文庫解説とは、ある意味、解説者なりの目のつけ所。その違いが際立つのは、同じシリーズの場合でしょう。三谷幸喜さんと清水ミチコさんのラジオ番組での会話をまとめた「●●つく二人」シリーズは、解説者が豪華。さらに視点もそれぞれ。全作品を担当した編集者からの寄稿です。
抱腹絶倒の会話バトルに4人の解説者が挑む
『むかつく二人』『いらつく二人』『たてつく二人』『かみつく二人』……、どんな二人のことかと思われるかもしれません。実は、三谷幸喜さんと清水ミチコさんのラジオ番組(2005年〜2014年まで、J-WAVEで放送された「メイキング・センス」)を書籍化した際のタイトルなのです。
それぞれ、「仲が良いのか、悪いのか!?」「息が合うのか、合わぬのか!?」「一体どちらが、正しいのか!?」「かめばかむほど、味が出る!?」と帯コピーがついております。内容はそこから推し測っていただければと思いますが、お二人の、タメになることからどうでもいいことまで、丁々発止、縦横無尽な会話のバトルにどの巻も抱腹絶倒間違いなし、です。
この文章の見出しに名前があるご四方は、それぞれ文庫化の際、解説を書いてくださったみなさん。豪華です。そして、「三谷さんと清水さんのラジオでのトークをまとめた本」ということでは共通の書籍ですが、当然解説は、書いてくださった方それぞれの個性が光る、違った面白さ、目の付け所があります。
みなさんの解説を少し引用したいと思います。
ただ、聴いている分にはくだらなくて楽しい世間話なのに、こうして本になると知的な部分が顔を出すというのがすごく不思議。それはきっとお二人が、かなり真面目で知的であるからでしょう。
(中略)どんなにくだらない会話も、ブースの中のパーソナリティやスタッフには繊細で濃密な熱量と緊張感がみなぎっています。僕はそれがラジオのカッコいい所だし、素晴らしい所だと思っています。
そしてその証拠をばっちり浮き彫りにしたのが、この本なんじゃないでしょうか。
――『むかつく二人』星野源
二人とも、まず、おんもしろいことが大好きっていうことで、ものすごく共通してます。それで、なんとかその場でおもしろくしようってことで心を砕いています。砕き合ってる。
たしかに「会話のバトル」だけれども、相手の出方をものすごくよく見てます。勝つためじゃない。おもしろくなるためです。二人のバトルは、まァプロレスみたいなもんといえばいい。相手の出す技を鮮やかに決めさせるポイントをよく見究めてます。
――『いらつく二人』南伸坊
ただただ、お二人の小気味のいい会話に耳を傾け、面白いなぁとうっとりするだけなのです。ただ私は、すごいなぁと純粋に尊敬できることが好きだし、そう思える人が好きです。(中略)会話のリズム、語尾がじとっとしていない感じにおいて、三谷さんと清水さんのそれは、ピカイチだと思っています。ピカイチすぎて、ちょっと弱っているときは、そのエネルギーにまいってしまうかもしれません。
――『かみつく二人』松たか子
さて、このシリーズの一冊目のオビには「仲が良いのか、悪いのか!?」というキャッチフレーズが記されている。(中略)ぼくはご両人とのお付き合いが長いので「二人は仲良しだよ」と断言できる。ところが本を読むと、お互いにズケズケ言いあっている。(中略)思えば仲良しであるからこそ言いたいことが言えるのである。
清水 私も美人じゃなくてよかったなって思う時が……。
三谷 絶対良かったですよ。
清水 お前が言うな!
壮絶だけど仲良しならではの対話。
――『たてつく二人』和田誠
四者四様の解説を読み比べて楽しめるのは、このシリーズならでは。どの巻を手に取ったらいいか迷われる方は、どなたの解説を読みたいか、から入っていただいたらいいと思います。結果、残りの3冊も読みたくなることは断言しますが。
※編集部注:解説が収録されているのは、紙版文庫のみです。本シリーズ電子版には解説は収録されておりませんので、ご注意ください。