6月某日
突然ではあるけれど、顔を洗うことにしました。
何をあたり前なことを? と思われる方もおられましょうが、私は30歳で勤めていた会社を辞めてから、ほぼほぼ顔を洗わない毎日を生きてきたのです。
いやいやそんなまた、大袈裟な、と思われる方もおられるやもしれないけれど、ほぼほぼ顔を洗わなくても特に問題ないまま20数年が経ったのでございます。
いやいやいや、ほぼほぼってどれくらい? そこをはっきりさせて欲しいわーって思いますよね。私なら思います。なので、これはもう正直に言うと、まず「顔を洗うのはお風呂に入ったときのみ」を常としてやってきました。風呂に入れば身体も洗うし頭も洗うので、まぁ濡れたついでに洗いましょうねー、というわけです。
これは普通。いたって普通。世の中、風呂に入っても顔を洗わない人はあまりいませんよね?(でも様々な場面で、とりあえず風呂には入るけどメイクを落とすとこの後いろいろ大変だから顔は洗わない、ということはある)。
でも、それなら一日一回は洗うってことじゃない? うんまあ普通は朝も洗うけどねーと思った方は、凄い。それは毎日入浴しているからこその思考です。
私は入りません。もう何度も書いていますが、基本、人と会う用事があって外出するときにしか風呂には入りません。なので、週に1、2回入れば良いほうで、その時にしか顔を洗っていなかったのです。3年前までは。
※丁寧に書けば後ろめたさが薄まるような気がして文体に乱れが生じています。戻そう。
週1、2回しか風呂に入らず顔も洗わないなんて、いやぁ我ながらほんと「だらしな」だな! と自負していたのだけれど、恐ろしいことにコロナになって、その頻度が更に下がったのだ。だって出かけないから! でもって、出かけてもみんなマスクしてるから!
そうなったらもう、風呂入る必要、どこにあります?
ちょっと前からまた少し、人に会ってマスクを外すことも増えてきた(打ち合わせでの飲食とか)ので、入浴回数も増えてきたけど、大体月に4~5回ほど。日常的にイレギュラーなことなので、数えられてしまうのだ。=洗顔は月に4~5回だったわけですよ。
ところが。最近、たて続けに推しのTravis JapanとAぇ! gloupが、いわゆる洗顔料系の
宣伝(テレビCMとかYouTubeで提供を受けるなど)に起用されたのである。ヲタクたるもの、そりゃ買うよねー。微力ではあっても、起用してもらったからには数字を残したい! と思うよねー。ほら、数字って積み重ねだから! ま、そういうヲタ活があるってことも、トラジャ経由で知ったわけだけども。
前置きが長くなってしまった。
というわけで、洗顔料を買った、買ってしまった。なので顔を洗うことにした。
と、話は簡単なのに、ちょっと! ねえちょっと!!
顔を洗うのってめっちゃ難しくない????
今更聞けないことが多すぎなるのよ、ほんと!!
<最近の読書>
『失われゆく娯楽の図鑑』(監修・藤木TDC/グラフィック社¥2200)……主に昭和の時代に流行した「娯楽」をその道に詳しいライターが解説し、写真やイラストを添えたもの。いやー面白かった! 世の中って本当に様々な娯楽があるけど、基本自分の興味のあることしか知らないわけで、そうだったのか……! と学ぶことが多々あった。特にピンク系とか。あと、「失われゆく娯楽」に「プロ野球の地上波中継」とか「CDシングル」なんかが「デンスケ賭博」や「富士講」などと一緒に収められてるのがなんというか諸行無常感あって良かった。雑多な面白さってあるよねー。
『懐かしの昭和家電百貨』(町田忍著/ウェッジ¥1870)……戦後や昭和30~40年代の小説を読んでいて、当時の家電をイメージはできるものの、なんかぼやっとしてるな、という気がかりがあって飛びついた本。これまた↑と同じく、パラパラ眺めているだけで、「おおっ!!」となることが多々あって、結局じっくり読んでしまった。いい。写真や当時の広告もすべての家電で掲載されているのでとても分かりやすい。あと<「台所」から「キッチン」へ、システムキッチンの普及>から始まるキッチン家電が特に興味深かった!
