年功序列、終身雇用など、かつての日本の働き方が崩壊する一方で、まだまだ学生たちの間で健在といわれる「大企業神話」。それは何十年前と変わらない「人気企業ランキング」にも表れています。株式会社スタートライズ代表取締役社長、清水宏さんの『新卒はベンチャー企業へ行きなさい』は、そんな「大企業神話」にとどめを刺す一冊。就職活動を控えている学生はもちろん、転職を考えている社会人にも読んでいただきたい本書より、一部を抜粋してご紹介します。
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ベンチャーに向いている人はこう答える
私は入社希望者の価値観を評価するために、ちょっと意地悪な質問をすることにしています。
まず、内定が欲しい会社を数社挙げてもらいます。その中に大企業が含まれていれば、次のように質問します。
「もし、大手の○○社に採用されて、同期で入社した他の人たちが様々な部署に配属されたときに、あなただけ特別に1年間コピー取りだけをやって欲しい、と言われたらどうしますか?」
あなたならどう答えますか?
普通の人は、「上申します」とか「納得できる理由を聞きます」と答えます。まだ社会経験が無いので仕方ないのかもしれませんが、大手企業でそのようなことが言えるわけがありません。
そして次に多いのが、「そのような単純作業であれば辞めます」という答えです。
これもまた、考えが浅いと評価します。
そこで注目すべき答えをする人が出てきます。「コピーを如何に速く正確に取れるか工夫して生産性を上げます」という答えです。
すると私も俄然その人に興味を持ちますから、会話が広がります。
コピーも大切な仕事だよね、役員会の資料で乱丁でもあったら大問題だよね、また、原稿の方に抜けがあればそれも問題だよね、だから、仕事が速いにもかかわらず原稿やコピーの不具合を指摘できるほどの品質管理をしてみせれば、評価が上がるよね、などと話が広がるのです。また、文字原稿か写真原稿かでコピーのモードを最適化する工夫も必要です。
しかも、コピーの仕上がりをチェックする際に内容にまで目を通せば、様々な情報に精通して、ひょんなことでその知識を活かせる機会を捉えることができるかもしれないね、などと話します。
こうして、応募者の価値観、すなわちどんな仕事にも工夫やチャンスを見いだす素質を垣間見ることができるのです。
このような人材はベンチャー企業としては欲しい人材になりますが、おそらくこのような人材であれば、大企業に入社しても、たくさんのことを学んでステップアップできるのかもしれません。
あなたはどのような答えを思い浮かべましたか?
一つのことに夢中になれるか?
私は採用する人を選ぶとき、これまでに何か一つでもいいので、深掘りした経験があるかどうかに注目します。
これは、探究心の強さを評価するためです。
何か一つとは、スポーツでもいいですし、趣味でも構いません。あるいは勉学に励んだということでもいいですね。一つのことを何年も深掘りしてきた人は、仕事でも深掘りできる人だと思います。
ですからスポーツでも一つの種目で4年間頑張って、これこれこういう大会に出て上位を目指していました、という人は評価します。
また、演劇部の活動にのめり込んで、勉強以上に熱中して年に数回の舞台をこなしていました、というような人にも惹かれます。
他にも、サッカーについて話し始めると止まらないといった人も面白いですね。
特に一つのことに没頭したわけではなく、そこそこ器用で要領が良いという人は、大企業の方が向いているかもしれません。
あなたはこれまでに、何か一つのことを追求したことがありますか?
新卒はベンチャー企業へ行きなさい
年功序列、終身雇用など、かつての日本の働き方が崩壊する一方で、まだまだ学生たちの間で健在といわれる「大企業神話」。それは何十年前と変わらない「人気企業ランキング」からも明らかです。株式会社スタートライズ代表取締役社長、清水宏さんの『新卒はベンチャー企業へ行きなさい』は、そんな「大企業神話」にとどめを刺す一冊。就職活動を控えている学生はもちろん、転職を考えている社会人にも読んでいただきたい本書より、一部を抜粋してご紹介します。