
近刊『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』をはじめ、多数の著書を発表しながら、雑誌の連載、テレビのコメンテーターなど、幅広く活躍している経済評論家の加谷珪一さん。経済分野にとどまらない知識の幅広さと、アウトプット量には驚かされるばかりです。多忙をきわめる日々の中、どのようにしてそれを維持しているのか? その秘訣を教えてもらいました。
※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min. by 幻冬舎新書』より、〈【後編】加谷珪一と語る「『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』から学ぶ景気復活へのカギ」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。
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教養を身につけるには「量」が必要
── この番組のテーマが「教養」ということで、加谷さんの読書法、勉強法についてうかがいたいと思います。『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』では、夏目漱石、渋沢栄一、丸山眞男、山本七平らの著作を取り上げていますね。

こうした古典は、日常の実務で使うことはほとんどありません。でも、必ず時間をとって読むようにしています。すぐに利益にならなくても、数年後に効いてくることがあるからです。週に1回でもいいから意識して読むようにすると、どんな仕事であっても、かなりの効果が表れると思います。
── 本の選び方のコツはありますか?
仕事でも何でもそうですが、ある一定の絶対量は必要だと思います。なので、細かいことはあまり考えず、興味のある本を片っ端から読んでみるのがいいのではないでしょうか。
読んでみてうまく消化できないと思ったら、途中でやめてもいいと思います。分野がどうとか、効率がどうとか難しく考えず、一冊一冊、読むたびに何かの糧になっていると信じて、「量の読書」を心がけてみてください。
営業の仕事でも、高い成績を上げている人はたいてい絶対量が多いですよ。お客さんへの訪問件数とか提案件数が、他の人よりも群を抜いている。もちろん、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるではだめですし、質も確保しないといけませんが、ある一定量はこなさないと成果は出ないと思います。
私も若い頃は乱読で、分野を問わず、めちゃくちゃ読んでいました。それがすぐ役立ったわけではないけれど、今になって当時読んだ本が思い出されて、読み返すこともあるんです。
今やっている仕事に必要なことを調べたり、学んだりしながら、数年後に効いてくるかもしれない知識も積み重ねていく。この二つを並行して進めていくといいと思います。
「今日ひと手間かける」を継続してみる
── 加谷さんから原稿をいただくたびに、その知識の幅広さに驚かされます。しかも知識を知識だけにとどめず、未来を見通すための武器として活用されている。ふだんどのような視点で情報と接していらっしゃるのでしょうか?

自分でもアウトプットは多いほうだと思うんです。記者時代から原稿を書くのは速いほうでした。でも、原稿を書くのが速いだけでたくさんのアウトプットができるかといえば、そんなことはありません。これからお話しするのは、私が20年、30年かけて会得した仕事術です。
仕事をしていると、今取り組んでいる案件では必須ではないけれど、知っておいたほうがいいこと、勉強しておいたほうがいいことって出てきますよね。明日の締め切りにはおそらく関係ない。でも、そこでもうひと頑張りしてみるんです。面倒かもしれませんが、その情報を集めてみる。自分なりに分析してみる。
すると、次の日にその仕事が終わったとき、私の仕事でいえば、別の原稿のネタができ上がっているわけです。若い頃は徹夜もいとわなかったので、1つの仕事が終わると、3つも4つも新しいネタができていました。
どんな仕事でもそうかもしれませんが、原稿はネタを考えるほうが大変で、決まってしまえば書くのはそれほど難しくありません。この考える時間を、その前の作業のときに済ませてしまうわけです。
この仕事術で大事なのは、毎日継続することです。あとでまとめてやろうと思っても難しいんですよ。今日ひと手間かけることを貫いてみてください。
── 自分も今日から実践しようと思います。
インプットをしなければ、アウトプットも出てきません。つねにアウトプットをしつつ、その合間にインプットを絶やさないようにする。これを繰り返していくと、アウトプットの量は相当増えると思いますし、効率よく仕事が回るようになると思います。
読書でも仕事でも、目先のことと未来のことを、つねに同時並行で考えることは大事ですね。私は独立してからしばらく会社を経営していたのですが、今日、明日のビジネスと、1年後のビジネスと、3年後、5年後のビジネスを同時並行で考えることを、経営者として心がけていました。
目先のことばかり考えていると近視眼的になって、数年後につまずいてしまいます。未来のことばかり考えていると理想論になってしまい、目先のことがおろそかになります。だからこそ、同時並行で考えることが大切なんです。これを繰り返していくと、人としての厚みが相当出てくると思います。
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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

AIの台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化で、世界は急速な変化を遂げています。新型コロナ・パンデミックによって、そのスピードはさらに加速しました。生き方・働き方を変えることは、多かれ少なかれ不安を伴うもの。その不安を克服し「変化」を楽しむために、大きな力になってくれるのが「教養」。
『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は、“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにしたAmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組です。
幻冬舎新書新刊の著者をゲストにお招きし、内容をダイジェストでご紹介するとともに、とっておきの執筆秘話や、著者の勉強法・読書法などについてお話しいただきます。
この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。
番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』
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