文筆家・ツレヅレハナコさんの最新刊『まいにち酒ごはん日記』が発売になりました。本書は、食と酒と旅を愛する著者が、インスタグラムに綴ってきた投稿の直近3年間分を厳選&大幅加筆修正したオールカラーの日記本です。前半は国内海外と旅に出て外ごはんを楽しむ一方、後半はコロナ禍で自炊生活に勤しむ日々が綴られています。日記本とはいえ情報量がとても多いので、ぜひメモを片手にお楽しみください。また、巻末には「読むだけで作れる31レシピ」も収録されています。本書の内容を、少しずつ抜粋してご紹介します。
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古くて狭い、落ち着く台所
昨日のピクニックの残りのソーセージでランチを……とか思いつつ、スキレットでソーセージとオクラを焼き始めたら完全につまみだったので、コンロ前に丸椅子持ってきて呑み始めたのは当然のなりゆき。
リビングもダイニングも書斎も寝室もあるのに、台所にいることが圧倒的に多い。このせまくて古くて暗い場所が、とにかく好きなんだなあ。
うちの台所は今どき珍しいクローズドキッチンで、入り口が2つあるという少し変わったつくり。棚には、大好きな調理器具や食器がぎっちり詰まって、さながらコックピットのごとし。
閉ざされているので暗い分、朝はコンロの脇の窓から教会の光のような美しい光が射してフライパンの中を照らす。昼になると全体が明るくなってきて、照明はいらないくらいの明るさに。窓からは隣の公園の緑が見えて気持ちがいいので、パソコンを持ち込んで少し仕事をしたりもするなあ。夜になったら、本格的に真っ暗。間接照明だけをつけて音楽をかけながら料理をしたり、晩酌をしたり……。本当に、一日中ここにいる。
ファッション関係の仕事をしている友人にそう話したら、「わかる!私もクローゼットに住みたいもん」だそうで笑った。好きなものに囲まれるって幸せだし、私はそこでお酒が呑めたら最高だな。
我が青春の「ランチョン」
神保町へ来たならば、愛する老舗ビアホール「ランチョン」へ。海老たっぷりのとろとろクリームオムレツと、肉々しいメンチカツ。そして、もちろん「ピルスナー・ウルケル」の生ビール!
20年前、神保町勤務のペーペー編集者だった頃は、お金がなくて1000円の日替わりランチしか食べられなかった(というか、それでさえ奮発していた)。いつもメニューを端から端までじっとり眺めて、「あー、これもあれも食べてみたい。ビーフパイってどんなの?1品2900円のアイスバインってなにー?」と妄想を膨らませたものです。
年配の方が多い客層で、昼間からみんなおいしそうな生ビールをぐいぐい呑んでいるのもうらやましかった。「ああ、いつか値段を気にせずアラカルトでおつまみを頼んで、昼から堂々とここで生ビールを呑めるようになりたいな」そう思っていた。
あれから20年余りが経ち、やっと私もそんなときが来たよ。オトナになって良かったー!
炭鉱の町でホルモンを
10年ほど前、出張ついでにひとりテクテクと根性で行った鹿角市花輪「ホルモン幸楽」。炭鉱の町に根づいたローカルホルモン焼きで、めちゃくちゃにんにくくさいながらうまい……私はハイボール(大)だけど、白メシ大盛りも推奨!
今やネット通販もできるし、秋田駅近くにも支店があるお店。でもやはり本店の雰囲気サイコーだな。年中無休の通し営業ってすごすぎ。そして、後ろの席で店のお姉さんたちが食べていたまかない(メニューにないナムル、カクテキ、目玉焼きに納豆。そして、どんぶりごはん!)に萌える。
さらには、前から行ってみたかった曲げわっぱの大館工芸社へ。完全に取材モードながら、職人さんに根掘り葉掘り素朴な疑問を聞けて楽しかったわあ。すでに、わりと曲げわっぱ製品を持っている方だと思うけれど、丸型弁当箱と七寸皿を体験作製。丸型弁当箱は大きめなので、ひとり用のおひつ代わりに良さそうー。職人さんイチオシの、美しいふた付き寿司桶が欲しすぎた……。
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まいにち酒ごはん日記
2018年春から2021年夏まで、ちょうどコロナで世の中が変化した狭間の3年間の飲んで食べて旅して感じたこと、考えたことを集めたオールカラーの日記本。巻末には読むだけで作れる31レシピ付き。
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