「子どもには好きなことをして生きていってほしい。だから、まずは勉強。嫌いでもやらせなきゃ!」この大きな矛盾に、どれくらいの親御さんが気づいているでしょうか?
入学希望者が殺到する「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」の理事長・佐藤崇弘さんは、「子どもの幸せと成功を願うなら、嫌いなことはいち早く切り捨てて、好きなことだけを追求させたほうがいい」と言います。
凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい子育ての教科書『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい』から一部を抜粋してお届けします。
教育に平準化を求める無意味
親御さんが「好きなことをして生きていって欲しい」と語る一方で、お子さんには「まずは勉強」、すなわち嫌いなことをさせているという矛盾(現実)がある。そしてそれは、場合によっては小学校の「お受験」という極めて早い段階から始まり、子が幼ければ幼いほど、逃れるのが難しい状態になっています。子どもは親の子であることをやめることはできませんから、この状態は、ブラック企業の社員であるよりも過酷です。
さらには日本の教育制度では、強烈に平準化が求められます。
算数は毎回一〇〇点だけれど他の教科は五〇点という子どもより、全教科まんべんなく八〇点が取れる子のほうが喜ばれるし、受験でも優位です。塾のCMでも、「苦手を克服」がキャッチフレーズになっているように、苦手で嫌いなことを優先して学ぶことが求められています。なぜかといえば、一〇〇点以上の点数はないからです。
一〇〇点以上は取りようがないから、一〇〇点が取れる学科や「好き」な学科にそれ以上時間をかける必要はない。だから「得意」や「好き」はほどほどにして、苦手を潰して平準化することを、学校も、親御さんも、そして社会もが求めています。
親が求め、社会が求めているこの平準化ですが、でもこれは「好き」を突き詰めることを諦めさせて、「嫌なこと」を強制することに他なりません。多くの親御さんは、「わが子には好きなことをして生きていって欲しい」と思っているはずなのに、です。
日本の親御さんの多くが、この矛盾に気づいていません。
親の、わが子に対して口にする不満に、「好きなことばっかりしている」とか、「うちの子は嫌いなことはやろうとしない」というものがあります。
この言葉には言外に、「好きなことをするのは楽なことで感心できない」「嫌いなことをやるのは苦ではあるが、いいことである」という含みがあるように思います。どうも私たち日本人には、「楽は悪で、苦はよいこと」という刷り込みがあるようです。
ですが悪と思われている「好き」には、驚くような力があります。
わが子に「もう遅いからゲームなんてやめなさい!」と叱ったものの、子どもはベッドの中にまでゲームを持ち込み、夜中までやり続けていたなんて経験、親御さんならきっと一度はあることでしょう。虫やら電車が大好きで、虫取りをさせたら一日中帰ってこない。お小遣いのほとんどを鉄道写真に投じている。そんな虫屋くん、鉄ちゃんの話もよく耳にします。
ゲームしかり、虫屋くんしかり、鉄ちゃんしかり。
本当に「好き」なことならば、強制されなくてもやり始め、「やめろ」と叱られてもやめない。これこそが、「好き」の驚くべき力なのです。
「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい
2022年4月、東京・南麻布に「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」が開校しました。既存のインターナショナルスクールとは一線を画す教育プログラムにより、入学希望者が殺到しています。世界で活躍する子どもを育てるために親がやるべきこととは? 子どもを伸ばす教育とは? 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、新しい子育ての教科書です。