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体調は習慣でできている

2022.05.04 公開 ポスト

朝晩5回…今から始める「死ぬまで歩くため」のスクワットの習慣小林弘幸

「死ぬまで歩くため」など、まだ実感が湧かない人も多いかもしれませんが、この分かれ目こそ、まさに習慣の賜物ではないでしょうか。足腰が丈夫であれば、いつまでも人生が楽しめます。そんな未来に向けて、今からスクワット。もちろんやせ体質になったり、腸活に効いたり、すぐにうれしい効果も。自律神経の名医・小林弘幸氏の著書『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』から、心身に与えるスクワットの効用をお伝えします。

(写真:iStock.com/:Nattakorn Maneerat)

1 スクワットで体脂肪が燃える

一日の基礎代謝量は20代を境に、10年ごとに100キロカロリーずつ減っていきます。50歳、60歳と年齢を重ねても、若いころと同じように食べ、そのうえ、じっとしている時間が増えたとあれば、太るのは当然でしょう。

それでは、基礎代謝量を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。その答えは、下半身の筋肉を鍛えること。すなわち、スクワットをすることです。

基礎代謝量と筋肉量は正比例の関係にあるので、筋肉が増えれば増えるほど自然と基礎代謝量も増えていきます。スクワットを続けることで、食べても太りにくく、余分なものをためこみにくい「やせ体質」になれるのです。

2 若々しくなる

ミトコンドリアという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。ミトコンドリアは、人体を構成する全細胞の中にある小器官のひとつで、体を動かすエネルギーであるATP(人間が生きていくために使える唯一のエネルギー)を作っている、とても大事なものです。

ミトコンドリアの量が不足すると、エネルギーの供給量が不充分になり、体全体の機能が衰えます。老化を防ぎ、若々しい体を保つためには、ミトコンドリアを増やすことが大切です。そして実は、ミトコンドリアは増やすことが可能です。

方法は主に2つ。

(1) 時々寒さや空腹を感じて、細胞がエネルギーを作るのをサボらないようにする
(2) 筋肉細胞を増やす

これもスクワットを行うことで対応が可能なのです。さらに、スクワットであるべきポイントがひとつ。実は、ミトコンドリアは自律神経のバランスが崩れていると傷ついてしまい、働きが衰えます。ですから、筋肉細胞を増やすとしても、ハードな運動はNG。ゆっくり呼吸をして、自律神経を整えながら行えるスクワットこそが最適なのです。

3 スクワットで腰痛をケア

スクワットで鍛えられる筋肉のひとつに、大腰筋があります。ここを鍛えることで、腰痛や、ぎっくり腰を防ぐ効果が期待できます。

大切なのは、大腰筋をしっかり動かし、本来あるべき伸縮性を取り戻すことです。

しゃがむ動作を繰り返すスクワットなら、大腰筋を効率的に鍛えることが可能です。特に本書で紹介している「背筋伸ばしスクワット」は、背中を壁につけて行うので、大腰筋をしっかり伸ばした状態で鍛えることができます。猫背が気になる人は、骨盤が前傾しないように、両手を骨盤に添えて実践するのもよいでしょう。

4 血流アップで冷え症を改善

スクワットをすると、血流がよくなると同時に、自律神経のバランスも整います。筋肉量が増えるには、数か月かかりますが、血流アップと自律神経のバランスを整える効果は、即座に得られます。しゃがむ動作を繰り返すことで、下半身のポンプ機能が働いて、血液がスムーズに流れ出しますし、深い呼吸をすることで、自律神経のバランスも整います。そして、毎日継続することで、どんどん筋肉が育まれていき、血流を促す力も高まっていきます。

5 肩コリ・首コリがラクになる

スクワットをすると全身の血液の循環がよくなるので、凝り固まった筋肉に新鮮な酸素と栄養を送り届けることができます。コリが改善するのはもちろん、酸欠状態で、乳酸などの疲労物質が回収されずに硬く強張っていた筋肉も、柔軟性を取り戻していきます。すると、肩や首の可動域が広がるので、高いところにある物をとったり、名前を呼ばれて振り返ったりする日常のさまざまな動きが、ラクに行えるようになります。

6 自律神経のバランスが整う

本来、運動をすると、自律神経のバランスは崩れやすくなります。

特に、ハードな運動の場合、酸素を取りこむ量が減るため、交感神経が過剰に働きます。交感神経が過剰に働くと、血管が収縮し、水の流れているホースを指でギュッと押さえたときのように、ピューッと勢いよく血液が流れるようになります。すると、細くなった血管内を赤血球や白血球、血小板などがものすごいスピードで流れることになるため、血管の内側を構成している細胞が傷つき、その傷に血小板などが引っかかって血栓になります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

しかし、スクワットをすると自律神経のバランスが整います。その最大のポイントは、「深い呼吸」にあります。息が切れるような運動に対して、スクワットは、ゆっくり深く呼吸をしながら行うことができるからです。

7 腸を動かすから便秘に効く

便秘が続くと、お腹が張って苦しいですよね。しかし、害はそれだけに留まりません。実は、便が出ないということは、全身に毒素をまき散らすようなものなのです。

私は1995年から順天堂大学で「便秘外来」を開設していますが、基本的に下剤は処方していません。下剤に頼って便を排出できたとしても、その場しのぎに過ぎないからです。大切なのは、腸のぜん動運動(不要物を押し出す力)をサポートすることです。

ぜん動運動は副交感神経が優位なときに活発になるので、日ごろからリラックスを心掛けることが大切です。加えて、マッサージなどで体外的に腸の動きを促してあげると、さらに効果的。お勧めは、「腸活スクワット」です。

両手を頭の後ろで組むことで、指先と肩甲骨が連動するので、上半身をひねったときに脇腹がよく伸びます。脇腹がよく伸びると、腸も大きくひねることができるので、お腹を直接触らなくても、ラクにマッサージ効果を得られます。

小林弘幸『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』

自律神経の名医が断言! スクワットは簡単かつ最強の健康法。足腰を鍛えるだけでなく、心身の老化を防ぐ「スクワット6週間プログラム」つき。誰もがスクワットの方法は知っていて、運動に取り入れている人も多いはず。本書では、自律神経の名医が、なぜスクワットが健康にいいのか、医学的見地から解説した上で、「簡単で正しいスクワット」の方法をお教えします。

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体調は習慣でできている

季節の変わり目、不安な社会事情、日々のストレス……アップダウンしやすい体調を整え、キープする方法を紹介。

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小林弘幸

1960年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのパフォーマンス向上指導にかかわる。『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』『「これ」だけ意識すればきれいになる。自律神経美人をつくる126の習慣』『自律神経を整える「あきらめる」健康法』など、著書多数。

写真 ©Ichiro Kumada

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