コロナ禍を経て、急速に変化している私たちの働く環境。しかし、時代が変わっても、本当に大切な「ビジネスの本質」が変わることはありません。合宿研修の草分け的存在で、長年、人材育成のプロとして活躍してきた守谷雄司さんの『勝負できる思考と体を作るビジネスの本質』は、言葉の使い方からメンタルの鍛え方、リーダーとしての立ち居振る舞いまで、つい見落としがちな「基本」を教えてくれる一冊。若手ビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい本書から、心に喝が入る教えをお届けします。
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自分から近づいていくしかない
会社で働いている以上、誰にだって苦手な人の1人や2人はいるものだ。苦手な人はつくらないのが望ましいとわかっていても、やっぱり苦手は苦手。では、どうするか? 苦手な人間との関係づくりの方法は、たった1つ。自分から近づいていくことしかない。
具体的には、苦手な人とあえて接触回数を多くする。ただし、1回あたりの時間は短くていい。人は頻繁に短時間に会って話したほうが、その人に親しみを感じるからね。接触回数を多くすることで、少しずつ関係を良好にしていこう。それができるかどうかが、君の人間としての幅になる。
人間関係での振る舞いが上手な人と、下手な人の違いは、積極的に関係を持とうとするか、関係から逃げようとするかだけである。考えすぎて慎重になったり、神経質になったり、話すことを躊躇したり、関係を回避したりしていたら、人間関係は好転しない。
会社では、苦手な人を避けて通るわけにはいかないのだから、逃げずに自分から働きかけることだ。そうすれば、相手も自然とこちらに顔を向けてくれるようになる。ただし、時間はかかるから、途中であきらめないことが肝心だ。
「苦手な人」と上手につき合うコツ
私の経験から、苦手な人と上手につき合う4つの処方箋(心の距離を縮める方法)を提示しておこう。
(1) 先手を取って挨拶をしてみる
人間には「好意の返報性」という心理法則がある。こちらが好意を示せば、相手もまた好意を返してくるのである。つまり、こちらから挨拶をするという好意を示したら、よほどのアマノジャクでない限り、相手からも「おはよう」という好意が返ってくる。
(2) とにかく頻繁に近づく
先ほど述べた通り、相手との接触頻度を高めることは、心理的距離を縮める上で、一番効果的だ。相手は「おや、またかね」と思いつつも、親近感を高めてくれる。
(3) 似ていることを話題にする
人間には、相手と自分の類似点、共通点を見出した時、急速に心理的距離を縮め、親近感を覚える傾向がある。出身校、生年月日、趣味、スポーツ、好きなテレビ番組やタレントなど、雑談の中でいろいろと聞いてみてはどうだろうか?
(4) 相手の弱点に役立ちたいと申し出る
相手の苦手な分野について、「私でよかったらお手伝いさせてもらいます」と申し出る。相手が承知してくれれば距離を一気に縮められるし、好意の返報性で、相手も心を開いてくれるだろう。
自分が相手に近づけば、相手がそれだけ自分に近づいたことになる。自分から心を開かなければ、相手もまた心を開かない。つまり、問題は向こうにはなくて、いつもこちら側にあるということだ。
いろいろな人とつき合えばつき合うほど、人間の幅や奥行きが増していく。勇気を持って相手の懐に飛び込もう。これだけで、人間関係の悩みは90%以上なくなる。
簡単に人から逃げるな、ということだ。苦手と思っていた人が生涯の友になるなんていう例も少なくないのである。
もう1つ言う!
私は顧客と交渉する時、最低限の実践事項をいくつか決めている。その中から6つを示すので、人間関係の参考にしていただければ幸いだ。
- 相手から学ぶ姿勢を持つ
- 相手の利益になること、相手が喜ぶことを第一義に考え、実行する
- 個人的な悩みについては、できる限り本音のアドバイスを贈る
- 相手が理解でき、かつ楽しめる話題を提供する
- 聞き役になり、どしどし質問する
- アドバイスする時は相手のプライドや立場を尊重し、自分で決めたと思わせるような控えめな態度に徹する
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この続きは書籍『勝負できる思考と体を作るビジネスの本質』をご覧ください。
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