6月某日
今日も今日とて顔を洗った。
起きて洗い、寝る前にも洗う。マスク生活になってから、外出するときでもメイクは眉毛を描くぐらいのことしかしていなかったのに、顔を洗うようになったら顔の状態が気になるようになり、具体的には「おい、気が付いたら凄いシミだぞ!」な現実に怯え(今更)日焼け止めを塗るようになったので、それを落とすために、夜も顔を洗うのだ。
ものすごい進化である。
いや進化かどうかは定かではないけど、もの凄い変化であるのは間違いない。
顔を洗わない日々では、多少メイクをして出かけて帰ってきても、「寝る前にちゃんと落とさなきゃ!」という意識が皆無だった。
理由として大きいのは、メイクといってもマスカラやチークや口紅は使わない、ファンデとアイブロウ(眉毛描くやつな!)程度だったので、落とさなければ横にもなれない! ってことはなく、もちろん顔を洗ったほうが良いのはわかっているけど、メンドクサイが勝っていたのだ。
別にそれで、めちゃくちゃ肌が荒れるということもなく20数年。
でもそれで、めちゃくちゃ肌が綺麗になれるはずもなく20数年。
けれど、知らなければどうでも良かった物事が、知ってしまったら気になり始めるのは世の常識。以下、洗顔超初心者の私の疑問です。
◎洗面台で顔を洗うと、両手から肘を伝って水がしたたり落ちて、床がびしょ濡れになるのですがどうしたらいいですか?
◎肘を伝って水が落ちるということは、腰が高いのかと思い、水をすくった手の平と肘までが水平になるくらいに腰をかがめてみたのですが、皆さん本当にこんなに不格好な姿で顔を洗っているのでしょうか。
◎洗顔現場から引退して久しい私の現役時代は、まず顔を水洗いして湿らせ、その後洗顔フォーム的なもので洗うという作業工程だったのですが、今回購入したものは「手や顔を濡らさずに」クリーム状の製品を顔に塗れ、とか、同様に手の平やネットで泡立ててから使え、などと書いてあるのですが、今はこれらが主流なのでしょうか。
◎顔を洗った後、家のタオルで拭くと、めちゃくちゃ猫の毛がついてきて鬱陶しいので、テイッシュペーパーで水分を取っているのですが、他に良い方法はありますか?
◎俗にいわれている「イチゴ鼻」なのですが、長年蓄積された黒ずみを除去するには、何が最適ですか?
◎よくよく見ると毛穴がもの凄く開いているのですが、今更「陶器肌」になれますか?
20数年も肌の状態なんて気にせず生きてきたのに、顔を洗い始めたばっかりに「イチゴ鼻」だの「陶器肌」だの(自分にとっての)ニューなワードが気になり始めたという現状。
今日はついに「美容系YouTuber」といわれる動画を見てしまった。
誰か「今更聞けない顔の洗い方」あげてくれないかなー。
<最近の読書>
「最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく」(上野千鶴子/中央公論新社¥1485)……澤地久恵、橋田寿賀子、下重暁子、桐島洋子、村崎芙蓉子、若竹千佐子、稲垣えみ子、加山リカ、柴田久美子、荻原博子の各氏を招いての対談集。読んでいて何が怖かったって、自分の親世代の方々が言っている「できない&できなかったこと」が、今の私も結構あって、知らないことは山ほどある、という現実。介護保険の使い方とか申請方法や、終末期における保険制度と「看取り士」の仕事内容のこととか。覚悟かー。覚悟なーという気持ち。
「そもそもアメリカってなに? メイキング・オブ・USA」(松岡完/現代書館¥1650)……本当にそもそもで、いわゆる「知らないことが何なのかわからない」くらい、個人的にはアメリカのことを知らない、ということを知った本。そりゃ誰だって「アメリカってさー」って言われて「アメリカってなに?」とは聞き返さないだろうけど、私はここに書いてあることの9割を知らなかったもしくは知ろうとしたことさえなかったので、読み物としてとても勉強になった(気がする)。LAのトラジャにも送って差し上げたい! ……たぶん川島如恵留くんしか読まないと思うけど!
6月某日
本日は、ふらふらと買い物に出たついでに、そうだ、と思い出して車でファッションセンター「しまむら」に寄った。
埼玉が誇るカジュアルファッションの一大チェーン店である。
しまむらは安い。安いけど、わりと掘り出し物もある。季節終わりのセールのときには千円でニットとボトムとチュニックが買えたりする。
そんなしまむらでは、下着のパンツが3枚400円前後で売っていて、こちらも気付けば20数年、愛用している。本日の目的もこの3枚セットパンツ。現在着用しているものが、ちょっとゴムがびろーんと伸びてきたので、買い替えようかな、と。
ところが、値上げラッシュな世の中の流れなのか、はたまた私が知らなかっただけで、結構前からそう変更されていたのか、パンツは3枚ではなく2枚セットになっていた。
この間テレビで、価格を上げると買い控えが進んでしまう懸念から、値上げではなく中身を減らす方式の品物が紹介されているのを見たけど、しまむらパンツもその類?
てなことを考えながら、股上は深いのが良いか、中くらいで良いか、ゴムは緩めがいいか、いやー水玉柄は、さすがにちょっともうシンドイかなーとワゴンからゴソゴソ選んでいたら、向い側で同じワゴンを物色していた小さな子連れの推定30代と思われる女性ふたりが「もうさー、普段のパンツはしまむらで十分だよねー」と話しているのが聞こえてきた。
「ですよねー」。異論はない。本当に充分なのだ。2枚になってもお値段以上。生地もしっかりしている。
でも! だけど!
