会社での悩ましい人間関係の中で、昨今、案外気をつかうのは、若手社員に対する「言い方」では。働き方の常識も変わっていくなか、“圧”にならない言い方をいくつか覚えておくと、驚愕の返事がきたときも、ストレスなく対応できるかも。後輩、部下を持ったら必携の『えっ、ボクがやるんですか? 部下に教えたい、社会人のものの言い方100』(播摩早苗著)から、対応の仕方の実例をいくつかご紹介します。
※本記事は2021年5月26日公開〈「課長、ご苦労さまでした」…こんな後輩・部下にどう対処するべきか?〉、2021年5月28日公開〈「自分らしく働きたいです」…こんな後輩・部下にどう対処するべきか?〉を再編集したものです)
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「ご苦労さま」は、目下の人にかけるねぎらいの言葉です。知らずに使うと顰蹙を買いますが、新入社員がよく犯す間違いですから、指摘して直していきましょう。
最近は、「プライドが高い新入社員が多く、小言が言えない」という指導者の愚痴をよくききます。新入社員一人の間違いで恥ずかしい思いをするのは、本人だけではなく、上司や会社なのだということは、早い時期に教育しなければなりません。
新入社員育成にとって大切なのは、自分が常識だと思ってきたことが間違っていたかもしれないと疑ってみる癖をもたせることだと言えます。
「ご苦労さまでしたについて、ネットで調べてごらん」と新入社員に伝えたら、「目上に使うべきではない」と的確な答がすぐに引き出され、本人が納得したという話もあります。育成にインターネットを上手に使うのもひとつの方法でしょうね。
今では、インターネットの検索エンジンにキーワードを入力すれば、すばやく優れた情報が入ってきます。新入社員に限らず、既存社員も便利に利用していることでしょう。もし「調べるように」と上司に命じられたら、新入社員の彼らは真っ先にインターネットで検索します。
しかし、それを繰り返してきた若年層は、少ない情報から自分で枠組みをつくったり、知恵を絞ったりという力が落ちています。業務でも、答の見えない問題に出会ったら、自分で方程式を探し、当てはめてみるという作業が苦手なのです。
グーグルで検索するだけなら、上司が「調べるように」命令する必要はありません。それを理解させた上で、業務上「調べる」とは、自分で考えて、仮説を立て、答に近づいたら検証することであると指導しましょう。
「○○先輩ならどうするか、時間があるときにきいてごらん」と、年次が近く、モデルになりそうな先輩から学ばせるのもひとつの手です。
「自分らしく働きたい」という新入社員が増えてきました。彼らは個性を重視され、自分らしさを大切にする教育を受けてきたので、「自分らしく働きたい」と言うこと自体に抵抗をもちません。しかし、「自分らしく働く」というほど、新入社員は自分自身のビジネススタイルを確立していません。曖昧で漠然とした「自分らしさ」なのです。
そこで、「きみの自分らしさってどういう部分なの?」など、すこし具体的な質問をしてみましょう。その質問だけで「仕事で何を成し遂げたいのか」や「自分だからこそできることは何か」と、自分について深く考えるようになります。
また、新人が配属されてきたら、育成プランを作成し、本人に伝えます。つまり短期的なゴールを示し、要望するのです。すると「今は仕事を覚えて、いつか△△を担当できれば嬉しいです」など、目標が卑近なものになり、行動にやる気が生まれます。
えっ、ボクがやるんですか?部下に教えたい、社会人のものの言い方100
「やり方を教わっていません」「自分らしく働きたいです」「課長、ご苦労さまでした」……。こんな素っ頓狂なワードを連発する若手社員に、頭を悩ませている人は多いでしょう。しかし、ここが腕の見せどころ。いかに彼らを指導し、戦力にしていくか、それも大切な仕事なのです。播摩早苗さん『えっ、ボクがやるんですか? 部下に教えたい、社会人のものの言い方100』は、そんなあなたの心強い味方になってくれる一冊。後輩、部下を持ったら必携の本書より、例をいくつかご紹介します。