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体調は習慣でできている

2022.05.11 公開 ポスト

毎日ひと握りのナッツと骨つき肉と腹八分目。中国の名医が教えるアンチエイジング3つの食習慣幻冬舎plus編集部

中国の伝統医学では、人間の体を肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の五臓で捉えます。中でもとくに重要なのが「腎」。腎にはもともと生命エネルギーが蓄えられており、それを長持ちさせられれば、いつまでも若々しく元気でいられると考えます。「腎の力」を目減りさせない一番の方法は、日々の食事のちょっとした工夫です。『老いない体をつくる中国医学入門』(阪口珠未著)から、中国医学2000年の歴史のなかで大事にされてきた食習慣をご紹介します。

(本記事は2019年3月4日公開「中国の名医が教えてくれた、アンチエイジング3つの食習慣」、3月7日公開「老ける・老けないは『腎の力』で決まります」を再編集したものです)

(写真:iStock.com/chinaview)

毎日ひと握りのナッツと骨つき肉と腹八分目

北京の中国医学の大学に留学していた頃の話です。私の薬膳の先生は男性。70歳過ぎというのに、とても肌のきれいな人でした。その先生に「どうしたら、先生のように元気できれいでいられるんですか?」と尋ねたことがあります。

「それは3つある」と先生は答えました。

身を乗り出した私に、先生が言ったのは……

1つめは「毎日手のひらに一握りのナッツを食べること」。なぜならナッツは、小さな種が大きな木にまで成長するパワーを秘めているから。

2つめは「豚足を食べること」。年寄りが尊敬されるためには、見た目がきれいで元気でないといけない。そのために、私は毎日、酢と黒糖としょうゆで煮た豚足を少しずつ食べている。そうするとこんなふうに肌がしっとりする。

3つめは「腹八分目に食べること」。他の人みたいに、3食お腹いっぱい食べていたら、もう私は生きていないかもしれない。昼間に人と会ってたくさん食べた日は、夜は、ネギとショウガのスープを作ってもらい、それだけ飲んで寝てしまう。そうすると次の日は、また元気に仕事ができる。

中国医学には、西洋医学の理論体系とは異なる、独特の「抗衰老(こうすいろう)」(老化を食い止める)という考え方があります。それは、「腎精(じんせい)」という、人間がもともと持って生まれた生命エネルギーをチャージして、若々しく、はつらつと生きるという方法です。

私の薬膳の先生が実践している3つの柱はすべて、腎精をチャージして目減りさせないことを目的にした生活スタイルなのです(豚足は日本人にはあまりなじみがないかもしれませんね。本でもご説明しましたが、鶏手羽先など骨つき鶏肉にも、同じ効果があります)。

「腎」は「若さの素」のバッテリー電池

「五臓」は、エネルギー(気)、栄養(血)、体液(水)、エネルギーのエッセンス(精)を作り出す活動を行います。また「五臓」は、臓器そのものだけでなく、臓器の働きも含んでいます。西洋医学でいう臓器と同じ名称を使いますが、意味や働きは少し異なるものと考えるとよいでしょう。

五臓はすべて大切な臓器ですが、中国医学の理論の中で、とくに老化と関係の深い臓器が「腎」です。

西洋医学では、腎臓は、血液を濾過(ろか)して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出し、体に必要なものは再吸収して体内に留める働きをしています。また、体液量の調節なども行っています。

中国医学では、このような水の代謝に関わる働きのほかに、独特の重要な役割があります。それは、先天的なエネルギーを蓄えている臓器ということです。いわば生命エネルギー=若さの素のバッテリー電池というところでしょう。

腎は「先天の本」と言われます。人間は腎という臓器に先天的なエネルギーを持って生まれ、そのエネルギーを日々使いながら生き、成長、成熟、老化のプロセスを経て、腎のエネルギーがゼロになったときに死が訪れます。

腎に蓄えられているエネルギー、エッセンスのことを「腎精」と呼びます。腎精は、食事や生活の不摂生によって消耗しますし、加齢によっても減っていきます。腎精の量は、生まれながらの腎の強さによる個人差がありますが、それ以上に、食事や生活の摂生により、目減りしていく腎精をチャージしていけるかどうかが、体を若々しく保つ決め手になります。

「腎精」という言葉は耳慣れなくても、「精がつく」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。「精がつく」という言い方は、もともと中国医学の用語である「腎精がつく」が短くなったもの。ですので、すっぽん、うなぎ、山芋、牡蠣など、現在私たちが、「精がつく食材」と言っているものは、「腎精」をチャージするものがほとんどなのです。そう思うと、「腎精」もぐっと身近にイメージできるのではないでしょうか。

「若さの素」をチャージするには「赤い食材」「黒い食材」

(写真:iStock.com/yanmiao)

次のチェックシートを使って、あなたの「腎の力」をチェックしてみましょう。

□ 疲れがとれにくい。
□ 意欲が低下気味。
□ 髪のボリュームが減る。白髪が増える。
□ 歯を磨いているのに歯周病になる。
□ 皮膚が乾燥する。
□ 腰痛・膝痛が出る。
□ 体の冷えを感じるときがある(男性)
□ 夜間トイレに2回以上行く(男性)
□ 朝立ちがなくなった(男性)
□ 落ち込みやすい(女性)
□ 上半身はのぼせ、下半身が冷える(女性)
□ お腹周りの肉が急に増えた(女性)
3つ以上当てはまる人は、腎の力が低下気味です。

腎精=若さの素をチャージするひとつの方法は、「血」を一緒にチャージする食材ととることです。

中国医学でも「血」は西洋医学の「血液」と同様、体に栄養を与え、精神活動にも関わる重要な働きをしています。血が不足すると、貧血や乾燥、筋の硬直、髪や爪のつやが失われるなどの症状が出ます。

「精血同源」とも言われ、血は必要なときには精になり、精は必要に応じて血に変化します。ですから腎精をチャージするには、血も一緒にチャージすると、とても効果的なのです。
便利なことに、食材には血と腎精を同時にチャージできるものが多くあります。

たとえば、黒豆黒ゴマ黒米キクラゲ牡蠣すっぽんなどの黒い食材です。イカタコアサリシジミなどの魚介類や海藻海老など海由来の食材もそうです。

ベリー類では、ラズベリークコブルーベリーマルベリー(桑の実)などは、血と精を同時に補うことができます。血を増やす食材には赤い食材が多いので、ナツメトマト小豆カツオレバー赤身の肉なども意識して食べるようにしましょう。

関連書籍
 

阪口珠未『老いない体をつくる中国医学入門』

「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」という五臓で人間の体を捉える中国伝統医学。中でもとくに重要なのが「腎」。 腎は腎臓だけでなく成長・生殖の働きも含み、生命の素となるエネルギー=腎精(じんせい)を蓄えている。 腎の衰えは性欲・やる気の低下として現れるだけでなく、脳の働きも左右する。 加齢と共に減る腎精をどう長持ちさせるか? 決め手になるのが「食こそ薬」と考える食養生法だ。 「毎日一握りのナッツを」 「肉は骨つき・皮つきが基本」 「食べても消化できなければ毒になる」等、 2000年の伝統から編み出された究極の「抗衰老(アンチエイジング)」。

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