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ナイチンゲールの時代から知られていた「正しい換気」の重要性
部屋の換気は、新型コロナの感染対策としてだけではなく、環境整備の面からも欠かせません。それはナイチンゲールの時代から変わらず、『看護覚え書』にも感染予防策のひとつとして換気の重要性が説かれています。
ナイチンゲールが説く「換気の原則」は次の通りです。
「空気は常に屋外から、しかも最も新鮮な空気の入る窓を通して、採り入れる」
「窓は、その下部でなく上部を開けること。(中略)病棟や病室の空気の採り入れ口として最も悪いのは、床の高さあるいは床に近い高さのものである」
「病人が、開いたドアと窓の間を吹き抜ける風に、直にさらされるようなことのないように気を配る」
このように換気ひとつとっても正しい方法で行わないと効果は半減します。それどころか、かえって体に害を与えてしまうことさえあります。
たとえば「ホコリっぽい部屋だね。窓を開けて部屋の空気を入れ換えましょう」といった経験はないでしょうか。
窓を開け、部屋の中に風を通すことで、室内に舞っていたホコリがすべて外に出ていってしまう。そんなイメージをお持ちかもしれませんが、そんなうまい具合にホコリは出ていってくれません。空中に舞っているものはある程度出ていきますが、床や壁などにたまっているホコリはそのままです。そうしたホコリはお掃除で取り除いてやる必要があります。
家の中に風を流すことは、環境整備に欠かせないことです。これは間違いありません。しかし、ホコリがいっぱいの部屋で風を通すとどのようなことが起こるか、想像してみてください。
たまっていたホコリがいろいろな場所へ飛び散ります。
掃除されていない部屋でいきなり換気をするということは、それと同じことをしているわけです。風を通すことで、部屋のあちこちにたまったホコリやカビをいたるところに撒き散らしてしまっているのです。
突然ですが、ここで質問です。
あなたは窓を開けてから掃除をしますか。それとも掃除中は窓は閉め切ったままにし、掃除がすんだあとで窓を開けて換気をしますか。
どちらでしょうか。
正解は、「掃除のあとに窓を開けて換気する」です。
理由は、先ほどの「ホコリっぽい部屋に風を通す」と同じ。部屋にたまったホコリを撒き散らさないために、掃除が終わるまで風を通してはいけない、換気をしてはいけないのです。
これがお掃除の大原則です。
窓は2か所以上開けて風の「入口」と「出口」をつくろう
換気をする時は、2か所以上の窓を開けましょう。
風の入口と出口を作ってあげるのです。
入口側は狭く、出口側は広めに開けてやるのがポイントです。
入口が狭ければ狭いほど風がビューッと部屋の中に入り込み、出口は広ければ広いほどバーッと出ていくようになります。
入口側にレースのカーテンがあるようでしたら閉めてもかまいません。花粉などの異物がカーテンにくっついて、部屋に入り込むのを防いでくれます。ただし、換気によって付着した花粉などを後日改めて取り除いてやるのをお忘れなく。
それに対して、出口側のカーテンは全開にします。出口を塞いでしまうと空気の流れが悪くなるからです。
なお、換気をする時は、出口側にいないようにしましょう。風下はホコリなどの汚染物質が出ていく場所ですので害こそあれ、いいことはありません。
「うちは空気清浄機があるので換気は必要ないでしょうか?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
残念ながら、答えはノーです。
空気清浄機は、その名の通りに「空気をきれいにするため」の装置で、お部屋の空気を入れ換えるものではありません。あくまでも部屋の中の空気の一部を清浄化しているだけで、外気と入れ換えているわけではないのです。
ですから、お部屋に空気清浄機があっても窓開けによる換気は必須。
エアコンも同じです。エアコンは一部の機種を除き部屋の中の空気を冷やしたり暖めたりしているだけで、外気を取り込んで入れ換えているわけではないからです。
病気にならない掃除術
ゴシゴシこすってはいけない、いきなり水拭きをしてはいけない、フローリングのホコリに掃除機は禁物、ウイルスの除菌・消毒は正しくやらないと効果なし……。『病院清掃35年のプロが教える 病気にならない掃除術』は、これまでの掃除の常識がくつがえされる驚きの一冊。掃除はただ部屋をきれいにするだけでなく、自分と家族の健康をも左右する大切なもの。本書でぜひ、正しい知識を学んでください。