4月13日(水)に文筆家・ツレヅレハナコさんの最新刊『まいにち酒ごはん日記』が発売になりました。本書は、食と酒と旅を愛する著者が、インスタグラムに綴ってきた投稿の直近3年間分を厳選&大幅加筆修正したオールカラーの日記本です。前半は国内海外と旅に出て外ごはんを楽しむ一方、後半はコロナ禍で自炊生活に勤しむ日々が綴られています。日記本とはいえ情報量がとても多いので、ぜひメモを片手にお楽しみください。また、巻末には「読むだけで作れる31レシピ」も収録されています。本書の内容を、少しずつ抜粋してご紹介します。
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全国の美味をシェアしよう
撮影まかない。まさかの料理1品のみ(しかも10分で完成)という贅沢撮影だったので、さすがに「よかったらお昼食べてってー」となりました。最近の旅先土産、大集合!
岩手の漬物名人ばあちゃんたちによる乳酸発酵バリバリの白菜漬け&わらび漬け(「神子田朝市」で購入)、京都の居酒屋「神馬」のちりめん山椒、八戸の筋子、岩手の道の駅で買った小松菜を柚子胡椒風味でおひたし、高知のかつおはらんぼ焼き、重信初江せんせーからいただいた自家製カリカリ梅、京都の松の葉昆布、酒田の納豆と生卵。
もちろん土鍋炊きおこげ付きピカピカ新米&最近こっているしょうゆ味の東北具だくさん汁物付き。根菜と豚肉たっぷりで、しょうゆと塩だけで味をつけるのがポイント。東京育ちだと、しょうゆ味の汁物って新鮮だった。これに、小麦粉生地を入れるとひっつみになります。ポカポカ日差しがリビングにさす、めっちゃ気持ちのいいランチだったなー。
ごはんの共三昧で、土鍋炊きごはんもおかわり必至。みごとに売り切れました。残ったおこげで焼きおにぎりまでがシメですよ!
使い込まれた台所の美しさ
郷土料理の取材でおじゃました鳥取の民宿。実際に料理を教えてもらった台所が、めちゃめちゃ素敵だったなー。
建物自体はとても古いもので、台所のスペースも増築を繰り返した末に今があるような雰囲気。床は土間で、これまでアジア各国で訪れた台所を思い出す。
なんといっても、光の入り方がすばらしいのよー。天窓があって、そこからやわらかい光がコンロやシンクに降り注いでいる。シンクに積まれた使い終わったバットやヘラでさえも美しく、大鍋で煮魚が煮えているさまなんて、あまりにも神々しくて見ほれてしまった。
水切り棚に並んだどの鍋もフライパンもがっつり使い込まれているけれど、すべてピッカピカ。毎日毎日、ずっと手入れして使われてきたんだろうな。中でも取っ手の取れたベコベコの鍋は、お母さんが「つい、手に取ってしまう」一番使いやすい鍋の証拠。どこのブランドものでも作家ものでもないけれど、最高にカッコいいぜー。
お母さんに「素敵ですね!」と言ったら、「やぁだよ、こんなに古い台所~」と笑っていたけれど、私もこんな風に自分にしか作れない台所を育てていきたいなと思ったのでした。
君は納豆汁を知っているか
山形・鶴岡で食べた納豆汁があまりにおいしかったので、さっそく再現。「納豆をすり鉢でする」ってのが面倒だなと思っていたら、みんなそう思っているらしく現地のスーパーにこんな商品が。なめらかにすった納豆のパック詰め。おお、なんと便利!
同じく現地で買ってきた「納豆汁には欠かせない」というモダシ(ならたけ)の塩漬けを塩抜きし、乾物の芋がらを水で戻して刻んで加える。さらに、どのレシピにも「すった納豆を仕上げに入れたら絶対に沸騰させるな」としつこく書いてあるので厳守すべし。
鳥取から持ち帰った名産の長いもは、すりおろしてからさらにすり鉢ですり、かつお出汁でのばして青海苔と生卵でふわふわ激うまとろろ! あとはアスパラ菜のおひたし、木綿やっこで旅の余韻満載のお昼ごはん。
はー、おいしかった。食べていると、庄内の居酒屋で食べた納豆汁の味と、女将さんの「〇〇だのぉ~」という庄内弁を思い出す。簡単でおいしいものが大好きだけれど、面倒くさくておいしいものもたまには好きだよ(すった納豆パックは使うけど)。
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まいにち酒ごはん日記
2018年春から2021年夏まで、ちょうどコロナで世の中が変化した狭間の3年間の飲んで食べて旅して感じたこと、考えたことを集めたオールカラーの日記本。巻末には読むだけで作れる31レシピ付き。
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