便秘、ニキビ、アトピー、抜け毛、肥満、不妊症、不眠……。こうした体のあらゆる不調を根本から改善するには「菌ケア」が有効です。「菌ケア」とは毎日の食事や生活習慣を見直し、全身の菌バランスを整えること。『腸活にも、美肌にも、ダイエットにも! 菌ケアで美しくなる』から、菌ケアの方法とその効果を一部抜粋してご紹介します。
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「痩せ体質」を作ってくれる菌を増やす
世のなかには、食事の内容を調整するもの、量を調節するもの、時間を制限するものなどたくさんのダイエット法が出回っています。ただ、なかには、肌トラブルを招いたり、そのほかの不調につながってしまったりするものも。
たとえば糖質制限ダイエット。これは一歩間違えるとリバウンドを招き、逆に太りやすい体を作るリスクもあります。そもそも、このダイエット法は糖尿病患者さんの食事療法として糖質を制限することで血糖値の上昇を防ぎ、体重の減少を期待する目的で生まれました。でも、糖質は水分を多く保持する特徴を持っているため、制限をすると糖質と同時に水分も失うことになり、潤いやツヤを失うことで肌の老化にもつながってしまうのです。
さらに糖質制限は、日本人にとって相性が悪い可能性も示されています。ある研究では、世界中の人々の腸内細菌の組成が調査されました。その結果、日本人は糖質を分解する「菌」をほかの国に比べて多く持っている傾向にあり、さらに、日本人は世界的に見て「ビフィズス菌」も多く持っていることが判明。ビフィズス菌もオリゴ糖などの炭水化物をエサにする菌の一種なので、米を主食とする日本人である私たちにとって糖質は大切な栄養素であると言えるのかもしれません。ただし、糖質の摂りすぎには注意が必要。何事もバランスが大事です。
さて、肥満を引き起こしていたのは腸内細菌の仕業が一因ですが、痩せるカギになるのもやはり「菌」です。具体的には、腸内細菌が作ってくれる「短鎖脂肪酸」を増やす、という方法です。
短鎖脂肪酸とは腸内細菌によって作り出される成分の一種で、酢酸・酪酸・プロピオン酸などが該当します。乳酸菌やビフィズス菌が有用な働きをするのも、短鎖脂肪酸のおかげ、といっても過言ではありません。
この短鎖脂肪酸がダイエット効果を発揮してくれる仕組みは、大きく分けて2つ。
(1)食欲を抑える
1つ目の効果は「食欲の調整」です。腸内細菌の作り出した短鎖脂肪酸は腸から飛び出し、体中で活躍します。たとえば、ホルモンに働きかけるなんてことも。ここで登場するのが、食欲を増進させる「グレリン」と食欲を抑える「レプチン」です。短鎖脂肪酸はこの2種のホルモンの分泌に関与し、グレリンの量を減らし、レプチンの量を増やしてくれます。それにより、食べすぎを防ぐ効果が。
(2)エネルギーの消費量を増やす
2つ目の効果は「エネルギーの消費量をコントロール」してくれる点。短鎖脂肪酸は脂質代謝の基質として重要な役割を果たします。それだけでなく、交感神経などの神経細胞と結合して神経や脳を活性化させ、エネルギー消費を高めることがわかっています。
ダイエットを考えるなら、乳酸菌を摂って短鎖脂肪酸を増やし、「痩せやすい体質」に整えたいものです。
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