コロナ禍を経て、急速に変化している私たちの働く環境。しかし、時代が変わっても、本当に大切な「ビジネスの本質」が変わることはありません。合宿研修の草分け的存在で、長年、人材育成のプロとして活躍してきた守谷雄司さんの『勝負できる思考と体を作るビジネスの本質』は、言葉の使い方からメンタルの鍛え方、リーダーとしての立ち居振る舞いまで、つい見落としがちな「基本」を教えてくれる一冊。若手ビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい本書から、心に喝が入る教えをお届けします。
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まず「給料とは何か」を知る
私の提案する給料アップの具体策は次の7項目である。
その前に給料は「会社に保障されるもの」ではなく、「自分の力で獲得するもの」と頭を切り替えることだ(これって常識中の常識だ)。
今の時代、普通に働いていても「課長になれば年収1000万円に簡単に手が届く」というのは、夢のまた夢。今までは右肩上がりの給料を前提に、住宅ローンや生命保険や子供の教育資金の問題や年金制度などが組み立てられていた。つまり、企業に依存した働き方で、誰もが普通に幸せな家庭を築くことが可能だった。
しかし、前提が変わった以上、働き方もキャリアの作り方も、お手本となる存在のロールモデルも、新しい前提に応じて変えなくてはならない。もう企業が個人に手厚いキャリアを約束できる時代ではない。
(1) 会社の給与制度&評価制度を再確認すること
会社員の場合、給料がどのようなステップで上がるかは、就業規則などで定められているはずなのに、こうした基本情報を知らない人が多い。「給料を上げて」と言う前に、現状を正確に知る、把握することから始めたい(実績、現有能力、態度、意欲、マナーのどこがどう評価されるのか)。
(2) 上司の評価のポイントを知ること
会社の人事評価システムで、良い評価をもらうにはどうしたらよいか? 上司の評価ポイントは何かを把握すること(これを知らない人は論外)。
たとえば、時間にルーズなのを嫌がる上司の下でいくら営業成績を上げても、遅刻が多ければマイナス評価になりかねない。普段から上司の言動や行動をよく観察して、上司の好みに合った仕事ぶりをアピールすべし。ある会社では給与の3倍以上の利益を上げなければ評価されないということだ。
(3) 三ナシ社員から抜け出せ
40歳前後の人で、売りナシ(売れるスキルがない)、箔ナシ(ピカリと輝く業績がない)、引きナシ(人望なし)の三ナシ社員では、給料アップは望めない。できれば40歳前後で「できる黒字社員」という評判を高めておきたいものだ。
(4) 人がやらないことに挑戦してみること
給料を上げるには、人と同じことをしていてはダメ。自分の強みを2つ持てば、希少価値の人間として評価が高まる。
例えば、英語とITスキル。社会保険労務士と中小企業診断士。カラーコーディネーターとインテリアコーディネーターといったふうにダブルライセンスを持っていれば強力な武器になり、転職時もよい年収で交渉できる。つまり、「人との違いを明確にする差別化」である。要は知恵を絞りながら新しいことに積極的に挑戦していくことだ。
(5) 社長に自分の存在をアピールすること
会社員にとって、収入アップは出世ともリンクする。自分を引き上げてくれる人が誰かを見極めることも大切。そのためには社長に「こんな問題意識を持った社員がいたんだ」との印象を持ってもらうことだ。
たとえば、社内報に寄稿した社長の文章に感動した旨の感想文(何についてか具体的事実を列挙して)を書面(メールより効果的)で自宅に送るのも一つの方法だ。その際、「今、自分はこんなことに挑戦しています」といったことをさりげなくアピールしておくことだ。
(6) 一味違う仕事ぶりをアピールすること
会社によっては、人事考課の面接で提出する「面談シート」がある。特に書くことがないからとスカスカで提出するようではもったいない。
A君(商社勤務、28歳)は毎月1回、自ら問題点を見つけ、「上司に進言し、指示を仰いだ回数」「自ら問題点の解決方法を見つけ、処理を考えて承認を得た回数」「自ら問題点を自主的に処理し、事後承諾を求めた回数」など、3項目につき、「自分の行動記録ノート」に記入し、上司とのコミュニケーションをとる際に、「何かアドバイスをいただけますか?」とノートの内容を話し、自己の働き方をアピールしている。
この積極性は、上司も大いに評価していると言う。自分の仕事の成果は自分で発信しないと、周囲は気づいてくれない。部下の優れている点を「見ぬふり」をする意地の悪い上司だっているのだから。
(7) 自分の市場価値を調べること
成果は上げているのに評価が低いままで、給料も上がらないのなら、給料が妥当なのか調べよう。転職情報サイトをチェックしたり、転職エージェントに登録したりして、転職した際にもらえる年収を調べてみる。提示された年収が現在より高ければ、人事考課の面接の時に、上司に直談判してみる余地はある。
ただし、実績も上げておらず、上司の評価もイマイチな人間がこれをやれば笑い者になるので注意しよう! もちろん、これ以外にも、副業や兼業で金銭を稼ぐ人もいるだろう。会社によっては自分の会社の成長に目を向けた副業は応援するが、単純なバイト副業はNOを出す会社もある。
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勝負できる思考と体を作るビジネスの本質
コロナ禍を経て、急速に変化している私たちの働く環境。しかし、時代が変わっても、本当に大切な「ビジネスの本質」が変わることはありません。合宿研修の草分け的存在で、長年、人材育成のプロとして活躍してきた守谷雄司さんの『勝負できる思考と体を作るビジネスの本質』は、言葉の使い方からメンタルの鍛え方、リーダーとしての立ち居振る舞いまで、つい見落としがちな「基本」を教えてくれる一冊。若手ビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい本書から、心に喝が入る教えをお届けします。