ここのところ仕事が忙しい。母が自分でつけていた日記を見つけだし、「覚えてない、おかしくなった」と騒ぎ出したが、体もだるく、相手にできない。仕事疲れか、介護疲れか、試写で観たアウシュヴィッツの映画の影響か、熱も出た。
2021年6月12日 土曜日
<介護225日>
デイサービスから帰り、夕食まで30分ほど、自分の部屋にいたが、嬉しそうにやって来る。
「知ってる? 今年のノーベル賞を、Nちゃんがもらうのよ」
Nは兄(私の伯父)で、一高から東大へ行った秀才。若い頃は将来ノーベル賞をもらうのではと期待されていたらしい。それを母は信じている。しかし伯父は何を間違ったか日本共産党に入り、家族とは絶縁した。D大学の教授となり、日共系科学者団体のトップにはなったが、ノーベル賞は取れない。
なんで突然、そんなことを言いだしたのか。思い出と妄想が混在。謎である。
入浴して、19時就寝。
6月13日 日曜日
<介護226日>
日曜日。デイサービスは休み。母はほぼ自分の部屋にいた。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
* * *
※連載は終了しましたが、著者への感想、コメントはしばらくの期間、こちらのフォームで受け付けています(非公開)。これまでも様々なご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
時をかける老女の記事をもっと読む
時をかける老女
91歳の母親と、33年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった。この日記は、介護殺人予防のために書き始めたものである。
- バックナンバー
-
- 【最終回】「ミギスケと書くのは変ね」名付...
- ついに恐れていた日が来た。私のことを忘れ...
- 事態は急展開。転んだ母が骨折で入院するこ...
- 9.14の阪神優勝。喜びはじわじわと。私...
- 母は待合室にある認知症の本を読み、「私も...
- デイサービスから帰宅し、いつになく高揚す...
- 木村拓哉の刑事ドラマに認知症を抱える家族...
- 玄関を出ると制服警官が。パトカーの中では...
- 祖父の伝記の打ち合わせで、稲村ヶ崎の父の...
- 3月3日で母は94歳になる。誕生日を覚え...
- 『ロストケア』の試写会へ。何も調べず出か...
- 食べたのに忘れる母。食べられなかったのを...
- 入れ歯が必要になったが母は呑気。食べるの...
- 要介護2になった。費用の単価が上がる。他...
- 南野陽子の若い頃の映像に、「この娘は誰?...
- 私とケアマネさんとしては、いまの要介護1...
- ドラえもんの日めくりの「のび太の誕生日」...
- エアコン28度設定でも寒がる母。年寄りが...
- 民生委員がきて、災害時の高齢者フォロー制...
- 認知症の母は咲いている花が「つつじ」だと...
- もっと見る