文筆家・ツレヅレハナコさんの最新刊『まいにち酒ごはん日記』が発売になりました。本書は、食と酒と旅を愛する著者が、インスタグラムに綴ってきた投稿の直近3年間分を厳選&大幅加筆修正したオールカラーの日記本です。前半は国内海外と旅に出て外ごはんを楽しむ一方、後半はコロナ禍で自炊生活に勤しむ日々が綴られています。日記本とはいえ情報量がとても多いので、ぜひメモを片手にお楽しみください。また、巻末には「読むだけで作れる31レシピ」も収録されています。本書の内容を、少しずつ抜粋してご紹介します。
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あてもなく歩いた日
やっといろんな仕事が少しひと段落して、よろよろコンビニまで宅配便を出しに。40 時間ぶりくらいに外へ出たわ……。
そうしたら、なんたる散歩日和! 空はすばらしき快晴、春の気配がただようポカポカの気温。どスッピンな上に変な部屋着みたいな格好だけれど、そのまま歩き始めてしまい、気づけば3時間。あえて地図を見ず、どこだここみたいな場所まで来てしまった。
小さな公園の桜の花吹雪、気になる町中華や洋食屋、激安の八百屋、謎の雑貨屋、豪快なトマソン住宅、学校の前で喧嘩する高校生カップル(青春だ)、工事現場でモリモリ働くカッコいい兄さんたち……。
そんな風景を眺めながらたどり着いた、忌野清志郎がかかる適当なコの字でレモンハイボール。風が抜けて気持ち良し。だが、脚が疲れすぎて、もはやタクシーで帰りたい(笑)。暇なので無駄にキレイにポートレートモードで枝豆を撮る。
コロナのおかげでどこにも行けないような気がする昨今ですが、少し足をのばせば新たな出会いがあるもんだな。そんな当たり前のことが、実際に出歩いてみないと実感できなかった。良き日でした(そして、歩数計はなんと1万8000歩!)。
両親を連れて思い出の店へ
めちゃくちゃ久しぶりに新宿の割烹「なだ万」へ両親と。小学生の頃から、兄を含めた家族でよく連れてきてもらった店。「料理は季節を映しているのよ。今の旬は何か、皿にのっているから見てみて」「料理は、器やあしらいで変わるから」と、一皿が運ばれるたびに母から「なぜこの店に来るのか。今見るべきものは何か」と食べ物への向き合い方を叩き込まれた。今、ナウでホットな和食屋はいくらでもあるけれど、我が家にとってはこの店が原点。
両親をお招きするので個室をとりましたよ。私が毎日楽しく、のびのび生きられるのは、このふたりが守ってくれているおかげだなと(いやまあ、すぐ私がブチ切れてお母さんと喧嘩するけど)。
普段、忙しくてなかなか時間をとれないけれど、いつも惜しみない愛をありがとう。
そして、親ってすごいよな~と、親になって毎日奮闘している友人たちをホント尊敬します。
レシピ本通り作る大切さ
ペルシャ料理の「コシュレエマス(鶏ミートボールのスパイスヨーグルト煮込み)」と「バカリポロウ(そら豆とディルのごはん)」を。
最近、「分量も工程も一切アレンジせず、徹底的にレシピ本通り料理を作る」ということを積極的にしている。ある程度料理ができると、手癖で進めていつも「自分の味」になってしまうけれど、先生の皆さまのレシピは新たな食材や調理法はもちろん、調味料のバランスまで発見をくれる。今年はインプットの年! と決めているので、この作業どんどんやりたいな。
ちなみにこのペルシャ料理の「そら豆とディルと米(仕上げにレモンの皮)」という組み合わせは現地の超定番(ただし、そら豆もディルも乾物)だけれど、日本では珍しいよね。日本ではそら豆とレモンが旬なので生で作りました(レシピ本でも推奨)。私の『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』で紹介している「ディルと鮭おにぎり」の元ネタ。
「ゆでて炊く」けれど、鍋で炊くときに米の山に箸で空気孔を開けるとか、ウズベキスタンのプロフとか米文化とのつながりを感じる。煮込みはサフランとカルダモン風味。インドともまた違う複雑なスパイス使い。
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まいにち酒ごはん日記
2018年春から2021年夏まで、ちょうどコロナで世の中が変化した狭間の3年間の飲んで食べて旅して感じたこと、考えたことを集めたオールカラーの日記本。巻末には読むだけで作れる31レシピ付き。
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