紺野ぶるまさん初小説『特等席とトマトと満月と』に“女芸人”の葛藤の切実さがリアルすぎる!
と、書店員さんから絶賛と驚きの言葉が続々集まっています。
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ご本人をモデルにしたのでは? と思うほどリアリティ溢れる物語とディテール。自分や周囲の人々を見つめる視線の鋭さが文章の端々から伝わってきます。デビュー作ながら非常に読ませる作品で感心しました。
――啓文社西条店 三島政幸さん
ムシナはまんま紺野ぶるまさんみたいで、これはノンフィクションなのでは!? という感覚で読ませていただきました。
――文真堂書店大間々店 中村美恵子さん
現実味のない世界の圧倒的にリアルな現実。なんでこんなに身につまされるのだろう。自分とは程遠い世界に生きる彼女の現実がものすごく乾いた視点で描かれ、笑いをとるための戦略や打算、うまくいかない現実への焦燥感、「お笑い」という世界の中で渦巻く嫉妬や暗い感情などが、それ以上でも以下でもない、それしかないという言葉で表現されている。殊にラストシーンは秀逸で、あの場面を私はずっと忘れないと思う。
――六本松蔦屋書店 峯多美子さん
いや本気ですごいね。まだまだ先が読みたい。この主人公の行き着く先が知りたい。何だろうこの中毒性は!
――朗月堂書店 駒井伸さん
読みながら、お笑い芸人として毎日を一生懸命奔走するムシナさんに思わずエールを送りたくなりました!! 売れなくて苦しく、辛くても「舞台」がある限り演じ続ける、芸人魂に胸が熱くなります。また、芸人同士の葛藤や暗黙のルールなど、ものすごくリアルで、ノンフィクションのようでした。傷つきながらも強くたくましく前進する、主人公のムシナさんに大きな元気をいただけました!!
――紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
テレビの中の芸人さん、いつでも場を和ませることに一生懸命で悩み事なんかなくて人生楽しいことばかりなんだろうと勘違いしてしまう。その人の“何も”知らなかった。自分は「特別」なんだと位置づけないとやり切れない、年齢で人生を諦めたり決めつけるなんて、なんて虚しいんだろう。
ネタも恋も人生の“経験値”に比例して幅を広げたら、失敗を恐れずにチャレンジしてみた結果、誰かに認めてもらえ、前を向いて歩いていける、そんな気がする。
――あおい書店富士店 望月美保子さん
テンポのよい文章が心地よく、一日中、読むのが止まらなかったです。芸人だって人間。当たり前のことだけど、肌で感じることが出来ました。面白かったです。
――文苑堂書店富山豊田店 菓子涼子さん
笑われたいステージの上で笑われたくはない。自分を貶めたくはない。ぐるぐると続くこの輪の中から抜け出すのには何かを捨てなければいけないのか。自分でいるために、芸人でいるために、この本の中で彼女は戦っている。確かに生きているのだ。テレビで観ている作者とはまた違う才能を見せてもらった。
――あおい書店富士店 鈴木裕里さん
少しでも共感できる女子と肩をたたきあって、女としての私たちを最大級の言葉で褒めちぎってお互いを労いたい。理想の女性像をしっかり夢みがちに持っている男性には、今すぐその理想像を消去して現実バージョンにアップデートすることを激しくオススメする。
女で大変なこともあるけど次生まれる時もやっぱり女として生まれたい、そんなことを真っ先に考えた作品でした。
紺野さん、好きすぎるわー。
――明林堂書店ゆめタウン大竹店 船川梨花さん
“女芸人”とは何なのか……と、ずっと葛藤しながらも芸人として女として必死に生きている感がすごく伝わってきました。ゴールがどこにあるのかはわからないけど、それでも前に進まなければいけないんだと教えてもらった気がします。
――岩瀬書店富久山店 吉田彩乃さん
率直に、紺野ぶるまさん、とても才能豊かな方だなと思いました。お笑いの世界の独特な上下関係、妬み嫉み、女を捨てきれない女芸人の葛藤がリアルに感じられました。息づかいやその匂いまでが漂うような生々しい描写にひきこまれます。思うようにいかない人生でも好きなことをして図太く生きていけとエールをもらえた気がしています。
――未来屋書店りんくう泉南店 新家かほりさん
芸と性の狭間。女性芸人ムシナの葛藤を描いているがとても生々しい。同性、異性、先輩、憧れ等々色々な人との関わり方は、流される上になおかつ引き裂かれているかのようであり、そこに自分の意志・覚悟が込められているかさえ曖昧で、よりリアルに感じられた。「寛容」という美名のもとで逆に感じる窮屈さを叫びにくい、今の世相の代弁のように感じてしまうのは皮肉だろうか。息をのむほど生々しさを感じる芸人小説。
――明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん
人を好きになる。幸せオーラが出ると芸人として面白くなくなる。女の部分をお笑いで見せる、匂ってくるのはどうなのだろう。そんな葛藤の中で人を好きにならずにはいられない。舞台でお笑いをするのは好きだけど、正直なかなか芽が出ない不安、このまま続けていいのか。女としての幸せも手に入れたい。その葛藤する切実な気持ちが優しく正直な文章から伝わりすぎるくらい伝わりました。
――ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
めっっっっっっちゃくちゃ面白かったです!
そうか、改めて考えると女芸人さんって目がイイ人多いですもんね。観察眼がハンパない。それでいて紺野ぶるまさんは絶妙な塩梅でその情景を表現し、読者に感情を想像させている。
「芸人志望のフリーター」かなりのパワーワードでした。
この世に数多いるであろう○○志望のフリーター達。20代前半はまだいい。アラサーになった時に直視させられる「幸せ」の在りか。女であることと、芸人であることとの幸せのベクトルが重なり合うとは限らず、何を取り何を諦めるか……いや、そもそも選択できるものなんてあるのか。
生活できないわけではない、現に生きている。しかし、この先10年20年この生活を続けるのか。
これは程度の差こそあれ、2000万人以上いる日本の非正規労働者たちが夜な夜な憂鬱になる問題だ。
そういう意味では、自分以外の生活水準をこの作品を通して見る(読む)ことで多少なりとも気持ちが軽くなるし、そんな生活の中でも得られる優しさ、温もり、機会、なりより真っ当な感情を発見させてくれた。
個人的には来年の本屋大賞候補のひとつにしたい。
――紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん
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