ここまで生きてくると、もうこれからは自分の好きなものを、好きな量だけ、気楽に食べたい。作る時も食べる時も疲れないですむ、こころ落ち着くごはん。
生きていく人生の段階によって変化していく食事の風景。自分がおいしいと思うもの、それがいちばんのごちそう。――銀色夏生
『60歳、女、ひとり、疲れないごはん』の「日々のメニュー」の写真から、銀色さんにいろいろ質問しました。
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Q 手作りのおやつをよく作ってますね。
A ちょっとおやつを食べたいときに、家になにもないことってありますよね。そういうときに「よし!」って思って作ります。たまーにだけど。りんごチップスはよく作りました。スライスしてオーブンで焼くだけ、シナモンとかはちみつを最後にかけて。
ポテトチップスも手作りすると美味しい。すごく簡単です。スライサーでじゃがいもをスライスして、水にさらしてからペーパータオルで水分をとったら、油にすっすっすって入れるともういい具合に揚がるから。塩胡椒をふってしゃっしゃっしゃって混ぜて食べると、すごく美味しい。
Q 麩のラスクの作り方を教えてください。
A バターをフライパンにじゅわーって溶かして、麩を入れてそれを吸い込ませて、蜂蜜でも砂糖でもいいんだけど、甘いものをからませて、ちょっと焦げる手前みたいな、かりっとした感じに仕上げます。
Q バスクチーズケーキは作ってみてどうでしたか?
A 1回だけ作ってみたんだけど、好きじゃないことがわかりました。もし好きだったら人生のどこかで「バスクチーズケーキが好き」って思ったはずなんですよね。食べたことはあったはずだから。最近よく聞くから作ってみたけど、これはそうでもないなと思いました。
Q 栗の渋皮煮は大変じゃなかったですか?
A 固い皮を剥くのが一番めんどくさかったです。渋皮の筋も剥かなきゃいけなくて、それを丁寧に剥くのも意外とめんどくさかった。味付けは砂糖だけだったような気がします。もう少し煮たほうがよかったです。中身が半透明になるくらいに。1回で力尽きました。1年に1回くらいでいいと思ったのでまた今年も作りたいです。
60歳、女、ひとり、疲れないごはん
ここまで生きてくると、もうこれからは自分の好きなものを、好きな量だけ、気楽に食べたい。作る時も食べる時も疲れないですむ、こころ落ち着くごはん。生きていく人生の段階によって変化していく食事の風景。自分がおいしいと思うもの、それがいちばんのごちそう。