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情事と事情

2022.06.17 公開 ポスト

不倫、略奪愛、浮気。「みんなうまくやってるくせに」小手鞠るい(作家)

ネットのニュースでもよく見かける「不倫」「浮気」の文字。その文字が画面に表れる度に、なぜかその眼差しが厳しくなる人、いませんか。「けしからん」「ふしだらな」「ありえない」。正義の怒りが溢れてくるご様子。確かに、人の道からそれた行動。断罪されても致し方ない。一方で、「昼顔」「金魚妻」と多くの人がハマったドラマもまた「不倫」「浮気」が扱われていてーー。はたまた、昼下がり、一人でランチなどをしていると、隣りに集まっている奥様集団。聞き耳を立てずとも大きな声で交わされているのはパパ友や、アプリで出会った男性とのちょっとした遊び話。「なんだーーみんなうまくやってるくせに」。そう思ってしまうのは意地悪でしょうか。

(写真:iStock.com/AndreyPopov)

「恋愛小説の女王」とも呼ばれる作家の小手鞠るいさんの最新刊『情事と事情』は何を隠そう、「不倫」「浮気」「略奪愛」のオンパレード。今年で物書き人生40周年を迎える小手鞠るいさんが「記念碑的作品」とも言う最新刊『情事と事情』に込めた思いとは。

だらしない女ときちんとした女。女癖の悪い男と誠実な男。天使と悪魔。結婚と不倫。純愛と情事。あなたは、どっちが好きですか。私はもちろん、だらしない女と、女癖の悪い男と、悪魔と、不倫と、情事です。だって、おもしろいじゃないですか、読むのも書くのも。きちんとした女と誠実な男が結婚したって、つまらない家庭しか築けませんよ。「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なものである」と語ったのはトルストイですが、私はこう言いたい。「恋愛を描いた小説はどれも似たようなものだが、情事を描いた小説はそれぞれに不条理で病み付きになる」と。アメリカのテレビドラマシリーズを意識して、毎回ノンストップで読ませるエピソード7つ。今までの小手鞠るいとは、ひと味もふた味も違った悪魔的に優雅な情事小説です。

不倫に嫌悪感を抱いているあなたにも、不倫小説が大好きなあなたにも、自信を持っておすすめします。もちろん、恋愛小説が好きなあなたにも、嫌いなあなたにも。ーー小手鞠るい

次回から試し読みを掲載いたします。

事情のない情事なんてない。それはこれを読んでいるあなただって、同じはず。

関連書籍

小手鞠るい『情事と事情』

装幀家の愛里紗は今日も浮気する夫の修のため料理を作る。一方仕事に燃える親友の彩江子はフェミニストと煙たがられ、修の遊び相手のまりもは若さと美しさを持て余している。単調で退屈な日常と甘い情事の先には、不都合な修羅場が待ち受ける――が、それより怖いのは大人たちの本性。恋愛小説の名手による、上品で下品な恋愛事情。その一部始終。

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情事と事情

小手鞠るいさん最新刊『情事と事情』試し読みです。

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小手鞠るい 作家

1956年岡山県備前市生まれ。同志社大学卒業。1992年よりニューヨーク州在住。「詩とメルヘン」賞、「海燕」新人文学賞、島清恋愛文学賞、ボローニャ国際児童図書賞、小学館児童出版文化賞などを受賞。『エンキョリレンアイ』『幸福の一部である不幸を抱いて』『私たちの望むものは』『女性失格』、エッセイ集『空から森が降ってくる』『今夜もそっとおやすみなさい』など著書多数。児童書の作品も多数。1982年、詩集『愛する人にうたいたい』でデビュ―して、今年で物書き人生40年目を迎える。

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