ドラマと小説の共通点は「翻弄される運命のなかでどう生きるか?」
劇団ひとりさんが脚本・監督を務めた24時間テレビスペシャルドラマ「無言館」が8月27日に放送されました。それを見終わったとき、劇団ひとりさんが、最新小説『浅草ルンタッタ』をドラマの放送に近づけて発売されることにこだわった理由がわかったように思いました。
時代の運命に翻弄される人たちの存在。その事実を知ること、引き受けること。そして、「何のために、誰のために」生きるのか?
ドラマ「無言館」と小説『浅草ルンタッタ』の共通点をそんなところに見出しました。そして、小説のなかでは、「何のために、誰のために」がまた別のかたちで示唆的に描かれていると思うのです。
先に小説を読んでくださった書店員さんの感想からも、そのことが伝わるのではないでしょうか。
泣いて笑ってまた泣いて。劇団ひとりに私たちは何度驚かされるのだろう。驚いたあと何度喜び続けるのだろう。彼が書き続けてくれる限り、驚きと喜びは続く。その幸せよ。遊郭、置屋。そこに生きる女たちの矜持と、命の物語。こんなにも悲しくて切なくて、そして美しい「ルンタッタ」が今まであっただろうか。歌に救われたかつての自分の、その涙を思い出した。どんな境遇の中にでも「救い」となる「それ」がある。あるからこそ生きていられる。かすかで見えない光かも知れない。でもその「それ」を見つけられたらきっともう大丈夫だと思える。言葉に出来ない「それ」を紡いで私たちは生きている。劇団ひとりの優しいまなざしを、そこに感じた。
――精文館書店中島新町店 久田かおり様
そして、劇団さんは映像でも文章でも、その人物の描き方が魅力的です。
この作品が劇団ひとりという一人の人間から出てきたと思うと鳥肌が立ちました。登場人物全員が生きている! 当たり前のことを何言っているんだと思われるかもしれないけれど、そう感じざるをえないくらい、物語で生きていました。
――岩瀬書店富久山店 吉田彩乃 様
生命力溢れる物語とても良かったです。めげす、挫けず、しぶとく、そして情も深く生きることに一生懸命な人たちに感銘しました。生きるって大変だけど素晴らしい! 映像化して欲しい作品です。
――BOOKSえみたすピアゴ植田店 清野里美 様
どん底で地下でくすぶって空を見上げられない状態でもなんとか生きてきた。でも夢を見ることはできるんだ。誰かの幸せを願い続けていると思いがけない幸せっておこるんだ。
幕が上がり舞台が始まる予感がまぶしく輝いた。あなたの歌でみんなの希望が生まれる。
はらはらどきどきして、優しい彼女たちの幸せを願わずにはいられませんでした。
――ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理 様
劇団ひとりさんのまなざしを小説でも存分に味わってください。
(担当編集者)
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