どうすれば相手が喜んでくれるか、どうすれば面白いものになるか……。古今東西の経営者、著名人はじめ、結果を出す人はみな「思考」することを止めません。どうすれば自分も、あんなふうに「思考中毒」になれるのか? その方法を教えてくれるのが、テレビでもおなじみ、齋藤孝先生の新書『思考中毒になる!』です。読んで実践すれば、面白いように結果がついてくる、齋藤先生とっておきの「思考のコツ」をご紹介しましょう。
* * *
「どこで考えるか?」も大切
ここで思考する「環境」に目を向けてみましょう。
思考する行為と思考する場所は、大きく関係しています。私の場合、図書館に行くと、思考がパッタリとストップしてしまう感覚があります。あの空間には何か催眠ガスのようなものが拡散されているのではないかと思うくらい、非常に眠くなってしまうのです。
東大の総合図書館はそれを強く感じる場所であり、学生時代はいつも座った瞬間から気絶するように眠りにつくのが常でした。
これではまるで勉強にならないので、図書館に行くのは断念し、大学の向かいにある喫茶店で勉強することにしました。すると、自分でも驚くほど勉強がはかどるという事実に気づき、以降は、何かにつけて喫茶店でものを考えたり、論文を書いたりするようになりました。
その習慣は今でも継続していて、とうとう『15分あれば喫茶店に入りなさい。』(幻冬舎)という本まで執筆してしまいました。命令形のタイトルから、喫茶店に対する全幅の信頼がにじみ出ている本です。
今、セルフサービス式のコーヒーショップに入れば、1杯200円程度でブレンドコーヒーを注文できます。その金額で、スキマ時間を有効活用して思考できるのですから、これほどコストパフォーマンスの高い投資はそうそうありません。
あの名著も喫茶店で生まれた
場所を変えることで、思考に集中できる効果も期待できます。カフェの滞在時間はせいぜい30分~1時間程度でしょうから、限られた時間にメリハリをつけて考えるには最適の空間といえます。
店を出たら、その課題についてはいったん思考を終了し、別の仕事や打ち合わせに入ります。そうやって空いた時間に思考するので、1日に3軒くらいハシゴをすることも珍しくありません。
私の場合、カフェに入った瞬間に、思考のスイッチがオンになります。カフェの最大の魅力は適度に雑音があること。周囲に人がいて、物音がしていて、なおかつ誰もが自分に無関心という環境だからこそ集中力が高まります。
具体的には、スマホのメモに思考したことを思いつくままに書きつけ、まとまった文章へと整理します。あるいは、A4の用紙をテーブルに置いて、手書きで発想を書き出すときもあります。
あるときカフェで「どうしたら質問がうまくなるか」「うまい質問とはどのようなものか」について思考していました。コミュニケーションにおいて質問をする技術は不可欠です。質問の技術を高めるような本が書けないかと考えていたのです。
すると、ふとした瞬間に「質問力」という言葉をひらめきました。今でこそ「○○力」という言葉は当たり前に使われていますが、そのころはまだ耳慣れないワードであり、インパクトがありました。
そのまま『質問力』(筑摩書房)というタイトルで本を刊行したところベストセラーとなり、その後「○○力」のシリーズが続々と誕生しました。このようにカフェという空間は、普段より何倍もの集中力で思考を深められるベストな空間なのです。
* * *
この続きは幻冬舎新書『思考中毒になる!』をお求めください。
思考中毒になる!
どうすれば相手が喜んでくれるか、どうすれば面白いものになるか……。古今東西の経営者、著名人はじめ、結果を出す人はみな「思考」することを止めません。どうすれば自分も、あんなふうに「思考中毒」になれるのか? その方法を教えてくれるのが、テレビでもおなじみ、齋藤孝先生の新書『思考中毒になる!』です。読んで実践すれば、面白いように結果がついてくる、齋藤先生とっておきの「思考のコツ」をご紹介しましょう。