年功序列、終身雇用など、かつての日本の働き方が崩壊する一方で、まだまだ学生たちの間で健在といわれる「大企業神話」。それは何十年前と変わらない「人気企業ランキング」にも表れています。株式会社スタートライズ代表取締役社長、清水宏さんの『新卒はベンチャー企業へ行きなさい』は、そんな「大企業神話」にとどめを刺す一冊。就職活動を控えている学生はもちろん、転職を考えている社会人にも読んでいただきたい本書より、一部を抜粋してご紹介します。
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人を大切にする社風か?
これまでベンチャー企業という言葉を既知の用語として使ってきましたが、ベンチャー企業の明確な定義はありません。私が考えるベンチャー企業の定義は次の通りです。
- 従来の商習慣を変える可能性があるビジネスモデルを展開している
- これまでに無かった商品やサービスで社会的にインパクトがあるイノベーションを起こしている
- 従業員数が10~30名である
創業からの年数や、業界は問いません。
しかし、ベンチャー企業が全て素晴らしい企業とは限りませんし、将来性の有無もまちまちです。また、社風や経営者の哲学も様々です。
これまでベンチャー企業で働くことのメリットを紹介してきましたが、ベンチャー企業であればどこでも良いというわけではありません。やはりそこは、働く人との相性というものもあります。
まず、最初に確認しておきたいのは、人を大切にする社風があるかどうかです。
いくら革新的なビジネスを展開して将来性があるように見えても、社員を大切にしていないベンチャー企業はいずれ破綻します。ベンチャー企業の最も大切な資産は人材だからです。
いくらベンチャー企業に入っても、自分の能力を存分に発揮できなかったら、やり甲斐を感じることは無理でしょう。
それでは、人を大切にするベンチャー企業かどうかをどのように察知すれば良いのでしょうか。会社説明会だけではなかなかわかりにくいところですし、会社が選んだOBやOGも優等生ですから、彼らの話だけではやはり見抜くことが難しい場合があります。
そこで注目したいのが、下請け業者(私の会社ではこの呼び方はしませんが便宜上使用します)に対する扱い方です。
まず、下請け業者をどのように呼んでいるか。私の会社では「パートナー企業」あるいは「パートナー」と呼んでいます。しかし、「下請け」や「外注」「業者」といった呼び方をしている場合は、社員に対しても見下した扱いをしている可能性があります。
また、会社が選んだ優等生的なOBやOGではなく、自分の大学の先輩に直接話を聞いてみると、本当の社風がわかるかもしれません。
あとは社内見学をしているときに電話や打ち合わせをしている場面に出会ったら、注意深く観察してみると良いでしょう。外部に対してどのような対応をしているかで、人を大切にする社風があるかどうかがわかります。
また、インターンとして内部に入ってみれば、かなり社風を知ることができます。
3年目の在籍率は? 連続利益は?
ベンチャー企業の善し悪しを判断するために、在籍率と連続した利益が出ているかどうかの確認をする方法もあります。
たとえば会社が設立されて3年目であれば、3年以上在籍しているメンバーが何割いるか、ということを確認してみてください。
ベンチャー企業は人の出入りが激しい傾向がありますが、それでも5割を下回るようであれば、注意した方がいいでしょう。待遇が悪いのかもしれませんし、労働環境が悪いのかもしれません。あるいは、トップの人格に問題があるのかもしれませんし、企業としての将来性が感じられないのかもしれません。
合わせて3年連続で利益が出ているかどうかも確認したいところです。
これは数字で明確にわかることですので、単刀直入に尋ねてみれば良いでしょう。
ただ、仮に赤字になっているとしても、納得できるリカバリープランが説明された場合は、必ずしも危ない会社であるとは限りません。
面接担当者あるいは経営者が正直に、現在がボトムであり、これから黒字に転換していくということを、説得力を持って説明できれば、その会社はまだ検討の余地があります。
新卒はベンチャー企業へ行きなさい
年功序列、終身雇用など、かつての日本の働き方が崩壊する一方で、まだまだ学生たちの間で健在といわれる「大企業神話」。それは何十年前と変わらない「人気企業ランキング」からも明らかです。株式会社スタートライズ代表取締役社長、清水宏さんの『新卒はベンチャー企業へ行きなさい』は、そんな「大企業神話」にとどめを刺す一冊。就職活動を控えている学生はもちろん、転職を考えている社会人にも読んでいただきたい本書より、一部を抜粋してご紹介します。