「普段のパンツは」なところが、自分とは大きく違うことに即気が付いた。
今選んでいる、この、しまむらの、2枚429円のパンツは、私にとって全パンツなのだ。私のパンツにもはや「特別な日のパンツ」はない。ALWAYSしまむらのパンツ。Everydayしまむらのパンツ。あぁ!!
果たして、自分は「パンツ」ではなく「ランジュリー」と分類されるようなものを、今までに買ったことがあっただろうか。と考えながら帰宅。今のところ、記憶にはない。
<最近の読書>
「孤蝶の城」(桜木紫乃/新潮社¥2090)……カルーセル麻紀の少年期~青年期をモデルに描いた「緋の河」の続編。東京へ進出し、ついにモロッコで「女の体」を手に入れたカーニバル真子。芸能界と夜の世界。男とか女といった区別を超えた「私」であること――。いやー陽気に振る舞う真子のウエットな部分に魅了されて、なのに笑えるし明るいし、だけどやっぱり辛くて哀しくて、メンタルぼろぼろになったりもするのに、前を向く強さに痺れた。そうよなー、人生ってそうよなーという気持ち。
「信仰」(村田沙耶香/文藝春秋¥1320)……8篇の短編&エッセイが収められているのだけれど、やはり「気持ちよさという罪」が強く印象に残った。初出は2年前の朝日新聞だけど、このタイトルからこの内容は、なかなか想像できないと思う。あぁぁぁぁ……!! ってなるし、いろいろ思い出しすぎて、ぎゅぅぅぅぅぅ……!! と胃のあたりが締め付けられた。そうなんだよね、そうなんだよ。読んで下さい。
6月某日
午後3時。読まなければいけないゲラを持って、近所のファミレスに昼ごはんを食べに行く。ファミレスへひとりで行くことについては、やはり混んでる時間はさけよう、という意識がある。大抵は本かゲラ(自分の原稿のじゃない方)を持って行くので、ランチタイムの忙しない時間帯では落ち着かないし、できればゆったりした席に座りたいので、混んでいる時間は申し訳ない、と思うからだ。
でもまぁ私が思うようなことは、みんな考えているわけで「ゆっくりしたい」人は、みんなピーク時をはずしてくる。
そして、平日のそんな時間にゆっくりしたい人は、ほぼほぼ「おしゃべりしたい人」なのだよな、ということに気付いた。約3年間「みんなでおしゃべり」が出来なかったから忘れていたけども。
同居家族のいないフリーランスのライター、しかも人と会うような仕事内容でもないとなると、コロナじゃなくても基本的にひとり行動ひとり生活なので、会食禁止といわれてもそれほど変化はなかったのだ。もちろん、様々なイベントやパーティが中止になったりはしたし、人に会えない寂しさはあったけど、まぁでも毎日のように「おしゃべり会」を開催していた人たちの気持ちはわかりようもなかった。
最近、どこへ行っても周囲の声が耳に入ってくるようになって、あぁそうだった、そうだった! こうだったよ3年前までは! と思い出した。高齢者たちはとにかくずっと病気の話をしている。血圧と血糖値と不整脈と膝と腰の痛み。じゃなかったら終活の話。今日の隣のテーブルでは、墓じまいがテーマになっていたので、つい耳を傾けてしまった(現在、藤田家でも墓問題が勃発中なのです)。ママ友らしき人々は、学校と塾やお教室の評判、評価、及び各先生についての不平不満と噂を話している。意外と子供の話を聞かないのは、既に互いの子をよく知ってるからなのかなーと思ったり。
正直、うるさいなぁと思わないこともない。でも、特に切羽詰まっている状況でもない(だったらファミレスには行かない)ので、それ以上に「戻ってきたんだなぁ」という思いの方が強い。
このファミレスがある東京のコロナ罹患者は今も毎日千人ごえなのに、不思議。
夜、顔を洗った後(まだ洗ってる!)、ファミレスの帰りに100均で見つけた「肌ざわりのいいキッチンペーパー」を早速使ってみたら、テイッシュより頼りがいがあって、いい感じだった。キッチンペーパーをキッチンペーパーとして使うだけなら「肌ざわりのいい」必要なんてないと思うので、これはきっと、私のようなタオルの猫毛に悩む人か、逆にもの凄く美意識が高く、タオルの雑菌さえ気になる人が仕様する顔拭きペーパーに違いないと勝手に思う。いい買い物したなー!(110円)。
<最近の読書>
「山口組分裂の真相」(尾島正洋/文藝春秋¥1650)……ときどき、どうしてこの本を読もうと思ったのか、自分でもよくわからないものを読んでいるときがある。これもそうした類で、山口組にも著者にも特別な関心があったわけではないのに気が付けば手にとって、気が付けば読み切っていた。いやー、ほんと全然興味がなかったし、基本から知らないことばかりなのに、めっちゃ与作本(へぇへぇほー)だった。
結局だらしな日記
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