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いま君に伝えたいお金の話

2022.04.20 公開 ポスト

グリーン車は「無駄遣い」か? 投資家が教える上手なお金の使い方村上世彰(投資家)

誰よりもお金にくわしいお金のプロ、村上世彰さん。著書『いま君に伝えたいお金の話』にはただのノウハウではない、お金に対する真摯な考え方、深い哲学が詰まっています。お金に振り回されることなく、上手に付き合っていくために知っておきたいことを、いくつかご紹介しましょう。

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「無駄遣い」に金額は関係ない

僕は無駄遣いが嫌いです。周りの人がびっくりするほど、とにもかくにも嫌いなのです。

とくに投資家にとって「お金」は投資という仕事をするためになくてはならないもの。大工さんにとってのカナヅチとか、コックさんにとっての調理道具とか、そういうものと同じです。投資家だからこそ、そのお金を無駄に使ってしまうことに、普通の人以上に抵抗があるのかもしれません。

(写真:iStock.com/imtmphoto)

でも、実はこれは投資家に限りませんし、僕は投資家になる前から、やっぱり無駄遣いが嫌いでした。無駄遣いが「無駄」であることは誰にとっても同じこと。お金は幸せに生きるための道具ですから、なくてはならないもの。

限られたお金のなかで、自分がやりたいと思うこと、「幸せ」と思うことにいかにより多くのお金を回すことができるか。そのためには無駄遣いをいかに減らせるかが大きなポイントになります。

 

それは金額が大きくても小さくても関係がありません。高価なモノでも、その価値が値段に見合っている、自分の目的を達成させてくれるモノであるなら無駄遣いではありません。どんなに安いモノでも、たとえ1円だって、価値が値段に見合っていなかったり、目的を達成させてくれなかったりすれば、それは無駄遣いなのです。

 

サンマの話でいうと、おいしいサンマが食べたいと思ったとき、100円の丸々太ったおいしいサンマは君を幸せな気分にしてくれるでしょう。でも、不漁の年にスーパーに並ぶ300円のおいしくないサンマは、「おいしいサンマを食べたい」という君の希望を叶えてくれません

この300円は無駄遣いです。値段を見て、なんで今年のサンマが300円なのかを考えたら、これは買わないのが正解。

でも、僕のように「秋だし普段食べられないからサンマが食べたい」と思う人には、300円のそれほどおいしくないサンマでも、「食べられてよかった」という満足感をくれるから、300円は無駄ではないのです。

 

同じお金を払って買ったとしても、それが全員に同じ価値、要するに幸せをもたらすわけではない。君に幸せをもたらさないお金の使い方は、無駄遣いなのです。

金額と価値が見合っているかは、人によって違う

お金とうまく付き合うには、日々の暮らしのなかで、その金額が自分にとって意味と価値があるかどうかの判断が必要です。たとえば新幹線で東京から大阪に行くとき、僕はグリーン車のチケットを買います。普通車のチケットに比べると5000円くらい高いのですが、それは僕にとっては無駄遣いではありません。

(写真:iStock.com/Cristian Gheorghe)

忙しい日々のなかで、仕事をするにしても考え事をするにしても寝るにしても、グリーン車の少しだけ広い席で過ごす2時間何十分かの移動時間に、僕にとっては5000円以上の価値があると判断するからです。でも、目的地に着く時間が変わるわけではないので、「移動できればいい」という人にとって、その5000円は無駄遣い以外の何ものでもないはずです。

 

僕は飛行機に乗るときもいい席を取ります。飛行機に乗っている時間は電話も鳴らないし、誰かに話しかけられることもないから、僕の大好きな「考える時間」なのです。「考える時間」というのは、投資家にとってもっとも大事な時間でもあります。少し広くて静かな席で、思う存分考え事をしたいので、そのために払う差額は、僕にとってはその値段以上の価値があります

けれどプライベートジェットを買う気にはなれません。自分の飛行機があったほうが時間も空間ももっと自由になるよという人もいます。でも、プライベートジェットを買うことによって得られる自由な時間や空間が、僕にとっては支払う金額に見合うとは思えないからです。

 

クルマとか時計とか、その他のブランド品や高級品についても同じ考え方です。正直にいえば、ブランドものに興味がありません。僕自身が身につけるものや使うものは、必要な機能を果たし、自分が心地いいと思えれば、それで十分だと思うのです。

要するに、お金を払って何かを買う、得るということは、お金とモノやサービスとの物々交換です。そのお金は、君が働いて得るもの。何かを手にするためにお金を払うときに、それが君の何時間分の働きと交換されているか本当にそれだけの価値があるかどうか、よく考えることが大事です。

関連書籍

村上世彰『いま君に伝えたいお金の話』

お金は汚い、お金儲けはいやらしい。そう決 めつけて、お金について学ばないのはもった いない。なぜなら、お金は人を幸せにする便 利な道具だから。好きなことをして自由に生 きる。困っている人を助けて社会を良くす る。そのためにはお金をどう稼いで使って増 やしたらいいのか? 誰よりもお金に詳しい プロが、お金との付き合い方を教えます。

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いま君に伝えたいお金の話

いわゆる「村上ファンド事件」で一躍、時の人となった村上世彰さん。当時、メディアから激しいバッシングを受けていたため、あまりよい印象を持っていない方もいるかもしれません。そのイメージがガラリと変わるのが、村上さんの著書『いま君に伝えたいお金の話』。ただのノウハウではない、お金に対する真摯な考え方、深い哲学がここには詰まっています。お金に振り回されることなく、上手に付き合っていくために知っておきたいことを、いくつかご紹介しましょう。

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村上世彰 投資家

1959年、大阪府生まれ。1983年から16年強にわたって国家公務員として通産省(現・経産省)に務める。独立後、1999年から2006年まで投資ファンドを運営。現在、シンガポール在住。著書に『生涯投資家』(文藝春秋)などがある。

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