抱が第一です」というこの一文でした。
見た時に「ああ、もうちょっとツキのなさは続くのね」と覚悟しました。さらに、「驕(おご)り高ぶることなく信心すれば……」という言葉もあったりして、「驕り高ぶるなよ」という戒(いまし)めも授けてくれています。
この2つの言葉を同時に私に与えられるのは、私が引いた大吉しかなかったのだと思います。それで大吉を引いています。逆の「凶」でも、言葉を読ませるための手段として引くことがある、というのも、これでおわかりいただけるかと思います。
項目にとらわれず、言葉に注目してみる
おみくじの内容がほぼすべてアドバイスという場合もありますが、「縁談」とか「病気(やまい)」などの、項目のどれか一つが濃いアドバイス、ということもあります。たとえば「病気 時間がかかるが平癒する」という、この「病気」に関して……病気という項目が、まるまるアドバイスです。
そうではなく、項目のタイトル(病気とか、縁談とか、相場などです)には関係ない、書かれている文字、言葉、そのうちのどれか一つがアドバイスという場合もあります。
富士山の5合目にある「小御嶽神社」で引いたおみくじは、健康、恋愛、勉学、仕事、旅行、商売の6項目のみでした。それも各項目短い言葉です。神様の教えや和歌はありません。
このおみくじを引いた時、私はフィクションのお話を書くかどうか迷っていました。いろいろと難しい問題があって、やっぱりやめておこうかな、と思っていたところでした。
本に書く内容に関しては、私は神様に相談をしたりしませんし、意見を聞くこともありません。本は、私の意思で書くものだと思っているからです。悩んではいましたが、このおみくじも記念品として持っておこうかな程度の軽~い気持ちで引きました。
神様に何も質問をしていませんが、私が悩んでいることを見抜いて、アドバイスをくれたのです。「新しいことに取り組みましょう」と、商売のところに書かれていました。フィクションも書いたら書けるから、やってみなさい、というアドバイスだと、すぐにわかりました(そのアドバイスに背中を押されて頑張りました)。
項目のタイトルは「商売」となっていましたが、神様は(小御嶽神社は富士山の神様の眷属が守っている神社です)このワンフレーズを私に与えたかったわけですから、この場合タイトルは関係ありません。
たとえば、お見合いをしてみようかな、どうしようかな、やめとこかな、と悩んでいる人が同じおみくじを引いた場合、「商売」という項目に書かれていますが、「新しいことをしてみると流れが変わるぞ」というアドバイスになります。
大吉を貯めて良い運を貯金する
このように、おみくじはその中に書かれている言葉をよーく見ることが大切です。
書かれている大まかな意味がアドバイスなのか、その中のワンフレーズだけがアドバイスなのか、ただ、その時の運の位置を教えてくれているのか……はたまた歓迎の印、もしくは良い思い出となるようなプレゼントなのか……運が低迷しているから何事も慎重にするように、気をつけなさい、と心配してくれているのか……。
アドバイスだったら、不思議とその箇所、そのフレーズ、言葉が心に引っかかります。「ここだな~」と、自分でなんとなくわかります。
内容にしっかり目を通しても「ん~~~~~~?」となったり、「???」ハテナマークだらけとなる場合は、運の位置の可能性が高いです。しかし、本人が気づけなかったアドバイスということもあります。何ヶ月か経って、もしくは1年くらい経ってから、もう一度読み返すと、真意が読み取れたりするのです。
「あ! ここがアドバイスだったんだ!」と、気づくことができれば、その感覚で次回から読み解いていけばいいのです。おみくじの読み方、アドバイスの受け取り方も訓練次第で、格段に向上します。
大吉を引いたら、もうそれだけで、ヤッホー! バンザーイ! 神様、ありがとうございます! と大喜びしています、という方は、それはそれで神様が微笑(ほほえ)ましく思われていますので、細かく分析しなくてもいいのかな、と思います。
大吉は運勢が良い、歓迎の印、神様からの応援、プレゼントなどなど、良いものがいっぱい詰まっていますから、持って帰ることがおすすめです。気持ちが落ち込んだ時や、ついていない時などに読み返すと、元気が湧いてくるからです。
良い運勢だった時の「気」を魂が思い出して、低迷した状態から脱出することもあります。大吉を貯めていくことは良い運の貯金みたいなものなのです。
* * *
ちょっとしたコツでお金に好かれる人生がつかめます!『神様が教えてくれた金運のはなし』好評発売中