発売前の4月に『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』のゲラを読んで感想を送ってくださる方を募集しました。感想の文字数を(100字以上)としていましたが、みなさん、しっかりとした分量、文章で送ってくださいました。年齢もさまざま。為平さえ子さん(72歳)の感想です。
二度読んでもおもしろい
綾さんは、国籍はどこなの? 日本人じゃない人が、ここまで流暢な文章が書けるのかな? と謎めいた始まりにまず興味を持ちました。
たった1度の人生だから、自分に納得できる生き方を選択するって凄く勇気が要るし冒険だと思う。でも脇道に逸れたり経験を積み重ねて見えてくるものも有るし、その体験こそが自分の財産。人生の道程の中の主人公・綾さんだからこそマイストーリを作って未来に繋がる糸を紡いでいる気がする。自分の中のさまざまな出来事が一見マイナスに見えることでも、沢山の心の引き出しになっている。日本にいてもロンドンにいても綾さんの人生は意味が有る。結婚と異なったバージンロードを歩み続けている。綾さんの40代、50代、60代の人生を見てみたい。
多分その頃には、私は存在しないだろうが、心の片隅に『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』は残り、少しハッピーな気分になっているだろう。
以下、共感する部分を挙げてみました。
〈月が綺麗ですね〉
著者の鈴木綾さんは、日本人でもイギリス人でもない。33歳で日本語で物書きをしている外国人女性。『孤高の街ロンドン』で何を学んできたか。リスクを取ってでも自分の将来に挑戦してきた中で、人脈とキャリアを手に入れて、さまざまな出会いの中で綾さんの能力を信じてくれる人が出てきた
〈ロンドンの街の生きづらさは漱石の時代から変わらない。〉
アルロとベハティの2人の心温かい南アフリカ人は、暗闇に差す一筋の光だった。
カップルとシングルのグループが二極化で、30代で未婚の綾さんは、とても孤独。みんな一見同じような働き方生き方をしている様に見えるけれど、その根っこにある価値観は違う。
〈アリアナ・グランデが20代・30代の専門職女性に好かれる理由〉
正直に自分の辛い思いや自分の弱さを語る人は非難できない。アリアナの音楽を聴くと、この複雑な自分のままで居てもいいんだと思う。
〈女性がリーダーに選ばれるためにすべき質問とはっきりした表現〉
すべき質問とは何か。キャリアの上で質問しなかったことで機会は流れる。聞かなかったら可能性はずっと0%。やっぱり質問することだ。
〈イギリスが惹かれる「金継ぎ」という日本の美の哲学〉
自分の壊れている難しい辛い部分を光や金や美しさを照らす部分としてみることは誰でも選択できる。ソフトパワーは、相手の考えに強制せず影響を与えること。
日本での生活事情。仕事での男女差別。そして女性だということだけで小間使い的な存在。どの文章も、そうだね、って感じます。王子さまはカエルって表現も好き。二度読みしても、やっぱりおもしろい。
――為平さえ子
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ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた
大学卒業後、母国を離れ、日本に6年間働いた。そしてロンドンへ――。鈴木綾さんの初めての本『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』について
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