すっかり定着したテレワーク。それとともに増えているのが、オンライン独特のコミュニケーションに関するお悩みです。対面で会うのと違って、うまく相手に伝わらない、相手の話に集中できない……。そんなあなたに読んでほしいのが、パフォーマンス心理学の第一人者、佐藤綾子さんの『オンラインでズバリ伝える力』。オンラインでの会議や商談が当たり前になったいま、対面でなくても円滑な人間関係を築くコツをお伝えします。
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もっと言いたい気持ちを抑えよう
対面でもオンラインでも「なんと素晴らしいのだろう」と思うモデルが、あのジャパネットたかたの創業者、株式会社A and Liveの髙田明社長です。
先日、長崎放送で放映された京都大学・山中伸弥教授との対談を食い入るように見て、最もビックリしたのがこのことでした。
日頃は発信側として商品説明や講演をしていた髙田社長が、山中先生が話しやすいように「これについてはどうお考えですか?」と的確に質問して、その後静かに耳を傾けています。しかも大量の資料を読み込んでいるので、相手に振っていく質問自体が的を外さないのです。
発表者として、聞き手としての線引き
髙田社長は山中教授の専門分野には一切口を出さず、山中教授が話しやすいように持っていく。つまり発表者としての自分と聞き手としての自分のあいだで鮮明に線が引かれているわけです。
それはなぜか? 仕事として自己表現しているときはそれをミッションとしてやっているので、御自身の性格の中の「自己顕示欲求」で話しているのとは、まったく違うからです。
ところが、各政党から一人、各業界から一人というような調子でテレビのオンライン会談になると、とんでもないことが起きます。
「次が自分の出番だろう」と虎視眈々と用意してあった原稿の内容を話し出す人がいます。
しかも「たくさん喋らなければ損をする」と思っているのか、全体のタイムを無視します。一人で話しているときは全体のタイムを考えられるのに、テレビ番組などで は全体の尺を無視し、時間超過します。見苦しいことです。
「人に譲るかっこよさ」を演出して
「自己顕示欲求」をちょっと抑えるべきでしょう。「自己顕示欲求」自体は、それが「自己表現欲求」につながり、「自己表現欲求」が「自己実現欲求」につながることもあり、悪いものではありません。
でもちょっとだけ言いたい気持ちを抑えて、「もっと言いたいことがありますが、今日はこのへんでまとめます」とつないだほうがかっこいいのです。
オンラインでは、ただでさえみんな飽きやすい状態にありますから、手短に切りあげて「人に譲るかっこよさ」を演出してください。
オンラインでズバリ伝える力
すっかり定着したテレワーク。それとともに増えているのが、オンライン独特のコミュニケーションに関するお悩みです。対面で会うのと違って、うまく相手に伝わらない、相手の話に集中できない……。そんなあなたに読んでほしいのが、パフォーマンス心理学の第一人者、佐藤綾子さんの『オンラインでズバリ伝える力』。アフターコロナの時代になっても、オンラインの活用は続くと見られる今、ぜひ身につけておきたい本書のメソッドをいくつかご紹介します。