フリーランス、セミリタイア、地方移住など、多様化している私たちの生き方。これからの人生をどう歩むべきか、迷っているあなたにヒントを与えてくれるのが、事業投資家・三戸政和さんの書籍『資本家マインドセット』です。サラリーマンと同じ労力で、数十倍、数百倍の成果を手にすることができる。好きなことを、好きな人と好きなようにできる。そんな「資本家」という新しい生き方を提案してくれる本書から、その魅力と、資本家になるための具体的方法を探っていきます。
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「やりたい」というフラッグを立てる
サラリーマンに手の出せる範囲で安く買える中小企業はたくさん存在する。だとすれば次の問題は、それをどうやって探すのかだ。
最近では、「トランビ」や「バトンズ」といったインターネットサービスで、売りたい会社を見ることができる。
本書執筆時点では、「トランビ」は約900件、「バトンズ」は約800件の売り情報が掲載されている。ぜひ一度、のぞいてみてほしい。
もっとも、表に出回っている情報は誰でもアクセスできるので、買い手のあいだで競争が発生してしまう。安く買うためには、可能なかぎり「相対」で交渉したほうが有利だ。そのためには、出回っていない水面下の情報を得る必要がある。
当然ながら、そんな情報に出会うのは簡単なことではない。ここは覚悟を決めて、地道な営業活動を粘り強くやることが大事だ。
まずやるべきは、中小企業のM&Aを「やりたい」というフラッグを立てることだ。
会社を売りたい経営者とダイレクトに知り合うのは容易ではないけれど、友人や知人の中には、そういう会社や経営者に心当たりのある人がいるかもしれない。たとえば年賀状やSNSのプロフィール欄など、人目につくところで意思表示をしておけば、それを目にした人から情報が入る可能性がある。
また、仕事を通じて税理士や会計士、あるいは不動産業者などを知っているなら、日頃からそこにアピールしておくのもいいだろう。そういう業種の人は、身近なところにある中小企業の情報を持っている。「そういえば、あそこで工場やっている社長、後継ぎがいなくて悩んでいたな」といった話が聞けるかもしれない。
最終的には「根性」がものをいう
会社経営者は経営者同士のつながりが多いことも、知っておいたほうがいい。業界団体や地元の商工会議所などを通じたつき合いがあるので、社長には「社長の友人」ができやすい。
だから、もし自分の友人や知人に社長業をやっている人間がいれば、有力な情報源だ。「会社を買いたいと思っているんで、何かあったら教えてくれ」と伝えておくといいだろう。顔が広そうな社長を紹介してもらったり、賀詞交換会など「社長の集い」に顔を出すのも手だ。
サラリーマンにとっていちばんいいのは、「知り合いの会社を買う」ことだ。まったく知らない会社を買おうと思ったら、事前に入念な調査をしなければいけない。交渉の中で相手が嘘をつかないともかぎらない。
しかし、自分が仕事で長くつき合っている取引先などの場合、そういう手間やリスクは格段に小さくなる。自分のほうも業界の事情にもなじんでいるから、話は早い。
私自身は、仕事として投資案件の発掘に再現性を高めないといけないことから、投資ファンドを始めたときは、さらに相当な手間をかけた。
およそ2カ月のあいだに声をかけたのは約3000人。それから1カ月のあいだに集まった投資案件は約200件。これはいわば投資先の「候補」だ。
その約200件の中身を詳細に検討して5件まで絞り込むのに、また1カ月。その中の1件に投資を実行したのはさらに1カ月後。最初に声かけを始めてから5カ月ほどかかったことになる。
M&Aをやっているほかの会社の様子も紹介しておこう。ZIGExNという会社が公表している実績を見ると、ソーシング総数が約600件で、そのうちコンタクトを取ったのが約120件。最終的にM&Aを実施したのは10件だ。
その道のプロでも、このような具合だから、端的に言って、営業には根性が必要だ。
ここは、資本家という新しい生き方を実現するまでに超えなければいけないハードルのひとつだろう。「誰でも会社を買える時代」なのはたしかだが、楽をして「金のタマゴを生むニワトリ」を手に入れられるわけではない。
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資本家マインドセット
フリーランス、セミリタイア、地方移住など、多様化している私たちの生き方。これからの人生をどう歩むべきか、迷っているあなたにヒントを与えてくれるのが、事業投資家・三戸政和さんの書籍『資本家マインドセット』です。サラリーマンと同じ労力で、数十倍、数百倍の成果を手にすることができる。好きなことを、好きな人と好きなようにできる。そんな「資本家」という新しい生き方を提案してくれる本書から、その魅力と、資本家になるための具体的方法を探っていきます。